↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化】影魔法使いは悪役かませ犬のままで終わらない  作者: くーねるでぶる(戒め)


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
44/47

044 王都での日々②

 オールディス侯爵家主催の盛大なお茶会から三日。


 母上が企画したお茶会も大成功に終わり、屋敷の中はホッと一息ついているような雰囲気が漂っていた。


 父上も母上も上機嫌だったのでどうしたのか訊いてみたら、以前からラブコールを送っていた貴族がようやく正式に派閥に入ってくれたのが嬉しかったようだ。


 なぜかそのことでオレに恩賞を贈ろうとする両親。


 オレは何もしてないんだけど?


 毎度のことだけど、両親はオレに甘すぎるよ。もしかして、ちゃんと自制心を持つことの大切さを教えるためにわざとやっているのかと思うほどだ。


「そうでした、エドワード。そろそろあなたも婚約式できる服の準備をしなければいけませんね」

「そうですけど……。今作るのですか?」


 今のオレは、毎日ダイエットに勤しんでいる。食事にも気を付けているし、運動もしている。


 その運動だが、アーミーアントを殲滅してレベルが上がったからか、普通では考えられないほどの身体能力を手に入れてしまった。今のオレなら、オリンピックのすべての種目で圧倒的な世界記録を出せるに違いない。


 でも、体を動かすのに必要なエネルギーは同じなのか、体を動かす時間が増えた分、オレのダイエットは加速した。


 押せば転がりそうだったおデブちゃんはもういない。ここにいるのは、ちょっと太っているくらいの普通の少年レベルのエドワードくんである。


 オレとしては、シャーロット殿下との婚約式までに細マッチョのイケメンになる予定なのだ。だから、今服を作ってしまったら、服がダボダボでカッコ悪くなってしまうと思う。


 とはいえ、この世界では服はオーダーメイドが基本だ。当然完成までには時間がかかるから、そろそろ注文しないと間に合わないという母上の心配もわかるのだ。


「さすがに今から作りませんと、間に合いませんからね」

「ですが母上、私はもう少し体を絞りたいと思っているのですが……」

「ふむ。では、エドワードの言葉を信じて、何パターンかサイズ違いの服を作っておけばよいのではないか?」

「まあ! いい考えですね、あなた!」

「ほえー……」


 すげえなぁ。どうしようか悩んでいたら、父上が金の力で無理やり解決案を出してきた。


 さすが、お金持ちのオールディス侯爵家の当主だ。つい三日前にもお茶会で散々散財したと思うんだけど、頼もしすぎる。


 まぁ、オールディス侯爵家は広大な放牧地で豚や羊、馬、牛などいろいろ動物を育てているからね。その収益がものすごいらしい。


 特に豚はブランドにもなっているみたいだ。


 この世界では、牛は重機の代わりに使うから、牛肉は庶民の食べ物となっている。硬くてまずいらしい。


 でも、日本の牛肉みたいに労働を一切させずにビールとか飲ませて育てたブランド牛とか作りたいね。


 しかも鉱山も持っているとか。そりゃお金には困らないよね。


 そんなこんなで、実に五つもの服飾店の店長が屋敷に呼ばれ、オレのサイズを計って、それぞれサイズ違いの服を作ることに決まった。


 そんなことがあってからも、オレは毎日ランニングと筋トレを続け、順調に体を絞っていった。


 オレはまだ子どもだから、本格的な社交には手を出していない。でも、忙しく飛び回っている父上と母上を見ていると、貴族って意外と大変なんだぁと思う。


 貴族って、もっと優雅な生活をしているのかと思っていたよ。


 やっぱりあれかな? いつも自分の領地にいるから、王都に来た時には一気に用事を終わらせる感じなのだろうか?


 意外とのほほんとした王都での生活を続けていると、三か月はあっという間に経っていた。


 今日が、いよいよシャーロットとの婚約式だ。


「これかな?」


 カーラに手伝ってもらって一番フィットする礼服に着替えると、父上と母上と一緒の馬車に乗って王都でも一番大きなゾーイ大神殿に向かう。


「おぉ!」


 ゾーイ大神殿は石造りの立派な建物だった。ゾーイはいたずらの神様のはずなんだけど、荘厳な雰囲気がするね。


 待機していた神官が馬車のドアを開け、まず最初にオレが降りる。その後を父上が降り、父上がエスコートして母上が馬車から降りた。


 その途端、神殿の前に集まっていた多くの平民たちから拍手が送られる。中には口笛を吹いている奴もいるくらいだ。


 見渡せば、群衆が大神殿に押しかけ、警備員たちが必死に制止していた。見れば、群衆の奥には屋台が立ち並び、今が稼ぎ時と言わんばかりに客を呼び込んでいた。


「すごい人出ですね」

「みんな、エドワードとシャーロット殿下との婚約をお祝いしてくれているのよ」

「はえー……」


 なんで? と思ったけど、その疑問はすぐに氷解した。


 シャーロットだ。みんな、シャーロットの婚約をお祝いしているのである。


 思い出すのは、初めて王都に来た時のことだ。


 シャーロットが馬車から手を振ると、民衆は大喜びだった。それだけ、シャーロットは国民から愛されているのである。


 つまり、オレはシャーロットの婚約者だからついでにお祝いされているに過ぎないのだ。


 これは、シャーロットにはもちろん、民衆にも呆れられないように頑張らないとな。

お読みいただき、ありがとうございます!

よろしければ評価、ブックマークして頂けると嬉しいです。

下の☆☆☆☆☆をポチッとするだけです。

☆1つでも構いません。

どうかあなたの評価を教えてください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。