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【書籍化】影魔法使いは悪役かませ犬のままで終わらない  作者: くーねるでぶる(戒め)


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036 アーミーアント殲滅戦

 無数に吹き荒れるバレットの嵐。砕け散て行くアーミーアント。


 もう射的ゲームにもならない飽和攻撃で、オレはすべてを破砕していく。


 まるで競技場のようにまっ平らなになった土地で、オレのバレットの魔法によってすべてが砕けていく。


 アーミーアントの死骸も何度もバレットの魔法を受け続け、粉々になって地面に転がっていた。


 その様子を感慨深そうに見ながら、父上が頷いた。


「儂も一度だけアーミーアントと闘ったことがある。アーミーアントは単体で見れば強いモンスターではない。魔法で一撃で倒すのはそう難しいことではない。だが、真の脅威はその数であり、その死骸だ。倒したアーミーアントの死骸が邪魔で攻撃できないことがあった。その分だけアーミーアントは前進してくる。これが厄介なのだ。だが――――」

「その死骸ごと倒してしまえば問題がない……?」

「その通りです、シャーロット殿下。エドワードの魔法はどうやら威力に優れている様子。アーミーアントが仲間の死骸の裏に隠れようと関係ありません。なるほど。この手があったか……」


 父上が「これは使える」と言わんばかりに大きく何度も頷いていた。


「あなた、あのアーミーアントは少し格好が変わっていませんか?」

「あれは……レンジャーアントだな。アーミーアントの上位種だ。アーミーアントよりも体が大きくなり、装甲が厚くなっている。注意するべきは、その大きな顎による攻撃なのだが……」


 レンジャーアントもオレのバレットの魔法を被弾して破砕されていく。


 オレにとって、アーミーアントの上位種であるレンジャーアントが相手でも何も変わりない。すべて砕く。それだけだ。


「レンジャーアントすらも、エドワードの相手にはならないようですな」


 どうでもいいんだけど、なんだかみんなに見られながら、実況されながら戦うというのはちょっと恥ずかしいな……。


 そんなことを考えていると、今までとは比べ物にならない大きさのアリが姿を現した。その大きさは馬車よりも大きい。全長四、五メートルくらいはあるだろうか。まるで現実感のない大きさだ。


「あ、あれは⁉」

「知っているのですか、オールディス侯爵⁉」

「はい。あれはナイトアントです。あれがいるということは、まさか――――!」


 オレはランスの魔法を展開し、ナイトアントを貫き、破壊する。


 胸部分が爆発したように破壊され、地面に倒れ伏すナイトアント。そんなナイトアントの死骸もバレットの魔法に貫かれて溶けるように分解されていく。


 ナイトアントの死骸を盾にこちらに接近しようとしていたアーミーアントも死骸に早変わりだ。


「運がいい! 運がいいぞお!」


 オレは興奮を隠しきれずに叫んでしまう。


 だって、ナイトアントがいるということは、あいつがいる! オレが求めて止まない経験値の塊!


「早く出てこないかなぁ」


 そう呟きながら、オレはアーミーアント、レンジャーアント、そして新たに戦線に現れるようになったナイトアントを殲滅していく。


 その時、まっ平らになったフィールドの向こう。まだ森が残っている部分。そこに大きな影があるのに気が付いた。


 オレの口の端が無限に上がっていく。


「きたか! 女王!」



 ◇



 わたくし、シャーロットは呆然とその光景を見ていました。


 みんなが恐れていたアーミーアント。わたくしもその恐ろしさは何度も聞かされています。


 そんな恐ろしいモンスターに単身で挑み、圧倒している同い年の少年。


 エドワードが魔法に優れているのは知っていました。知っていましたが、まさかこれほどとは思いませんでした。


 その無尽蔵ともいえる魔力も脅威ですが、エドワードの強みはなんといっても魔法の威力です。


 普通、バレットの魔法は牽制の魔法と呼ばれるほどの威力しかありませんが、エドワードが使うと必殺の威力を持つ魔法となります。


 思えば、わたくし自慢の氷の盾もエドワードのバレットの魔法で破壊されました。


「運がいい! 運がいいぞお!」


 そんなエドワードが興奮したように叫びます。


 ナイトアントというより強力なモンスターが出てきたというのに、その声は嬉しそうでした。


 そして、叫んでいる言葉も意味不明でした。


 運がいい? 何の運がいいのでしょうか?


 そんなエドワードが、急にスッと遠くを見つめます。


 わたくしも釣られるようにそちらをみると、まるで小山のような影がありました。


 先ほどまであんなものはなかったはず……。あれは何でしょう?


「あ、あれは――――⁉」


 隣に立つオールディス侯爵が驚愕の声をあげます。その目はわたくしが見ていた小山に注がれていました。


「オールディス侯爵、何か知っているのですか?」


 わたくしが問いかけると、オールディス侯爵は重々しく頷きます。


「あれこそがクイーンアント。アーミーアントたちを束ねる存在です」

「きたか! 女王!」


 オールディス侯爵のその言葉を肯定するようにエドワードが叫びました。

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