表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
25/45

第24話

 ビュッフェの予約をしていた奏が受付を済ませ、席への案内をしてくれるスタッフに付いて2人がレストランに入ると、まずは360°一面のガラス張りになっていることに驚く。


「うわぁ……凄い……」


 思わずといった様子でそう漏らした奏の後ろで、匠も同様の感想を漏らす。


「確かにこれは凄いですね……」


 レストランはホテルの20階に位置している為、少しだけ薄暗くなってきた都市が一望できる。


「壮観ですね……」


 と言った奏に匠も頷く。


「パノラマビューというやつですかね……もう少し暗くなったら夜景も凄そうです」


 そんな事を話していたら席に到着したようだ。


「こちらの席になります」


 とスタッフは言いながら2人が座りやすいように椅子を引き、座るタイミングに合わせて押してくれる。


「お飲み物のメニューはこちらになります」


 と渡されたメニューを2人で覗き込み各々飲み物をオーダーすると、スタッフは『ごゆっくりどうぞ』と言いながら去っていった。


「じゃあ……席取られる心配も無さそうですし、取りに行きましょっか」


 と匠が言うと『ですね』と言いながら奏が立ち上がったので、匠もまた立ち上がり各々料理を取りに行く。


 レストランの中を見渡すと思っていたよりもかなり広く、和·洋·中などのジャンルによって各々のブースに分かれているようだ。


 特に目を引くのはそれぞれのブースのメイン料理はライブキッチンになっており、ローストビーフや寿司·天麩羅·ピザ·麻辣湯等は注文すると目の前で調理をして提供してくれるようだ。


 匠は何処のブースに行こうかと悩むが『まずはやっぱりホテルのビュッフェと言えばローストビーフだよな』と思い、洋のブースへと足を向けた。



――――



 一通りブースを回り席に戻ると既に飲み物が置かれているが、奏の姿はまだ無かった。


 座って待つこと数分。


 奏がトレーを持ちながら帰ってきた。


「あれ? 待っててくれたんですか? 先に食べていただいて良かったのに……」


「いやぁ……流石にそれはどうかと……」


 匠が困ったようにそう言うと、奏はクスッと嬉しそうに笑いながら席に着く。


「……ではお待たせしました。頂きましょう」


 という奏の言葉に合わせて、2人で『いただきます』と言いながらディナーが始まった。



――――



「おいっしい〜!!」


 と言った奏の目は輝いている。


 奏も匠と同様ローストビーフを選んでいたので、まずは一緒に2人で1切れずつ食べてみたのだが……。


「いやほんっと美味いですねこれ……柔らかいし……ソースも美味い……」


 お皿の上にはもう1切れのローストビーフと、流石にお肉ばかり食べられると困るのか一塊のマッシュポテトが添えられていた。


「朝倉さんのその赤いスープみたいなのは何ですか?」


 奏は興奮覚めやらぬという状態のまま質問を投げる。


「あぁ、麻辣湯ですね。最近よく耳にするんですが実は食べたこと無かったので試してみようかと」


 匠が自分で数ある具材の中から食べたい具材を選んで取り、それを目の前でシェフがスープに入れ煮込んだものだ。


 匠はレンゲでスープをそのまま飲んでみる。


「あ、思ったよりスパイシーというか……うん……独特な味ですが美味しいですね」


「……ちょっと匂いかいでもいいですか……?」


 と匠の様子を見ていた奏が言ったので、匠が麻辣湯の器を奏の前に動かすと奏の顔が少し歪む。


「あ……この匂い私はだめなタイプです……」


 と言いながら奏はすぐに麻辣湯の器を匠に返した。


「まぁ確かに人を選ぶ匂いですよね……」


 奏は相当苦手だったようで、未だに渋い顔をしていたので匠は話題を変える。


「そういえばデザートはパティシエが作ってるんでしたっけ?」


 渋い顔の奏に匠がそう問いかけると、奏の表情がパッと明るくなる。


「ですです! 実は先程料理取りに行った時に偵察に行ってみたんですが、色々な種類の小さいケーキでいっぱいでした。それと目の前で特製パンケーキ焼いてもらえるみたいです」


 さっき奏の戻りが遅かったのはそれもあってか、と匠は思うが、うきうきとデザートコーナーに偵察に行く奏を想像して思わず微笑ましいものを感じる。

 

「まぁ、まずは取ってきた分食べてみてから考えましょう」


 と匠が言うと『ですね』と言いながら奏は蟹の解体に手を付け始めた。



――――



 2人ともデザートまであらかた平らげた頃、ふと匠が外を見るとすっかりと夜の帳が下りていた。


 匠の視線に気付き奏も視線を外に向ける。


「わぁ……キラキラして……凄いですね……」


 空はすっかり真っ暗だが、下に視線を向けるとビルの明かりや車のライトでまるで運河のようだ。

 そんな事を考えつつ、匠はやや緊張しながら奏を見た後口を開く。


「えっと……この後なんですが……昨日ホームページ見てたら上の階にバーがあるみたいで……もし良かったらどうですか……?」


 『会社のお金では無いですけど』と匠が付け加えると、奏は以前のやり取りを思い出したらしく『あはは』と1つ笑い。


「折角ですし美味しいお酒でも飲みに行きましょっか」


 と言った後『会社のお金では無いですけど』と繰り返し、『あははは』と再度楽しそうに笑った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ