アロは邪悪だ(2)
はい…今、体調が悪いんです。
学校の上空に張られたインクのように漆黒の結界の重厚な天蓋は、がっしりと固定されたまま朝の太陽を呑み込み、キャンパス全体を息の詰まるような人工的な黄昏の世界へと突き落とした。
ほぼ一瞬にして、普通の登校日という脆い幻影は木っ端微塵に砕け散った。グラウンドの遥か向こう側では、朝練をしていた陸上部の生徒たちが道具を放り出し、突如として訪れた暗い空を純然たる驚愕に目を見開いて見上げていた。風が止んで重々しく静電気の混ざった沈黙へと変わるにつれ、金属製のフェンスが激しく軋む音と交ざり合いながら、芝生の上を低く膨れ上がるようなざわめきが波紋のように広がっていった。校舎の近くでは、早朝の書類仕事の準備をしていた数人の教師たちがコンクリートの階段へと血相を変えて飛び出し、教職員の間を這い寄るようなパニックが支配していく中、青ざめた顔でお互いに必死に囁き合っていた。
私はレンガ造りのメインの正門の傍らに立ち尽くしたまま、おののき、暗転した学校の窓と目の前に立つ少年の姿との間で視線を激しく往復させていた。制服のポケットの中で両手を血の気の引いた拳にきつく握り締めながら、髪の生え際に冷たい汗が吹き出し、脳内は完全に狂乱の精神崩壊を起こしていた。
「あいつ、狂ってる……」
私はヒステリックに呟いた。
「完全に正気を失ってるわ」
そのあまりの純然たる衝撃に、息が詰まりそうだった。忘れ去られた路地裏や地下の空洞での秘密の魔術決闘ならまだ理解できる。でも、これは何よ? アロは、何十人もの何も知らない一般市民の目の前で、真昼間から隠された業の存在を能動的に暴露しているのだ。彼は登録簿のことなんて気にも留めていない。その結果なんて知ったことではないのだ。
彼の細い身体の堅固で儀式的な佇まいと、暗い天蓋の鈍い残光を反射するあの冬の霜のような純白の髪を見つめながら、私の全存在の細胞が激しい拒絶の悲鳴を上げていた。信じたくなかった。この化け物じみた存在が、私が愛したあの優しいアロと完璧に同一人物だなんて、私は頑なに、そして絶望的なまでに受け入れることを拒んでいた。
「アロ……」
私は声を絞り出し、鼓膜を圧迫するような重苦しい静寂を無理やり切り裂いた。私は通学バッグの革のストラップが水ぶくれだらけの手のひらに痛々しく食い込むのを感じながら、躊躇いがちに一歩前へと足を進めた。
「どうしてこんなことをするのよ? 私を見て! あんた……あんたは本当に私の目を真っ直ぐに見つめて、私を排除したいなんて言えるわけ!? 私たち、丸1年間も一緒に付き合ってきたのよ、アロ! デートも、教室でのランチも、一緒に帰った道も……そのすべてが、あんたにとってはこれっぽっちの意味もなかったっていうの!? あんたは、自分が愛した人間を、本当に平気で、冷酷に殺せるわけ!?」
アロはパチパチと瞬きをしなかった。彼はレンガのアーチの壁から身体の重心をシフトさせることもなければ、その表情をほんのわずかも和らげることはなかった。彼の顔は完全に、頑強なまでに凍りついた仮面のままだった。
「君が消えた後なら、いつでもすべてをやり直せるさ」
アロは冷酷に言葉を返した。その声は平坦で、旋律的な一本調子であり、感染した組織を切り落とす執刀医のような絶対的な超然さを宿していた。
「羊たちの管理など容易いことだ。君を排除してこの特異点を消去し終えれば、私はただ、ここにいる一般人の記憶を完全に一掃するだけだ。登録簿には局地的な突風(嵐)として記録され、帳簿は綺麗に更地に戻る」
「理由を言いなさいよ!」
私は絶叫した。あまりのコミカルな悲劇と深いエモーショナルな裏切りが入り混じって声が裏返り、顔を鋭く、呆れ果てたピンク色に染めた。私は舗装路に足を踏み鳴らし、完全に忍耐の限界を迎えていた。
「帳簿を白紙に戻すだなんて、壊れた翻訳アプリみたいな喋り方で煙に巻かないでよ! ホームルームの直前になって、あんたを文字通りの怪物に変貌させたのは、一体どんなくだらない事実を見つけたからだって言うのよ!?」
その瞬間、初めてアロのあの空っぽな、黄金色の混ざった瞳が細められ、その特徴の凍りついた静けさを引き裂くように、底知れない、恐るべき熱情が火花した。私の唯一の聖域であり続けてくれたあの優しく安心させる微笑みは完全に消え去り、彼の両肩の周囲の空気さえも黒く澱ませるかのような、純然たる、一切の手加減のない憎悪がそれに取って代わっていた。
「理由は残酷なほどに単純だ」
アロは明言した。彼のバリトンの声は、通学用のローファーの下のアスファルトを直接振動させるほどの、響き渡る血の凍るような音調へと落ちていった。
「私は昨夜、僕たちが同意した通りに民間セクターの調査を開始した。そして、極めて興味深い一片のデータを暴き出したのだよ、まなか」
彼は堅固な姿勢のまま、私に向かってゆっくりと計算された一歩を踏み出した。
「この学校が崩壊の被害に遭い、そして何人もの生徒たちが命を落としたあの夜。君は、まさにこの敷地の中に現実に存在していた。君は、あの国家の協力者である冬夜と共にそこにいたのだ。この聖域の絶対的な破壊と、何人もの無辜の生徒たちの大虐殺を引き起こした原因である二体のミュトスは、紛れもなく君の契約に直属している」
私の顎がアングリと外れた。その凄まじい誤解がようやく脳内で噛み合い、私の思考は暴力的なバグを起こした。
「違わあーーっ!!」
私は絶叫し、涙で視界が激しく滲む中で、自分の両手を彼の目の前で狂ったように振り回した。
「アロ、あんたは前後の文脈を全く分かってないわよ! ランスロットもラインハルトも、学校を破壊しようとしていたわけじゃない! 彼らはドラキュラっていう名の、あの壊滅的な化け物と命懸けで戦っていたのよ! 民間人を守って、衝突による背景放射を最小限に抑えようと必死だったの! もし彼らが刀を抜いていなければ、この区画全体が完全に消滅していたわよ!」
アロは私の必死の懇願の言葉に、ただの一言も耳を貸さなかった。冷酷で、計算高い使い手としてのペルソナが、私の彼氏の残滓を完全に上書きして蹂躙していた。
彼は息を素早く、厳かに吸い込み、その暗い瞳を捕食者としての正確さで私の胸へと固定した。制服の袖の下で、彼の細い指先が一瞬にして鋭く、堅固な印の形を結ぶと、彼はその喉から、凄まじい速度で揮発性の高い呪文をブツブツと漏らし始めた。
「……下界の試練の火花を点火せよ……隠されし炎よ、協力者を駆逐せよ……」
突如として、アロの指先から真紅とオレンジ色の魔力が盲目的な閃光となって爆発した。私の意識的な思考がその迫り来る大惨事を処理するよりも早く、人工的な黄昏の世界の中に巨大な、猛り狂う火球が具現化し、貨物列車の如き恐るべき速度で私の顔面に向かって直接、大気を切り裂いて突進してきた。
ほんの数瞬の間だけ、私は自分の間近に迫った「死」そのもの以外の何物でもないその炎の中心を、真っ直ぐに見つめていた。
しかし、私の肉体は、脳が連動するのを待ってはくれなかった。過去一時間、地下の監獄でランスロットに暴力的なまでに泥の中に叩きつけられ続けたおかげで、私の肉体的な生存本能が完全に主導権を握ったのだ。無意識のうちに、私の重心がシフトした。私は身を沈め、後ろの踵をコンクリートに鋭く突き立てると、普段の不格好なドタバタぶりを完全に超越した、必死の、絶望的な左への旋回を繰り出した。
猛り狂う炎の球体は、私の肩をわずか数ミリメートルの差で通り過ぎ、その凄まじい、皮膚が焼けるような灼熱が一瞬にして制服のジャケットの端を焦がし、私の頬に向かって熱風の鋭い波を叩きつけた。
火球は私の脇をすり抜け、校庭を横切って猛スピードで飛行すると、正門の近くにある立派なイチョウの木へと暴力的に激突した。
ドガァァーーン!
密閉されたキャンパス全体に、木々が激しく裂ける凄まじい爆発音が木霊した。一瞬にして、色褪せ始めていた葉が火を吹き、鮮やかなオレンジ色の炎が狂暴な勢いで枝を貪り食いながら、グレーのアスファルトの上に長い、踊るような不気味な影を投げかけた。
私はバッグが塵の中に滑り落ちていくのを感じながら、舗装路の上に両手と両膝を突いて激しく地面に倒れ込んだ。ハァハァと荒い息を吐き、胸を激しく上下させながら、私は絶対的な、驚愕に目を見開いた恐怖の目で、激しく燃え盛るイチョウの木をただ見つめていた。
私がどうにか適応しようと必死だったあの平凡な日常は、完全に消え去っていた。戦争という名の過酷な講義は、今まさに、この校庭へとステージを移したのだ。
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