薬物?!
もっとサポートが欲しい!!君が欲しいよ、ベイビー!うん…大丈夫だよ。
渦巻く分厚い白濁した湯気の雲も、その場の厳然たる現実を覆い隠すことはできなかった。私は凍りつくような浴室のタイルの壁に真っ直ぐ押し付けられ、冷たい磁器と剥き出しの背骨が触れる凄まじいコントラストに激しく身体を震わせた。しかし、その冷たさなど、一瞬にして私の顔全体を焼き尽くした純然たる、一切の手加減のない羞恥心の猛火に比べれば、無に等しかった。
私は全裸だった。そして彼は、一切の躊躇なく、完全に全裸だった。
下を見ることはできなかった。いや、見る勇気なんてあるはずがなかった。私の視線は完全に囚われ、ラインハルトのあの射抜くような、捕食者の如き黄金の瞳の眩い輝きによって人質に取られていた。彼にピン留めされた鎖骨のあたりから、猛烈な灼熱のフラッシュが私の頬へと這い上がり、あまりの熱さに肌が今すぐ水ぶくれになってしまうのではないかと思ったほどだ。
「な、何よ……一体全体、私の浴室で何をしてるのよ!?」
私は歯の隙間から低く声を漏らし、濡れた木の葉のようにガタガタと震える声の中に、どうにか鋭い苛立ちのトネリコを注入しようと必死に抗った。私は身体の側面にどうにか引き寄せた小さなタオルの端を、指関節が白くなるほどきつく握り締めていた。
ラインハルトは微動だにしなかった。体重移動さえしない。彼はただ頭をわずかに傾けただけで、後ろへと掻き揚げられた彼の濡れた黄金の髪からは、その完璧で筋骨隆々とした胸の輪郭の上へと水滴が滴り落ちていた。彼の唇の端には、傲慢極まる、人を小馬鹿にしたような笑みが浮かんでいた。
「君の浴室、だと?」
彼は私の言葉を繰り返し、その深く、旋律的なバリトンを私の頭蓋骨の奥深くに直接響かせた。
「滑稽な妄想だな、か弱き人間よ。この屋敷は私の召喚者のものだ。したがって、この中にあるすべてのものは、黄金の王の領地に属する。そして我々ミュトスには、凡夫の汚れを洗い流すという生物学的な必要性など存在せぬが……降り注ぐ水の感覚というものは、決して不快なものではないぞ」
彼のその、呆れるほどに傲慢極まる超然とした理屈を脳が処理するよりも早く、私はある感覚を捉えた。突如として、何かの固く、毅然とした接触点が、私の下腹部に直接押し付けられたのだ。
心臓がただ一拍飛び跳ねただけではなかった。それは私の肋骨を暴力的に叩きつけた。私の顔の赤面は十倍にも跳ね上がり、パニックの赤から、深く、悶絶するような深紅へと変貌した。本能的な衝撃の波が私を襲い、私の脳内は完全に、狂乱の精神崩壊を起こした。
「あんた――あんたは最低最悪の男よ!!」
私は言葉を詰まらせ、彼の恐ろしいほどに完璧な美貌を視界から遮断するために思い切り目を瞑った。私はその場で起きている物理的な現実を無理やり無視し、その純然たるパニックを必死の脅迫へと変えて突きつけた。
「出ていって! 今すぐこの浴室から出ていってよ! 冬夜さんを大声で呼んで、助けを求めるわよ! 神に誓って、本当にやってやるんだから!」
ラインハロットは、私の固定された両肩に直接響くような、低く、低音の効いた 含み笑いを漏らした。私の口を覆っていたあの濡れた、重い手がようやく弛み、消え残り、からかうような冷たさを残しながら滑り落ちていった。
彼はゆっくりと一歩後ろへ下がり、分厚い湯気の霧の中に、その彫刻のようなシルエットを部分的に融け込ませていった。彼は最後にもう一度私を見下ろし、その眼差しは、私の緊張し、震えている身体を、冷徹な観察のような愉悦を伴って見つめていた。
「案ずるな、小さな魔術師よ。私は退出する」
ラインハルトは静かに呟くと、流れるような、恐るべき優雅さでガラスのシャワーブースの方へと向き直った。彼は肩越しに一度だけ動きを止め、その黄金の瞳を細めた。
「だが、認めざるを得ないな……その、これっぽっちもそそられない、不細工な面をしている割には、君の近接は私の肉体に、いささか奇妙で明確な影響をもたらすらしい」
「出ていけーーっ!!」
私は絶叫し、近くにあった高級シャンプーのボトルを掴むなり、湯気の中へと盲目的に投げつけた。
「ああ、それともう一つ」
激しく降り注ぐシャワーの水音の向こうから、その投擲物など全く気にも留めていない彼の声が流れてきた。
「冬夜が下でお前を待っている。今すぐお前の出席を要求しているぞ。どうやら、お前のような無能極まる生き物であっても、隠された業の教育を始めねばならんらしいな。彼を待たせるなよ」
彼の退出を示す浴室のドアのクリック音が響いた瞬間、私の脳内で暴力的かつ冒涜的な悪態の嵐が爆発した。あの傲慢で、ナルシストで、暴虐な黄金のフリークめ! よくも、よくもやってくれたわね! 人のプライベートな空間を蹂躙しておいて、よくも私を顕微鏡の標本みたいに観察してくれたものだわ! 私は叫び出し、あの高級なタイルを叩き割り、ランスロットを召喚して今すぐこの湯気の中で決闘を申し込んでやりたかった。
代わりに、私はシャワーが出せる最高に熱いお湯の下で、彼の真白な手の幻の感触と、彼の高級なサンダルウッドの石鹸の残り香を洗い流そうと、狂暴な勢いで自分の肌をこすり洗いした。ヨダレ、白髪の神父、そして全裸の暴君――私の一日は、まさに精神的恐怖戦の教科書そのものだった。
私はシンプルで着心地の良い部屋着に着替え、猛烈な凶暴さで髪を乾かしたせいで完全に髪を爆発させると、ゲスト用のスイートルームを飛び出した。私はあの魔法の、空中に浮遊する階段タイルをドタバタと踏み締めながら、絶対的な決意の固いラインに顎を硬化させていた。冬夜さんにすべてをぶちまけてやる。同盟だの、彼の境界線だの、彼の偏頭痛だの、もう知ったことか。彼のあの反逆精神か塊のような、規格外のパワーを持つミュトスは、私の心拍数を確実に致命的なレベルまで引き上げており、彼は自分の兵器にもっと固い首輪を繋ぐ必要があった。
私は冬夜さんの書斎の重厚なドアに辿り着き、磨き上げられた取っ手を掴むと、ノックもせずにそれを乱暴に押し開けた。正義の不満の津波を解き放つ準備は万端だった。
「冬夜さん、あんたのところのあの変態が――」
その言葉は、私の喉の奥で一瞬にして死に絶えた。
書斎の中は薄暗く、急速に沈みゆく太陽を遮るように重厚なベルベットのカーテンが固く閉ざされていた。巨大なマホガニーのデスクの後ろで、冬夜さんはレザーの椅子に身体を前のめりにしていた。その手には小さなプラスチックの容器が握られており、彼は今まさに、正体不明のカラフルな錠剤をいくつかまとめて口の中に放り込み、ガラスのボトルから濃い色の液体を狂ったように、必死の様子でゴクゴクと喉に流し込んでいる最中だった。
私はその場に凍りつき、彼のその荒い呼吸と後ろめたい姿勢から、私の脳は即座に最悪の結論へと飛躍した。
「冬夜さん……あなた……ドラッグを、やってるの!?」
私は息を呑み、デスクに向かって小刻みに震える、恐怖に満ちた指先を突きつけた。
「こんな戦争の真っ最中に!? そうやってラインハルトのストレスに対処してるわけ!?」
バシッ
私がパチパチと瞬きをするよりも早く、私たちの間の空間を一筋の影がブレながら横切った。突如として、電光石火の速度の空手チョップがどこからともなく振り下ろされ、訓練された暗殺者のような正確さで、私の脳天のど真ん中を直撃した。
「痛っ!」
私は悲鳴を上げ、目に涙を浮かべながら頭を抱えてその場にしゃがみ込んだ。
「何するのよ!?」
「俺は薬を飲んでるんだよ、この大馬鹿者が!!」
冬夜さんは怒りと呆れで顔を怒り狂ったピンク色に染めながら絶叫し、その小さな白いプラスチックのボトルをマホガニーの机の上に叩きつけた。彼はハァハァと息を切らし、髪はわずかに乱れていた。
「俺が不法な薬物帝国でも運営しながら、この地下の聖域を経営してるとでも思っているのか!? お前の脳みそは一体どんな壊れたドラマの路線を走ってやがるんだ!?」
「だからって、そんなに強く叩くことないでしょう!」
私は頭のてっぺんをさすり、しゃがみ込んだ位置から彼を睨みつけながら愚痴をこぼした。
「あんた、もの凄く後ろめたそうに見えたのよ! 何か隠し事でもしてなきゃ、誰がポップコーンを食べるみたいに錠剤を口に放り込むのよ!?」
「日没の直前だって言うのに、同盟相手が敵の領地に勝手に迷い込んでくれたせいで、割れるような頭痛に襲われてる人間だよ!!」
冬夜さんは言い返し、腕を組んで、重いため息と共にレザーの椅子へとその身体を深く預けた。彼は激しい疲弊をその目に湛えながら、こめかみをマッサージして私を見つめた。
「真面目な話、小山クン。俺はラインハルトが放つ背景放射で自分の魔力回路が崩壊するのを防ぐためだけに、3種類の異なる神経遮断薬を飲んでるんだ。自分の家で、女子高生の探偵に重罪の容疑をかけられる筋合いはない」
「……わかったわよ! 悪かったわね!」
私は不満をブツブツと言い、ようやく姿勢を正して服の埃を払った。冬夜さんの本物の肉体的苦痛を目の当たりにしたことで、ラインハルトについて文句を言ってやろうという激しい衝動は完全に萎んでしまった。もし、あんたのミュトスがさっき湯気の中で私を全裸でピン留めしたなんて話したら、この人の頭は本当に爆発しちゃうかもしれないわ、 と私は突然の、不本意な同情の波と共に理解した。
冬夜さんは最後にもう一度、荒い、重いため息を漏らすと、顔から手を離し、鋭く真剣な眼差しを私に固定した。彼の瞳からコミカルな苛立ちは消え去り、百戦錬磨の魔術師が持つ、冷徹で計算高いオーラがそれに取って代わっていた。彼はデスクの引き出しに手を伸ばし、重厚な、革装丁のグリモワールを取り出すと、それを机の上にしっかりと置いた。
「口論はここまでだ」
冬夜さんが言った。その声は、毅然とした、命令を下す一本調子へと落ちていた。
「太陽は完全に沈んだ。闇が訪れ、お前の境界線はゼロだ。次の怪物がフロントドアをノックしに来る前に、この魔術の修業を始めるぞ」
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