死刑!
この章は死刑についてです。サッカーでPK戦が勝つために非常に重要なように、死刑も同じです。マナカは正しい選択をするために死ななければなりません。
馬の駆ける音が、私たちの目の前で止まった。
馬は鼻を鳴らし、大きく息を吐く。
巨大な騎手が馬から降りた。
信じられないことだが、その騎手は馬に負けないほど大柄で背が高かった。馬もまた、まるで戦場へ赴く軍馬のように豪華な装飾が施されている。
「ディケロス」
私は彼を知っている。
アロのミュトスだ。どうしてここにいるのだろう。
「まなか」
もう一人の人物が馬から降りてきた。
騎手と比べれば小柄な存在だ。
「アロ。どうしてここにいるの?」
私は問いかけた。
ディケロスも、夕方にアロの家で会った時のような普段着ではなかった。
今の彼は古代の戦士を思わせる装いをしている。青銅の鎧に赤いマント。燃え盛る炎のような真紅の外套は、彼の威厳ある姿によく似合っていた。
ランスロットは素早く漆黒の剣を手に召喚し、ディケロスへ向けて戦闘態勢を取る。
「また現れたか。何が目的だ?」
ランスロットは、その巨体に怯むことなく問いかけた。
もう驚くことではない。彼はあの怪物じみた巨人、カインと互角に渡り合った男なのだから。
ディケロスの口元が笑みに歪む。
「再び会えて嬉しいぞ、戦士よ! 現実世界の学校という場所で起きたあの事件以来、これで二度目の再会だな!」
彼は本当に嬉しそうだった。
きっとディケロスは前向きで陽気な性格なのだろう。だけど――まるで以前から知り合いだったかのような話し方。しかも学校での事件以来、二度目の再会だなんて――
「まさか……三体のミュトスが戦っていたあの戦場に割り込んできた正体不明のミュトスって……あなただったの?」
そう考えた瞬間、私は目を見開いた。
あの時、私と冬夜さんが見た。三つ巴の戦場へ一直線に突っ込んできた馬。まさに同じ馬だ。
アロは驚いたように目を見開いた。
「まなか……頼むから、彼が君のミュトスじゃないと言ってくれ」
彼は瞬きもせずランスロットを見つめている。
その声には、いつもの優しさがなかった。
「まなか、自分のミュトスが誰なのか分かっているのか!? 彼は学校を破壊し、あの吸血鬼みたいなミュトスとの戦いで多くの人を巻き込んだ張本人なんだぞ! 信じられない!」
アロが私に怒鳴った。
彼に怒鳴られたのは初めてだった。
その声には怒りしかなかった。どう説明すればいいのだろう。ランスロットは学校を守るために戦っていたのだと。あの吸血鬼のようなミュトスから私たちを守っていたのだと。
「アロ、お願いだから話を聞いて――」
「もういい」
私の言葉は遮られた。
「君を守るために来たんだ。夜に出歩くなと警告したのに、それでも君は外へ出て、あのマナ型ミュトスを追おうとした。だけど……どうやら僕の信頼は裏切られたみたいだ」
涙が目に溜まる。
そんな残酷な言葉が、彼の口から出るなんて。違う。そんなはずない。私の知っているアロは、こんなこと言わない。私のことが嫌いになったの?もう愛してくれないの?違う。絶対に違う。誤解を解かなきゃ。彼が決めつけてしまう前に。
「アロ――!」
その時だった。空から何かが高速で落下してきた。轟音とともに地面へ激突する。
土煙が舞い上がる。らに別の何かも次々と降ってきて、道路へ落下した。
私は思わず後ずさる。
そして――何かにぶつかった。
背後にあるものへそっと触れる。人間の感触ではない。そもそも人間じゃない。硬い。金属の身体。
「ゴーレム……」
土煙が少しずつ晴れていく。
視界が開けた時――
「えっ……!?」
目の前はゴーレムで埋め尽くされていた。道路のあちこちにゴーレムがいる。すぐ近くにいたはずの私のミュトス――ランスロットの姿すら見えない。五体どころじゃない。数えることもできない。まるで軍勢だ。
「マナ反応確認。マナ反応はミュトス。作戦開始――ミュトスを排除せよ」
それまで動かなかった機械仕掛けのゴーレムたちが一斉に起動した。全てが動き出す。
ディケロスの豪快な笑い声。
剣が振るわれる音。
だがゴーレムの壁に遮られ、私は戦況を見ることができない。
ただ一体だけ動かないゴーレムがいた。私の背後に立っているゴーレムだ。
「どうしたんだろう?」
私は振り返る。
そのゴーレムは他よりも一回り大きかった。
「もしかして故障してるのかな。それに、どうやって空から落ちてきたんだろう。飛行能力でも持っているのかな?」
そんなことを考えながら、その身体へ触れる。まるで廃材を寄せ集めて作ったスクラップロボットだ。すると突然。片目代わりのボタン――私には信号機に見えるそれが赤く点滅した。
「小山まなかを確認。捕獲し、ソロモンへ連行せよ」
「えっ――?」
驚きの声を上げた次の瞬間。
私の視界は闇に包まれた。
「助けて!」
何が起きたの?
ゴーレムの身体が開き、私を内部へ閉じ込めたのだ。簡単に言えば――生きたまま丸呑みにされた。
「助けて!」
私は叫びながら内側から殴り続ける。
「痛っ!」
思わず悲鳴が漏れる。金属は金属だ。ガラクタだろうと何だろうと、殴れば痛いに決まっている。
「……あれ?」
突然ゴーレムが開いた。
月明かりが差し込んでくる。完全に開いた時、見える景色はさっきまでとは全く違っていた。ここは三鷹市の道路ではない。見覚えのない場所だ。
どうしてここにいるの?ゴーレムはほとんど移動していなかったはずなのに。
「――あああっ!!」
激痛が走った。
鋭い痛みが首を横切る。
そして――私の首は、容赦なく切り落とされた。
この章をお読みいただき、ありがとうございました!SodaKun Out ☆!




