予想外の展開(3)
今や、主人公の恋人までもがこの戦争に巻き込まれてしまった!彼らはこの状況を乗り越えられるのだろうか?!
「アロ……どうして……?」
私は震える声で尋ねた。
悪い夢だ。
お願いだから、現実じゃないと言ってほしい。
「ここで話すのはやめよう。誰に聞かれているか分からない」
そう言うと、アロは私を家の中へ招き入れた。
古き良き日本の趣が色濃く残る、見事な日本家屋。
私は障子を開けて中へ入る。
障子が開くと、柔らかな陽の光が室内へ差し込んだ。
内から見ても外から見ても、この家は日本の歴史と美しさを映し出している。
以前遊びに来ていた頃と何一つ変わっていない……それなのに、今日だけは空気が違って感じられた。
いつも私に優しさと安心を与えてくれた人。
私の心の拠り所だったアロが、今日はどこか張り詰めた空気をまとっていて、胸が落ち着かなかった。
彼は一つの部屋へ私を案内する。
部屋には低い机が置かれ、その上には緑茶が二杯用意されていた。
座布団が二枚敷かれている。
私たちはそれぞれの座布団に座り、当然のように正座をした。
「お茶でも飲んで。どうぞ」
そう勧められ、私は湯呑みを手に取り、一口飲んだ。
「ディケロス、入ってきて」
その言葉とともに、あの大男も部屋へ入ってくる。
燃えるような真紅の髪は、どこか派手で堂々とした印象を与えていた。
彼はまるで護衛のように、アロの隣へ立つ。
「申してみよ、我が忠臣よ。その娘は何者だ? なぜ侵入者が余の領域にいる!」
雷鳴のような大声が家中に響き渡る。
鋭い視線が私を射抜いた。
アロは静かに首を横へ振る。
「我が王、彼女は侵入者ではありません」
「何を言う? どう見ても魔術師ではないか。マナの気配も感じる。どうやら、その見知らぬ魔術師とは浅からぬ関係らしいな」
「はい。彼女は……真中です」
その瞬間、大男の顔がぱっと明るくなった。
心から嬉しそうな笑みだった。
「その真中か!? お前の恋人という娘は!」
興奮がそのまま声に表れている。
アロは軽く咳払いをした。
「我が王。彼女とは大切な話があります。失礼でなければ、二人だけで話をさせていただけませんか」
「構わん! 皇帝たる余が、その程度で侮辱されたとは思わぬ! 恋人同士は語り合うものだ。愛し合う二人の間に王が割って入るべきではない」
そう言って、彼は私たちへ満面の笑みを向けた……この人がミュトス。
敵側のミュトスなのに、思っていたよりずっと気さくだ。
アロは私へ向き直る。
「真中。君にとっては、とても驚くことだったと思う」
そして静かに続けた。
「君がこの戦いに巻き込まれたのは、自分の意思じゃないって信じてる。僕は君を信じてるよ。君は僕の大切な人だから」
頭の中が追いつかない。
次から次へと予想外のことばかり起きて、何が現実なのか分からなくなりそうだった。
それでも、聞かなければならない。
「アロ……どうして? どういうこと? 私の場合は……」
「君は養子だったよね?」
私は小さく頷いた。
「君は生まれつきの魔術師じゃない。もし生まれながらの魔術師なら、自分のマナの気配を消す方法くらい最初から知っているはずだから」
それは初めてだった。
アロに見下されたような気がした。
もちろん、彼にそんなつもりはない。
それでも、魔術師として未熟だと言われた気がして、胸が少し痛んだ。
「違うよ、真中! 馬鹿にしてるわけじゃない!」
彼は慌てて言葉を続けた。
「むしろ嬉しいことなんだ。君が外見だけじゃなく、中身まで君らしいってことだから」
その言葉に、私は思わず頬を赤くする……私は何をしているの。
こんな状況なのに、まるで普通の恋する女子高生みたいじゃない。
「おおっ! 我が臣下は、恋人を喜ばせる術まで心得ておるではないか!」
ディケロスが楽しそうに口笛を吹いた。
アロは苦笑すると、再び真剣な表情へ戻る。
「本題に戻ろう、真中。君の望みは何?」
「望み?」
私は首を傾げた。
彼は静かに頷く。
「今朝会った魔術師――君の兄だと名乗った男だ。あの人に無理やり従わされているんじゃないのか?」
「えっ!? どうしてあの人が魔術師で、本当のお兄ちゃんじゃないって分かったの?」
アロは穏やかに微笑んだ。
「真中は昔から、僕には何でも話してくれた。兄弟や家族がいるなんて、一度も聞いたことがない。それに……あの魔術師の名前も知ってる」
私は目を丸くした。
「アロ……冬夜さんの名前まで知ってるの!?」
彼は少し照れたように笑う。
「そんなに褒めなくてもいいよ。これは魔術師の世界じゃ有名な話なんだ。冬夜家は政府派閥の中でも屈指の名門。そして現当主が冬夜恭太郎だ」
そう言うと、彼は再び心配そうな目を向けた。
「真中。正直に答えてほしい。あの人に脅されたりしていない? どうして政府派閥の魔術師と一緒にいるんだ?」
確かに、冬夜さんは私を半ば強引に連れて行った。
いろいろ制限もされた。
でも――悪人ではない。
性格は悪いけれど、悪そのものじゃない。
私が今こうして生きているのは、あの人のおかげでもある。
何度も助けてもらった。
私は首を横に振った。
「違うよ、アロ。心配しなくても大丈夫。冬夜さんは悪い人じゃないし、私に危害を加えたこともないの。一緒にいるのは、生き残るために同盟を結んだから……たくさん助けてもらったの」
その言葉を聞いて、赤髪のミュトスは鼻で笑った。
「これはまた面白い展開だ。我が臣下の恋人が、まさか敵側の協力者とはな」
それでも彼の笑顔は変わらない。
まるで私とアロのやり取りそのものを楽しんでいるようだった。
「一つ聞いてもいい、アロ?」
私は恐る恐る尋ねる。
どうしても気になっていることがあった。
「アロ……どうしてプレイヤーになって、ミュトスまで召喚したの?あなたは魔術師だった。でも、その知識は……冬夜さんよりもずっと詳しい気がする」
アロは静かに息を吐いた。
「僕の場合も、君とよく似ている。でも……君が思っている以上に複雑なんだ、真中」
彼は少しだけ視線を落とした。
「簡単に言えば――僕の家系は、とても古い魔術師の血筋なんだ。そして僕の一族は、第二勢力――『秘密結社』に属している。」
この章をお読みいただき、ありがとうございました!SodaKun Out ☆!




