予想外の展開(2)
皆さんにこのどんでん返しを気に入ってもらえるといいな!私もびっくりしたよ。
私は決意を胸に、廊下を歩いていた。
アロに会うために、何をすべきかはもう分かっている。
歩きながら手に持っているのは、昼食にパーセリーが持ってきてくれた、あの焼きチョコレートパンだ。
一口かじる。
もちもちと伸びる糸のようなマシュマロが、とろりと口元まで伸びてきた。
「おいしい! 中にマシュマロまで入ってる!」
こんな不思議な魔法料理を褒めている場合じゃないのは分かっている。
それでも認めざるを得ない。
あの無情な魔術師たちは、とんでもない料理を作る才能だけはある。
もう一口……美味しい。
濃厚なチョコレートの甘さが口いっぱいに広がり、伸びるマシュマロがさらに美味しさを引き立てる。
今まで食べたパンの中で、一番美味しいかもしれない。
焼きチョコレートパンを食べ終えると、私は気持ちを切り替えた。
「作戦は単純。あとは実行するだけ」
私は一枚の肖像画の前に立つ。
道化師の衣装に、揺れる帽子。
曲がった鼻と、いたずら好きそうな笑みを浮かべた男の肖像画だ。
「おやおや! 迷子のお嬢ちゃんかな? ここは子どもの遊び場じゃないよ! 私の扉の合言葉を知っているなら通してあげよう。知らないなら別の場所で遊びな。ここは大人のショールームだからね!」
彼は私にウインクした。
私は深呼吸をする。
作戦はシンプルだ。
冬夜さんにもランスロットにも気づかれず、アロに会う方法を手に入れる。
嫌だけど、この方法しかない。
私は口を開いた。
「合言葉は……『正田は変態』」
「『正田は変態』? 本当にそれが合言葉なのか? 誰に聞いた?」
道化師は怪しそうに眉をひそめた。
落ち着け。
これは試されているだけ。
この道化師は記憶喪失なんだ。
大事なのは自信。
自信こそ、この道化師を黙らせる一番の武器だ。
「ええ。それが合言葉です。自分の合言葉くらい覚えてますよね? 警備員さん」
私は堂々と言い返した。
どうせ思い出せない。
思い出せないものを無理に思い出そうとはしないはず。
「うーん……合言葉だったような、違うような……」
彼は腕を組み、首をひねる。
「まあ、その日の私は気分が良くて、そんな変な合言葉にしたのかもしれない。合言葉は合言葉だ! よし、入るがいい!」
肖像画が横へ滑るように開いた。
その奥に隠されていた秘密の部屋へ入る。
薄暗く、埃の積もった古い部屋。
その中央には、一枚の木製の扉が立っていた。
「もう二度と使わないと思ってたけど……またお世話になるみたいね」
私は扉へ向かって呟く。
これは魔法道具。
どこでもドアをモデルに作られた魔法の遺物。
望んだ場所へ移動できる。
目的地の座標を入力しなければならない。
私はアロの家の座標を設定した。
「アロの家の住所なら知ってる……休みの日に何度か遊びに行ったことがあるから」
扉を開く。
眩しい光が目の前いっぱいに広がる。
どこへでも最短で行ける光の通路。
私はその光の中へ足を踏み入れた。
一瞬、視界が真っ暗になる。
その直後、七色の光が視界いっぱいに弾けた。
「きゃああああああっ!!」
私は思い切り叫ぶ。
まただ。
また目玉が漫画みたいに飛び出しそうなくらい大きくなる。
前回とまったく同じだ。
やっぱりこの移動方法、大嫌い。
やがて歪んだ光の中にアロの家が見え始める。
私は勢いよく飛び出した。
「……もう、本当に嫌」
私は小さく呟く。
胃を押さえながら地面へしゃがみ込む。
吐かないよう必死に耐える。
どうにか気合いで立ち上がった。
「やっと着いた……アロ、喜んでくれるかな」
私はアロの家へ向かって歩き始めた。
私の家とは違い、アロの家はとても立派だった。
築年数はかなり古そうだけど、昔ながらの日本家屋の風格がある。
「貴様、何者だ!」
突然の怒鳴り声に、私は思わず飛び上がった。
目の前に立っていた。
鼓動が一気に速くなる……異常だ。
こんな存在が、どうしてここにいるの?
目の前の男は、異様なほど背が高く、筋骨隆々としていた。
顔立ちは若い。
なのに、その肉体はまるで別人みたいに鍛え上げられている。
男性らしさと女性らしさが同居した、不思議な雰囲気。
白いTシャツに、ぶかぶかのズボンという妙な格好をしている。
だけど、それ以上に異常なのは―
「……とんでもないマナ」
私は思わず呟いた。
どうして、この人はこんな膨大なマナを持っているの?
何者?
私のマナ核が激しく反応している。
「お前は誰だ?」
巨人のような男が問いかける。
「その子を中へ通してあげて」
聞き覚えのある声が、その男を制した。
巨人の隣に立つ小柄な人影……いや。
普通の人間の身長なのに、巨人のせいで小さく見えているだけだ。
「まなか、どうしたんだ?」
信じられない。
胸が締めつけられる。
お願い。
嘘だと言って。
私が見ているものは全部夢だって。
「まなか」
私はゆっくり顔を上げる。
そこにいたのは――私の大切な人。
アロだった……人生で一番残酷な真実かもしれない。
「……何?」
私は困惑したまま彼を見つめる。
「怖がらなくていいよ、まなか」
「……その人は?」
私は巨人を指差した。
「安心して」
アロは優しく微笑む。
「彼は僕のミュトスだ。僕がマスターで、彼は僕のサーヴァントなんだ」
そう告げられた瞬間――世界が止まった。
夢だ。
これは悪い夢。
早く目を覚まさなきゃ。
「驚いた?」
アロは静かに言った。
「まなか。君も、この戦争のプレイヤーだってことは知っているよ」
私の膝が震え始める……信じられなかった。
この章をお読みいただき、ありがとうございました!SodaKun Out ☆!




