ルール
富、名声、そして力!異世界の戦士はほとんど全てを持っている!彼らの最強バージョン!
俺が次に押したのは、“ステータス”の項目だった。まるでゲームそのものだ。
すると、一枚のステータスシートが目の前に現れる。
「何を見ている、凡人?」
ラインハルトが尋ねてきた。
「お前のステータスだよ」
「俺のステータス? ふん、どうせ限界を超えた数値に決まっている」
「見てみるか」
まず表示されたのは、このステータス画面の説明だった。
『攻撃力』――戦士の身体能力と攻撃の強さを示す。
『防御力』――戦士がどれだけのダメージに耐えられるかを示す。
『速度』――戦士の移動速度や走力を記録する。
『マナ』――戦士の体内に存在するマナの総量。
『戦歴』――その戦士が人生で経験した戦いや戦争の数。
「やっぱり、お前たちも俺たちと同じで“マナ”を使うんだな」
「ふん。俺と貴様ら虫ケラを一緒にするな」
ラインハルトは傲慢に言い放つ。
「俺は“力”を扱うためにマナを使う。だが貴様らは、誰でも覚えられるような下等な術のために使っているだけだ」
本当にいちいち偉そうだ。
次のページには、“ランク制度”の説明が表示された。
『Aランク』――非常に優秀。5ポイント。
『Bランク』――優秀。4ポイント。
『Cランク』――平均的。3ポイント。
『Dランク』――低い。2ポイント。
『Eランク』――極めて低い。1ポイント。
ここまでの態度やプロフィールの内容を考えれば、こいつのステータスは全部Aランクだと思っていた。だが――
「は?」
思わず声が漏れる。
「喜べ、弱者よ。お前は強大な英雄を召喚したのだ」
そう言って胸を張るラインハルト。
表示されたステータスはこうだった。
『名前――ラインハルト』
『年齢――5000歳』
「ご、5000歳!?」
ラインハルトは当然のように頷いた。
「俺はあの世界で5000年を生きた。そして人類最初の文明を築き、初代の王として君臨した」
『種族――人間』
「待て待て待て! 人間だったのに、どうやってそんな長く生きたんだ!? おかしいだろ!」
「万物には秘密がある。貴様のような虫ケラに教える価値はない」
また 侮辱かよ。もうこいつに腹が立ってきた。何様のつもりだ。金をジャラジャラ身につけてるからって、偉いわけじゃないだろ。
「……で、お前のステータスなんだけど――」
「知っている。俺の能力は最強だ。メスルク王として栄光を誇っていた時代の力が、そのまま記録されているのだろう」
「――微妙だぞ」
「……は?」
ラインハルトの顔が固まった。
「何を言った!? 口を慎め愚か者!」
怒気が一気に膨れ上がる。
「いや、本当だって。お前のステータス、全体的に“普通”寄りだぞ」
「……俺のステータスを言ってみろ」
黄金の瞳が、真っ直ぐ俺の魂を射抜いてくる。圧がすごい。
「攻撃力とマナはBランク。防御力と速度はCランク。“戦歴”だけAランクだ」
「つまり、お前は実戦経験と戦争経験がめちゃくちゃ多いってことだな」
すると、なぜかラインハルトの怒り顔が笑顔へ変わった。
「……ふむ」
男は小さく笑う。
「悪くはないな。お前が“全体的に平均”などと言うから、てっきりCやDばかりかと思ったぞ。違うじゃないか。むしろ“平均以上”だ。悪くない組み合わせだな」
なんだこいつ。
ポジティブすぎるだろ。
「で、俺の“格”はどうなっている?」
「格?」
「星の数が見えるはずだ」
俺は画面を探す。
……あった。
「見つけた。えっと……お前、“5つ星英雄”だ」
その横には小さな補足説明が表示されていた。
『星は異世界戦士の希少性を表す。その伝説が異世界でどれほど知られているか、そして歴史への貢献度を示す』
「フハハハハハハッ!!」
ラインハルトが高笑いする。誇りと傲慢さが、声だけで伝わってくる。
まあ、当然かもしれない。こいつは人類最初の文明を統めた王。しかも初代の王だ。5000年も生きた伝説級の存在。歴史から消えるわけがない。俺たちの世界みたいに、古代文明が消滅したり、歴史が改変されたりするわけでもないんだろう。冷静に考えれば、こいつのステータスは悪くない。そもそも、こいつは“王”だ。戦士専門の人間じゃない。前線で戦い続ける生き方をしていたタイプにも見えない。“統治者”として見れば、十分すぎる能力だ。その時だった。
『――ルール説明を開始します』
突然、システムの声が響いた。
俺の目の前から画面が消え――次の瞬間、巨大なモニターのように空中へ浮かび上がる。
「……これが“システム”の本体か」
ラインハルトが上を見上げながら呟く。どうやら今度は、こいつにも見えているらしい。
『プレイヤー遠矢京太郎、および召喚された眷属ラインハルト。あなた方を、“戦争のゲーム”へ歓迎します』
「戦争の……ゲーム?」
思わず呟いた。
『ルールは単純です。殺すか、殺されるか』
空気が一気に冷える。
『あなた方の目的は、他の異世界戦士たちとの戦いを生き残ること。最後まで生存した者には、14日後に現れる“褒賞”が与えられます。本日は、まだ一日目です』
俺もラインハルトも、何も言わなかった。
意味が分からない。何のためのゲームだ?俺は状況が理解できなさすぎて、言葉すら出なかった。ただ一つ、はっきり分かったことがある。――金に釣られた俺は、とんでもない間違いを犯した。
「なんなんだよ、これ……。ふざけてるのか?」
俺が問いかけた瞬間、システムは消えた。残されたのは、俺と――この傲慢な王だけ。答えを知っているのは、たぶんこいつしかいない。
「お前が何を聞きたいのか、分かるぞ」
「……分かるのか?」
ラインハルトは深くため息を吐いた。
「“メイン儀式”だ。神々が作った遊戯――いや、“戦争”を偽装した殺し合い。強者のみが生き残るための儀式だ」
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