小山
この章では、人を操る人たちがどれほど魔術師のような存在なのかを十分に示します!彼らは結局、操作術の博士号を取得しているのですから!
「どうやら、ようやく二人きりになれたみたいだね」
ルークが母親に引きずられて帰っていくのを見送ったばかりだった。
いつも問題ばかり起こして無鉄砲なことをするルークみたいな人間を、ジェーン先生がどうやって相手しているのか不思議でならない。
でも、とにかく今はようやくアロと二人きりだ。
私たちだけの時間。
デートの続きを楽しめる。
アロが口を開いた。
「まなか、一つ聞いてもいいかな?」
「もちろん。どうして私が嫌がると思ったの?」
アロは少し頬を赤らめながら頬をかいた。
本当に、こんなに素敵な彼氏は他にいないと思う。
だが、次の瞬間。
彼の表情が少し真剣になる。
どうしたのだろう。
「まなか。君の家はあのテロ事件で壊されたんだよね」
アロはゆっくりと言葉を続ける。
「誤解しないでほしいんだけど……誰が君を助けたんだい? あの日、何があったの? それに君は丸一日行方不明だった。だから学校も君を死亡者として扱ったんだ。今はどこに住んでいるの?」
一気に質問が飛んできた。
私は唾を飲み込む。
嘘はつきたくない。
でも――本当のことを話す勇気が私にあるだろうか。
ない。
アロに真実を知られたくない。
私たちの裏側に存在する秘密の社会を。
魔術師たちの世界を。
私は普通の日常を守るために必死だった。
せっかく取り戻しかけたものを、また壊したくない。
アロは辛抱強く返事を待っていた。
「何か隠してるのかい、まなか?」
彼が一歩近づく。
「僕たちは一緒だろう? 何を抱えているのか知らないけど、一人で背負い込ませるつもりはないよ」
彼との距離が縮まる。
整った顔立ち。
優しさと勇気を兼ね備えた心。
どんな時でも前を向いて立ち続ける、本物の戦士みたいな人。
私の英雄。
たくさんの病気を抱えながらも決して弱音を吐かず、いつだって笑顔を見せてくれる。
私は彼を信じるべきだ。
決意を固める。
彼は私の恋人だ。
真実を話したくらいで離れていく人じゃない。
アロは私の居場所。
そうだ。
アロがいてくれれば、この《戦争のゲーム》だってもっと上手く乗り越えられる。
「アロ――」
「彼女なら私の家に住んでいるよ」
突然、別の声が割り込んできた。
私たちは同時に振り向く。
聞き慣れた声だった。
どうしてここにいるの?
なんでここに?
「若いお二人の邪魔をしてしまって申し訳ない」
その人物は軽く頭を下げた。
アロも礼儀正しく頭を下げ返す。
二人は同時ではなく、少し時間差で顔を上げた。
年上だと察したアロが、ほんの少し長く頭を下げていたからだ。
「失礼ですが、この辺りでお見かけしたことがありません。どちら様でしょうか?」
アロが尋ねる。
その人物は言うまでもなく――冬夜さんだった。
何をしているの?
まさか私を尾行していた?
それとも、また『どこでもドア』を使って来たのだろうか。
「いやいや、謝るべきは私の方だよ、若者」
冬夜さんは微笑む。
「私の名前は――小山だ。そう、小山京太郎だ」
「えっ!?」
私は思わず声を上げた。
アロも驚いている。
何を言っているの、この人は?
冬夜さんは冬夜さんであって、小山じゃない。
「小山……? それじゃあ、もしかしてまなかさんと何か関係が?」
アロが困惑しながら尋ねる。
冬夜さんはいったい何を企んでいるのだろう。
彼は平然と頷いた。
「そうだ。私は彼女の兄だよ」
アロの視線が私に向く。
確認を求めている。
答えを求めている。
一方で冬夜さんも私を見ていた。
その目は、『話を合わせてくれ』
と訴えていた。
私は――大好きな人に嘘をつかなければならない。
アロの視線から目を逸らした。
「う、うん……。お兄ちゃん……です……!」
「でも、君はお父さんが亡くなってから家族はいないって言っていたよね? それなのに、どうして今まで一度も聞いたことのないお兄さんが突然現れるんだい?」
さらに追及される。
すると冬夜さんが自然に会話へ割り込んだ。
「彼女の言うことは本当だよ」
冬夜さんは肩をすくめる。
「私は実の兄じゃない。従兄弟なんだ」
「ああ……そういうことですか」
アロは納得しかけたが、まだ完全には信じていないようだった。
「それなら、どうして今日ここに?」
その声には微かな冷たさが混じっていた。
私はこんなアロを見たことがない。
「どうしてここに、かい?」
冬夜さんは笑う。
「まなかちゃんは今、私の家に住んでいるからね」
――まなかちゃん。
なぜだろう。
そう呼ばれただけで心臓が少し速くなる。
アロは首を横に振った。
「まなかがあなたの家に住んでいることに文句はありません。家が壊されたんですから当然です」
しかし次の瞬間。
彼の声は鋭くなった。
「僕が聞いているのは別のことです」
空気が張り詰める。
「まなかが家族を必要としていた時、あなたたちはどこにいたんですか?」
怒っている。
表情には出していない。
だが間違いなく怒っている。
家族もいない少女を十年間も放っておいた相手に。
冬夜さんはため息をついた。
「若者。君は勘違いしている」
そして静かに尋ねる。
「ところで君は誰だい? なぜそこまで彼女のことを気にする?」
「何ですって?」
アロの眉が動く。
「僕は彼女の恋人です。あなたよりもずっとまなかのことを知っています」
「だから何だい?」
冬夜さんは平然としていた。
「それは関係ない。縁が切れたのは彼女の父親の責任だ」
「父親の責任?」
正直なところ、養父の浩樹が話題に出されても私は気にしなかった。
彼は養父だった。
私は彼に愛情を抱いたことがない。
「彼女の父親は、一族が認めなかった女性と結婚したんだ」
冬夜さんは続ける。
「二人は駆け落ちした。その結果、生まれたのがまなかちゃんだ」
彼は一瞬目を伏せた。
「彼女の母親は出産の時に亡くなった。そして私は――まなかちゃんの存在を数週間前に知ったばかりなんだ」
この章をお読みいただき、ありがとうございました!SodaKun Out ☆!




