恋人たちの再会
私たちは皆、愛し合う二人の再会を願っています。そこで、今日の章では、古典的なロマンチック映画のような再会をお届けします。
「どんな条件なんですか?」
私はそう尋ねた。
「例えば、目的地の正確な座標を入力しないと機能しない」
冬夜さんはダイヤルを回すようにドアノブを回し、私の学校の座標を設定し始めた。
「それだけですか?」
「まあ……そうだな。良い旅を」
私はドアを開いた。
その瞬間――目の前に広がった光景は異様だった。
強烈な光が私の視界を埋め尽くす。
「閉じる前に早く入れ!」
冬夜さんが叫ぶ。
私は光の中へ足を踏み入れた。
「あっ、最後の注意を忘れてた! 学校に着いたら気分が悪くなって吐きそうになるぞ! あと、学校が見え始めたらすぐに光の外へ出ろ! じゃないと永遠にその中に閉じ込められるからな!」
冬夜さんが慌てて警告する。
「なっ――!」
私の言葉は途中で途切れた。
もうランスロットも冬夜さんも見えない。
見えるのは虹色の模様だけ。
頭がおかしくなりそうだった。
「きゃああああっ!!」
私は絶叫した。
冬夜さんおすすめの移動方法とやらの中で、肺が潰れるほど叫び続ける。
すると――目がどんどん大きくなっていく。
しかも変なものまで見え始めた。
月にいる人間。
黒い泥。
男が女の子の――
「な、何見せられてるのよぉぉぉ!?」
目が飛び出しそうだった。
漫画みたいに風船のように膨らんでいる気がする。
「うぐぅぅっ!! 冬夜さんのバカぁぁぁっ!!」
学校が見えた瞬間、私は光の中から飛び出した。
そのまま膝をつく。
顎が痛い。
目も見てはいけないものを見すぎた。
女の子が見るべきじゃないものまで見てしまった気がする。
胃の中がぐるぐる回る。
吐きそうだ。
昨日飲んだ十五杯のバタースコッチビールは冗談ではなかったらしい。
本当に飲みすぎていた。
私は学校の前の道路で腹を押さえながらうずくまった。
学校の真正面で吐くわけにはいかない。
最速の移動手段?
うん。
安全な移動手段?
絶対に違う。
もう一度使いたいか?
二度とごめんだ。
「大丈夫?」
優しい声が聞こえた。
「ほら、手を貸して。つかまって」
差し出された手を私は掴んだ。
彼は私を立ち上がらせてくれる。
足元がふわふわする。
「君をこんな姿で見たのが僕で良かったよ。じゃなかったら学校中の話題になってた」
私は助けてくれた人の顔を見上げた。
「そんな……」
否定の言葉が漏れる。
目に涙が溢れてきた。
止まらない。
悲しみの涙じゃない。
嬉しさの涙だった。
私の日常は、まだ完全には壊れていなかった。
「ま、まなか!? なんで泣いてるんだ!?」
彼は慌てていた。
きっと私が泣いている理由なんて分からないのだろう。
「生きてたんだね、アロ!」
私は彼に抱きついた。
「あわわっ!?」
戸惑いと照れが混じった声。
当然だ。
今まで手すら繋いだことがなかった私たちが、いきなり抱き合っているのだから。
私は彼の匂いを吸い込む。
間違いない。
アロだ。
抱き返してくれる手の優しさも同じ。
私の目は騙されない。
白い髪。
温かさと優しさしか宿していない瞳。
私が愛している人。
人生を捧げたいと思った人。
「生きててくれて、本当に良かった……!」
私は彼の肩に顔を埋めながら泣いた。
嬉しくてたまらない。
あの事件でアロは死んでいなかった。
それだけで胸がいっぱいになる。
やがて私たちは抱擁を解いた。
私の顔は真っ赤だった。
アロの顔も同じくらい赤い。
色白だから余計に目立つ。
私は涙を拭い、柔らかな声で言った。
「生きててくれて本当に嬉しい。アロがいない人生なんて考えられなかったから」
彼はまだ顔を赤くしたまま頭を掻く。
可愛い。
「ま、待って。それってどういう意味?」
「え? だって襲撃が起きたのって部活動が終わる頃だったでしょ? だから私は――」
「ああ、そういうことか」
アロは納得したように頷いた。
「確かに、あの夜は僕も死んでいたかもしれない。でも突然レイの体調が悪くなって、それで帰ることになったんだ」
「レイ君? ああ、放課後に会ったよ」
そう。
あの日、私は冬夜さんのミュトス――ラインハルトを初めて見た。
レイ君と話していたあの時だ。
結局、何をしていたのかは分からないけれど。
「レイが心配だったんだ。あの子、部活を休むことなんて一度もなかったから。だから僕も部活を切り上げて帰った」
「残ってなくて本当に良かった」
「そうだね。でも……」
彼は笑っていなかった。
いつも笑顔の彼が、今日は笑っていない。
表情には悲しみが浮かび、瞳には罪悪感が宿っていた。
「僕はレイのおかげで助かった。でも、部活に残っていた友達も先輩も後輩も、みんなあのテロ事件に巻き込まれた」
「テロ事件……?」
彼は不思議そうに私を見る。
「あっ……う、うん! テロ事件!」
私は視線を逸らした。
本当に私は馬鹿だ。
政府はミュトス同士の戦いで起きた惨劇を隠すために、テロ事件ということにしているのだった。
「学校の追悼式には行こうと思うんだ。亡くなったみんなに最後のお別れをしたいから」
私はそう言った。
「まなか」
「なに?」
「何の話をしてるんだ?」
アロは首を傾げた。
「それ、昨日だったじゃないか」
私の目が大きく見開かれる。
追悼式が昨日?
そんなはずない。
今日ニュースで聞いたばかりなのに。
「えっ……?」
アロは視線を逸らした。
「君が生きててくれて本当に良かったよ。だってテロ事件が起きた場所のすぐ近くに君の家があったから」
そして静かに言った。
「学校では、君はもう死亡したことになってたんだ」
この章をお読みいただき、ありがとうございました!SodaKun Out ☆!




