ビールの効果
昨日アップロードできなくてごめんなさい!昨日は家族と過ごす時間だったので、許してください!さて、これはただのビールの章です!!
頭が重い。
「えぇ……」
ゆっすりと目を開ける。
瞼を開くのがひどく辛い。頭が痛い。まるで意識が水の中を漂っているような感覚だった。
「んん……」
無理やり目を開いてみても、視界はまだぼやけている。すべてが揺れて踊っているように見えた。
辛い。
少しずつ意識がはっきりし、視界が鮮明になるにつれて、自分の置かれている状況が見えてきた。
私は硬い床の上に横たわっていた。
「うぅ……」
身体中が痛む。
手足を動かすことすらできない。
昨日何があったのか思い出そうとするが、どれだけ考えても記憶が曖昧だった。
なぜだろう。
「バタースコッチ!」
その瞬間、身体が跳ね起きた。
気を失う前の最後の記憶。
あのバタースコッチビールを飲んでいたことだ。
床から起き上がろうとしたが、疲労と痛みで身体が言うことを聞かない。
頭痛もひどい。
「なんとも見事な光景だな。若い娘が酔い潰れて床を這っている。実に詩的で、そして哀れだ」
冷たい声が耳に響いた。
顔を上げる。
まだ視界は少しぼやけているが、誰なのかは分かった。
忘れられるはずがない。
燃えるような長い金髪。
温もりを一切感じさせない黄金の瞳。
ラインハルト――いや、冬夜さんは彼を『ハイドリヒ』と呼んでいた。
昨日と同じ服装だ。
毛皮付きの黒いジャケットに黒いズボン、そして白いTシャツ。
今、私のことを酔っ払いと言ったのか?
目は必死に開こうとしているが、脳は休息を求めていた。
「……なに?」
口から漏れた声は、普段よりもずっと弱々しかった。
「ふふっ。お前には少し期待していたのだがな。どうやら正気ではないらしい。理性のない道化では王を楽しませることもできん」
言葉は容赦なく、あからさまな嘲笑だった。
私を見下している。
「ハイドリヒ、それくらいにしておけ」
別の声が部屋に響いた。
すぐに分かった。
この家の主人――冬夜さんだ。
「誰がお前に口を挟む権利を与えた、冬夜?」
傲慢なミュトスの声がさらに鋭くなる。
彼は苛立たしげに舌打ちした。
「チッ。人を馬鹿にする権利なんて誰も持ってないだろう。見下すことで自分を偉く見せたいのか?」
「私は誰かを愚か者扱いして自分を優れているように見せる必要などない。なぜなら私は実際に優れていて、お前たちは愚かだからだ。その違いだよ」
彼は鼻で笑った。
「頂点に立つ者が下を見下ろすのは当然のことだ」
その言葉には自信ではなく、傲慢さそのものが詰まっていた。
「それに、その娘は酔っ払って床に転がっている。まるで道化だ。自ら最も情けない姿を晒しているではないか」
冬夜さんは諦めたようにため息をついた。
この英雄霊の巨大な自尊心には、何を言っても無駄なのだろう。
「彼女は俺が連れていく」
そう言うと、彼は私の服を掴み、そのまま持ち上げた。
「ひゃっ!」
思わず悲鳴が漏れる。
「ハイドリヒ! 何をしているんだ!? 彼女は人間だぞ!」
「私が動物だと言ったか? そんな記憶はないな」
口元に意地の悪い笑みを浮かべながら、彼の顔が私に近づく。
「こうして近くで見ると……本当に酷い顔だな」
次の瞬間。
彼は私の身体を手放した。
ドサッという音と共に床へ落ちる。
「度が過ぎているぞ」
年老いた声が黄金の英雄の傲慢さを諫めた。
気づけば視界はすっかり鮮明になっていた。
ランスロットが私の前に立っている。
もうあの騎士らしい装束ではない。
代わりに着ているのは――まるで浮浪者のような服だった。
「何を見ている?」
ランスロットは答えない。
「吠えることしかできない番犬か?」
「我々は同盟を結んでいる。侮辱的な言葉は控えていただきたい」
「は? 敬意を期待しているのか? 冗談だろう」
ハイドリヒは鼻で笑った。
「その格好で私に話しかけておいて敬意を求めるとはな。まるで物乞いが施しを求めているようだ」
冬夜さんが怒鳴った。
「もういい加減にしろ! ハイドリヒ!」
その言葉に、ハイドリヒの表情がわずかに歪む。
「俺が召喚者だってことくらい理解しているだろう。命令すれば、お前を霊体化させることだってできる」
「チッ……」
黄金の英雄は振り返ることなく部屋を出ていった。
冬夜さんは私たちに向き直る。
「彼の無礼な態度については謝る。あの言葉で同盟に影響が出ないことを願っている」
それから私を見て苦笑した。
「それと……君があんなに酔っ払ったのも俺の責任だな」
冬夜さんは頭を下げた。
私は首を傾げる。
「わ、私……覚えてません。最後に覚えているのは、バタースコッチビールがすごく美味しかったことだけで……」
「小山さん。ビールはビールだよ」
冬夜さんは肩をすくめた。
「まあ、誰でも飲める酒ではある。ロシア人が作った有名な飲み物なんだ」
「有名?」
私はなんとか立ち上がった。
足が少し震えている。
「昔、ロシアの若者たちが大人の気分を味わいたいと思って作られたと言われている。普通の酒よりずっとアルコール度数が低いから、本来なら君が潰れることなんてなかった」
そこで彼はため息をついた。
「ただし、十五杯も飲まなければな」
「じゅ、十五杯!?」
思わず声が裏返った。
ランスロットが静かに頷く。
「お嬢様は部屋を出ようとなさらなかったのです。何度もおかわりを求め、飲み続け、そして倒れました」
彼は苦笑した。
「まさか、あれほど若いお嬢様がそこまで飲まれるとは思いませんでした」
顔が一気に熱くなる。
恥ずかしい。
なんてことをしてしまったんだろう。
「そんなに気にする必要はないよ、小山さん」
冬夜さんは優しく言った。
「初めて魔術世界に触れたんだ。まだ見習いなんだから」
「見習いなのは分かってます……だからって何度も言わなくてもいいじゃないですか……」
この章をお読みいただき、ありがとうございました!SodaKun Out ☆!




