英霊の種類
同盟が結成された。情報交換も良いね!ラインハルトが一番好き!
「バランスタイプです」
「バランスタイプだと!?」
ラインハルトの顔に、わずかな笑みが浮かんだ。
「興味深いな」
私は二人の顔を見比べる。その視線が物語っていた。それがとても珍しいものだということを。
「どうしてそんな目で私を見るんですか?」
冬夜さんは我に返ったように目を瞬かせた。ぽかんと開いていた口を閉じる。
「冗談だろ……!」
「説明してください」
彼は深く息を吸った。
「バランスタイプというのは、ミュトスの中でも極めて珍しい分類だ。弱点を持たない者だけが、その分類に入ることができる」
彼は続ける。
「どの分野にも秀でていて、どの分野にも欠点がない。まさに万能型だ」
「万能型……?」
私は首を傾げる。
「バランスタイプというのは、他の六種類の特性をすべて持つミュトスのことだ」
「六種類?」
彼は頷いた。
「ミュトスは戦闘スタイルによって七つのタイプに分類される。言ってしまえば、異世界における武術の流派や戦闘分類のようなものだ」
そう言うと、彼は自身のミュトスへと視線を向けた。
「ハイドリヒ、お前は知っているか?」
「いや。しかし、その知識の原型は私の時代に存在していたはずだ。あらゆる体系は私の時代へと遡る」
彼はそう言った。
冬夜さんはため息を吐き、再び説明を続ける。
「兄貴の日記によれば、ミュトスには七つの戦闘系統がある。バランス、ウェポン、アジャイル、マナ、エクストラ、アサシン、タンク。この七種類だ」
「じゃあ、バランスタイプは他の六種類の特徴を全部持っているんですか?」
「その通りだ」
私の視線は玉座に座る美しい英雄へと向けられる。
昨夜――彼は学校を破壊した怪物たちの一人だった。冬夜さんは彼をラインハルトと呼び、今はハイドリヒと呼んでいる。
「冬夜さん……あなたのミュトスはどのタイプなんですか?」
私が尋ねると、答えたのは冬夜さんではなかった。
「私はウェポンタイプだ」
ラインハルトだった。
「ウェポンタイプ?」
「参考までに教えてやろう。ウェポンタイプのミュトスは遠距離戦の達人だ」
「遠距離戦――!」
しかし冬夜さんが話を遮った。
「一つ聞きたい、ハイドリヒ。お前はウェポンタイプなのに、昨日は接近戦をしていたじゃないか」
黄金の英雄の口元に傲慢な笑みが浮かぶ。
「それは私自身が優れているからだ」
彼は冷ややかに言った。
「凡人には天才の価値など理解できん。昨日、私は接近戦をしていたのではない。武器を切り替えながら距離を調整していただけだ」
ラインハルトはそう説明した。
「ウェポンタイプの特徴は何なんですか?」
私のミュトスである老人はバランスタイプだ。他のタイプの特徴を知っておけば役に立つだろう。
冬夜さんが説明を始めた。
「ウェポンタイプは強力な切り札を持っている」
「切り札?」
「そうだ。異世界の遺産と呼ばれるものだ。ミュトスには二種類の能力が存在する。一つはギフト。もう一つが異世界の遺産だ」
「違いは?」
「ギフトは、生まれながらに持つ能力だ。異世界に生まれた時から授かっている才能のようなものだな」
彼は続ける。
「一方、異世界の遺産は伝説そのものだ」
「伝説……?」
「そうだ。彼らが生涯を通して築いた伝説が力となったもの。それが異世界の遺産だ」
「つまり、生まれつきではなく、人生の中で獲得する力?」
「その通り」
冬夜さんは頷く。
「異世界の遺産は奇跡の領域へ到達した伝説の再現だ。武器である場合もあれば、服、魔法、あるいは骨のような身体の一部であることもある」
老人が振るっていた漆黒の剣。あの剣からは凄まじいマナが放たれていた。あれが異世界の遺産なのだろう。
「切り札って言いましたよね……ということは、ミュトスは一つしか異世界の遺産を持たないんですか? でもラインハルトさんはたくさん武器を持っていますよね?」
冬夜さんはため息を吐いた。
「普通はそうだ。大半のミュトスは異世界の遺産を一つしか持たない」
「大半?」
「例外があるんだ」
「例外?」
「エクストラタイプだ。こいつらは複数の異世界の遺産を持っている。言ってしまえば反則みたいな戦闘系統だな」
そしてラインハルトへ視線を向ける。
「それで、ハイドリヒの場合――」
「私の武器すべてが異世界の遺産というわけではない」
ラインハルトが静かに言葉を継いだ。
「異世界の遺産とは、膨大なマナを消費して真価を発揮する究極の切り札だ。私の武器にも強大なマナは宿っているが、すべてが異世界の遺産級というわけではない」
その声は冷たく、それでいて王の威厳を感じさせた。
「じゃあ、それはギフトなんですか?」
冬夜さんが首を傾げる。
ラインハルトは真面目な表情で答えた。
「そうでもあり、そうでもない」
「どういう意味だ?」
「私のギフトは極限まで昇華され、異世界の遺産の一部と見なされる領域に達している。しかし、それは私の真の異世界の遺産ではない」
ラインハルトは無表情のまま答えた。
「ところで、あの怪物はお前に異世界の遺産を使わなかったのか?」
「異世界の遺産と呼ぶには微妙だな。奴は手加減していた」
ラインハルトは鼻で笑う。
「どれほど弱い異世界の遺産であろうと、高位のミュトスなら一撃で葬れる力を持つ。恐らくは、あの臆病な召喚者の命令だろう」
ラインハルトと冬夜さんの会話は、私には難しい内容ばかりだった。怪物――あの夜の怪物。生徒の首を掴み、血を飲んでいた姿が脳裏に蘇る。
「彼女を休ませてやるべきだろう」
ラインハルトが立ち上がった。
「同盟の件、感謝する。小山君」
二人はそれぞれ席を立つ。
黄金の玉座が静かに消えた。
「ほらよ、小山君」
冬夜さんはポケットから何かを取り出し、私に向かって投げた。私は慌てて受け取る。
「……?」
手の中にあったのは、小さな飴だった。
私は戸惑いながら、その飴を見つめた。
この章をお読みいただき、ありがとうございました!SodaKun Out ☆!




