アライアンス
同盟モードに突入!永遠の拷問に苦しむ主人公を迎え入れよう!
「小山くん、君に同盟の提案をしたい。受けてくれるか?」
「同盟?」
冬夜さんは頷いた。
「ああ、同盟だ。昨日の出来事で君が混乱しているのは分かっている。だが、俺たちが生き残るためには同盟を組むのが最善なんだ」
その声色は真剣そのものだった。
「俺たちは目の前の問題を一人では解決できない。教えてくれ――昨日みたいなミュトスを、君一人でどうやって倒すつもりだ?」
「昨日……?」
私の脳裏に、あの巨大な怪物の姿が浮かぶ。
圧倒的な暴力の塊。神だと呼ばれていた怪物。本気を出せば、この街など簡単に廃墟へ変えてしまうだろう。武器は己の肉体のみ。それだけで十分だった。あの怪物は老人と互角以上に渡り合い、力だけで押していた。もし武器まで持たせたら――誰にも止められない。
顔から血の気が引いた。
「私が気絶した後、どうなったんですか?」
私は尋ねた。
大事な質問だ。いや、私が最も知りたいことの一つだった。あの神父にもう一度会いたい。たとえ命を懸けてでも。なぜ彼は弘樹の名前を知っていたのか。どうして弘樹のことを知っているのか。
「政府が介入を決めた後、サンティーノは戦闘から撤退した」
「それだけですか?」
「ああ」
「じゃあ、どうして私は冬夜さんの家にいるんですか?」
冬夜さんは呆れたような顔をした。
「安全だからだって言っただろう。理解する頭もないのか?昨日、俺たちは魔術師狩りと遭遇したんだぞ。しかも相手はバチカン円卓会議の一員だ。全員が一流の魔術師狩りだぞ?自分たちが魔術師であり、さらに召喚者だと知られたのに、あの神父が見逃してくれると思うのか!?」
突然の怒鳴り声だった。額には漫画みたいに青筋が浮かんでいる。
「落ち着け。彼女が怯えている」
別の声が割って入った。
冬夜さんのミュトス――金髪の英雄が部屋へ戻ってくる。今度は服を着ていた。黒いファー付きジャケット。白地に黒いラインの入ったシャツ。黒いパンツ。正直に言うなら――かなり格好いい。
「ハイドリヒ、その服どこで手に入れたんですか?」
冬夜さんが質問する。
「王たる者、常に流行の最先端を身に纏うものだ。貴様に私を評価する資格はない」
相変わらず冷たい声だった。温かみが一切ない。
まるで物語の悪役みたいだ。
そして彼が腰を下ろそうとすると、どこからともなく玉座が現れた。当然のようにそこへ座る。
「まさか貴様が、ただの見習い魔術師と同盟を結ぼうとしているとはな」
黄金の瞳が私を見つめる。まるで全てを見透かされているようだった。私は思わず毛布を引き寄せる。
彼は首を傾げながら召喚者へ視線を向けた。
「ゲーム・オブ・ウォーの規則を説明してやれ。同盟の重要性くらい理解させるべきだろう」
冬夜さんは歯を食いしばった。
「分かっていますよ、ハイドリヒ」
どうしてハイドリヒ?この人の名前はラインハルトじゃなかったの?
そんな疑問を抱いていると、冬夜さんが深呼吸して説明を始めた。
「正直に言うと、俺もこのゲームについて詳しいわけじゃない。率直に言えば、このゲームは一度も終わったことがないんだ。システムは最後の生存者に報酬を与えると言っているのにな」
「報酬?」
「そうだ」
彼は頷く。
「君が老人のミュトスと契約した時に現れたシステム画面だ。あれはゲーム画面なんだ」
「あっ」
確かに契約した時、私の前にも画面が現れた。
「その報酬って何なんですか?」
「誰も知らない」
冬夜さんは肩を竦めた。
「誰も最後まで生き残ったことがない。だから勝者に与えられるはずの報酬も、一度も確認されたことがないんだ」
「どうしてですか?」
その時、ラインハルトが口を開いた。
「理由は単純だ。下等な虫けら共には理解できんだけの話だ」
彼は鼻で笑う。
「このゲームは、この街だけで行われているわけではない。規模は遥かに大きい。世界規模だ。毎日、新たなプレイヤーが登録され、新たなミュトスが世界中で召喚されている」
その言葉に私は衝撃を受けた。
確かに。新しい参加者がいつでも増えるゲームなら、最後の一人など決まらない。ゲームが終わるはずもない。
冬夜さんはポケットからノートを取り出した。いや、日記帳だった。それをベッドの上に置く。
「亡くなった兄の手記だ。ほとんどの情報はここに書かれている。プレイヤーに必要な情報がな」
「情報?」
彼はページをめくる。ふと気付いた。ページの一部が破り取られている。何故だろう。
「この記録によれば、ミュトスには分類がある。大きく七つのカテゴリーに分かれているらしい。『システム・オープン』と言えば、自分のミュトスの情報を確認できる」
「システム・オープン」
そう言うと、目の前にゲーム画面が現れた。
ステータス画面だ。
老人の能力値が表示されている。
『攻撃力』B。
『防御力』B。
『速度』B。
『マナ』A。
そして――『戦歴』AA。
「AAって何ですか?」
「Aランクが五ポイントだ。AAはその上だな。五・五ポイントみたいなものだ」
「じゃあAAAなら?」
「六ポイントだ」
なるほど。
つまり彼は五つ星級のミュトス。星は異世界での影響力や知名度を示しているのかもしれない。
冬夜さんは咳払いした。
「それで聞きたいんだが……君のミュトスのタイプは何だ?どのカテゴリーに属している?」
「カテゴリー?」
「そうだ」
私は画面を見直した。ステータス欄の下。そこに記載されている。
【タイプ:バランス】
「バランスタイプです」
「バランスだって!?」
冬夜さんの目が大きく見開かれる。
その横で、ラインハルトの口元がわずかに歪んだ。
「ほう……」
黄金の瞳が細められる。
「少し興味が湧いたな」
この章をお読みいただき、ありがとうございました!SodaKun Out ☆!




