湯冷めのあとに、のぼせちゃいました
♢
「ヘェーークシュン!」
「あら、アーサー、風邪でも引いた? きっと湯冷めしたのね」
「誰のせいだと思ってる」
「あら。まだあたしにそんな口きいて、いいのかしら?」
あぁーー。エミリさんが、アーサー様に睨み効かせてる。これだとまるで、アーサー様も、ヘビに睨まれたカエルみたい。
「いいわ。わたしが僧侶の魔法で、風邪なんてすぐに治してあげる」
「いや。いい……」
「どうして?」
ん? アーサー様、あたしの方を見てる。
「ハハァーーン。そう。誰かに看病してほしいのね」
看病? アーサー様、まだそんな酷い風には見えないですけど。
「あら、ヤダ。どうやら熱もあるようね。それじゃ、お願いね。巫琴ちゃん」
エミリさん、そのウインクの意味とは? これはまさに、遂に巡ってきたチャーーンス、ですかぁーー!?
「わっかりましたぁーー! あとは、この巫琴めにお任せください!」
「なんだか、本当に熱が……。あぁ……」
「はい。しっかりしてくださいね、アーサー様。この温泉宿の部屋に行きますよ」
「スマンな」
♢
「はい。アーサー様。このベッドに横になってください」
「あぁ……」
「えーと、熱はー」
うわっ!? ホントにある!? 嘘じゃなかった。
えーーっと、薬はないから……。取りあえず、桶と水とタオル……。それと、氷があればいいんだけどなぁーー。そんなものがあるわけないし……。
ん? ひょっとして、イケるかも!
「アーサー様。桶とタオル、借りてくるんで、ちょっと待っててください」
♢
ヨーシ。桶に水とタオルは貸してもらえた。あとは氷。
まだやってみたことはないけど、たぶんできるはず……。
「桶の中の水よ。凍れ……冷たい氷になれぇー」
思ったイメージ通り、魔法の力で水が凍っていくぅ……。だけどぉーー。あたしの手も冷たい……。でも、アーサー様のため、我慢ガマン……。
こんなに手が冷たくなるってわかってたら、手袋してやればよかった。次からは、そうしよう。
ヨーシ。もういい感じに氷になったかなぁー。これをついでに借りた、木槌で叩きまして……。これでヨーシ。
♢
「お待たせしました! アーサー様。これでしっかりと、熱が下がりますよぉーー」
「冷た!? なんだこれは!?」
「なんだって、氷ですけど。知りませんか?」
「それは、氷なら、もちろん知ってる。今は真冬でもないのにどうして?」
「どうしてって、あたしが魔法で凍らせましたけど。それがなにか?」
「そうか。魔法か……。って!? お前、手が真っ赤じゃないか!?」
「あぁー。これですか。水を凍らせたときに、手も冷たくなっちゃいました。それでですね」
「そうか。すまなかったな。ありがとう、巫琴」
って!? アーサー様が、あたしの両手を、しっかりと握って!?
「ピー! ポーー! あたしの方が熱が出るぅーー! 湯気が噴出して、のぼせちゃいますぅーー!」
「おい! 大丈夫か、巫琴……」




