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式部省の呪詛係  作者: 浮田小葉子
第三章 偽りの呪詛
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一 作られた怪異

 弥生(三月)

 春の訪れとともに、京の都は今を盛りとばかりに華やいでいた。

 しかし、その華やぎの裏で、不穏な噂が流れ始めていた。


 ——右大臣派の貴族たちが、次々と病に倒れている。


 その朝、藤原真薫(ふじわらのちかゆき)が式部省に出仕すると、藤原兼遠(ふじわらのかねとお)が待っていた。


「やあ、真薫くん。また仕事だよ」


 兼遠は、いつもの軽い調子で言った。

 しかし、その目は笑ってはいない。


「今度は何でしょうか」


「右大臣派の貴族が、三人も病気になってね」

 兼遠は、報告書を真薫に渡した。

「これ、呪詛だから」


「……呪詛、ですか」


「うん。左大臣派が呪詛をかけたんだって。だから、そう報告書を書いて」


 兼遠は、あっけらかんと言った。


「調査は?」


「もちろん、形だけはしてよ。定明(さだあきら)くんも一緒に」

 兼遠は、真薫の肩を叩いた。

「真薫くん、わかってるよね」


 その声には、わずかな重みがあった。


「……はい」

「じゃ、よろしく」


 兼遠は、手を振って出て行った。



 真薫は、報告書を見た。


 ——藤原義光(ふじわらのよしみつ)邸、怪異の報告。

 ——藤原泰房(ふじわらのやすふさ)邸、同じく。

 ——源時信(みなもとのときのぶ)邸、同じく。


 義光と泰房は藤原氏、時信は源氏。

 いずれも右大臣藤原道顕(ふじわらのみちあき)派の中堅貴族だった。


「……またか」


 真薫は、小さく呟いた。



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