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ヘルト・ア・シクザール  作者: 笹村 凉夜
7/9

どうも、お久しぶりです。

次話の執筆をしていたら、間違って削除のボタンを押してしまい、数日間放心していた笹村です。

本来は凛哉の試験の方を五千字ほど書いてたんですけど、なんかミスっちゃいました…


まぁ、同じ文を書く気がどうしても起こらなかったのでロイズ達の話を書くことにしました。

では、どうぞ

 時は少し遡り、凛哉が『まどれーぬ』を出た後、マカロフは店の扉にかけてあるオープンと書かれているプレートを裏返してクローズにした。 凛哉からロイズを預かったため、今夜の営業は止めにしようと考えたのだ。 『まどれーぬ』は基本マカロフとカレンだけで回しているので、営業している間はロイズを放置してしまうことになる。 かといって客人に働かせるのもどうかと思った結果が店を閉めるということだった。


 「さて、ロイズちゃんや。 もう少ししたら夕食の準備をしようと思うのじゃが、何かリクエストはあるかな?」

 「え、私が決めちゃっていいの!?」


 マカロフに夕食のメニューは何がいいか聞かれ、先ほどまで誰よりも食べていたはずのロイズは目を輝かせる。

 そんなロイズを見て、カレンは若干の苦笑を浮かべる。


 「じゃあねぇじゃあねぇ、さっきはお肉を食べたから、次はお魚がいいなっ!」


 こんがりと焼かれた魚でも想像したのか、ロイズの喉から唾を飲みこむ音が聞こえてきた。


 「ほっほっほ。 良いよ、今夜は魚料理にしようかの。 カレンもそれでいいかの?」

 「うん、いいわよ。 あ、私はいつもより少なめがいいな」


 自分のお腹を擦りながらそう言うカレン。 先ほどまで、ロイズほどではないにしろお菓子などを食べていたので、実を言うと、夕飯は食べなくてもいいかな、とも思っていた。


 「分かった。 では、食料調達に行くかの」


 そう言って、マカロフは外に出て行く。


 「「いってらっしゃーい!」」


 ロイズとカレンは同時にそう言って、マカロフを見送る。

 マカロフが出て行った扉が閉まると、カレンは「よし!」と言って厨房の方へと歩き出す。


 「ロイズちゃん、こっちに来て~。 おじいちゃんが帰って来る前にお風呂入っちゃいましょ~」


 厨房の隣にあるドアを開けながら、カレンはロイズに手招きをする。


 「うんっ!」


 ロイズはそれに嬉しそうに返事をすると、駆け足でカレンの元に向かって行った。








 店の奥はカレン達の自宅となっている。 『まどれーぬ』は元々、マカロフの住んでいた家を増築して営業を開始したものなのだ。

 既に風呂の準備は済んでいたらしく、ロイズ達は風呂場へ直行した。

 この家の風呂は決して広いとは言えないが、女の子が二人で入っても大丈夫なほどの面積はある。

 ロイズは鼻歌交じりに服を脱いでいく。


 「ロイズちゃん、ご機嫌だねぇ。 お風呂好きなの?」

 「う~ん…。 まぁ、どちらかといえば好きかな?」

 「そうなんだ。 あんまりにご機嫌そうだったから、てっきり大好きなのかと思っちゃたわ~」


 そう言って、カレンも自分の服に手をかけ始めた。


 「ん~。 まぁ、ちゃんとしたお風呂は三日ぶりくらいだから。 機嫌が良いのはそのせい」

 「え!? そうなの!?」


 ロイズの何気ないカミングアウトにカレンは驚いた。


 「うん。 ここ三日はずっと街も村も無かったから、近くの川や湖で水浴び…と……か……」


 すると、話している途中で“あるモノ”を見てしまったロイズは固まってしまう。


 「? どうしたの?」


 急に固まったロイズをみて、カレンは不思議そうに首をかしげる。

 だが、ロイズは固まったまま動かない。 いや、かろうじて首だけはぎこちなく動いていた。

 その視線は自分のそれ(・・)と、カレンのそれ(・・)を交互に彷徨っている。

 そして、少し震えた声でカレンに話しかけた。


 「カレンってさ…今、何歳…?」

 「え? えっと、十七歳だよ? 今年で十八歳になるけど…」


 固まったかと思ったらいきなり年齢を聞かれ、カレンは戸惑いながらも質問に答える。


 「そっかぁ…十七かぁ…。 ははっ、私と一歳しか変わらないのに…」


 カレンの答えを聞いて、ロイズは力なく笑い、カレンはそんなロイズを見て一層困惑する。


 「え? え? 本当にどうしたの? 私、何か気に障ることしちゃったかなぁ」

 「いや、カレンは悪くないよ、うん」


 何とか正気?に戻ったロイズはどこか遠い目をして“あるモノ”————カレンの豊満な胸から視線を外す。


 (服を着てた時は大きくは見えなかったのに…。 着痩せするタイプだったのかぁ…。 私もあと一年であそこまで育つかな…。 育てばいいなぁ…)


 そんなことを思いながら、少々小ぶりな自分の胸に手を当てるのだった。





     *     *     *     *





 風呂から上がると、ロイズはだいぶショックから立ち直っていた。

 まぁ、貸してもらったカレンのパジャマの一部が極端にブカブカで、ちょっと涙目で牛乳を大量に飲み、またもやカレンを困惑させたのだが…。


 ロイズとカレンが髪を乾かし終わった頃には、既に食卓には大量の魚料理がところ狭しと並んでた。


 「あ、おじいちゃん帰ってたんだ」

 「ああ、もう準備も終わっとるよ。 今日は良く釣れたから、ちょっと品が多くなってしまったがの」

 「え? 良く釣れたって、店長さん、釣りに行ってたの?」


 ロイズがマカロフに聞く。


 「ああ、そうじゃよ。 儂は、食材は買うのではなく狩ってくるんようにしとるんじゃ。 そっちの方がより新鮮だからの」


 

 そんな会話をした後、三人はそれぞれの席に着く。

 ちなみに、今居る食卓は店の方ではなく、奥の自宅の方である。

 最初こそ、作り過ぎたか、と思っていたマカロフであったが、ロイズが全く速度を落とさずにもりもりと美味しく調理された魚たちを見て、マカロフの心配は杞憂に終わった。


 


 「ふぅ、ご馳走様でしたっ!」


 ロイズは最後に水を飲み、手を合わせて言う。


 「お粗末。 良い食べっぷりじゃったのう」


 マカロフはそう言って笑う。


 「えへへ。 ホントに美味しかったよ、店長さん! ありがとう!」


 ロイズも無邪気な笑顔で返す。


 「さて、と。 今夜のうちに洗い物もせんとな」


 そう言って、空になった皿を持って立ち上がるマカロフ。


 「あ、手伝うよ、おじいちゃん」


 マカロフに続いて立ち上がろうとするカレンを、マカロフは皿を持っていない方の手で制す。


 「大丈夫じゃよ。 カレンはロイズちゃんと話でもしときなさい。 たまには休んでも罰は当たらんじゃろうて」

 「そう? じゃあ、お言葉に甘えちゃおっかな。 ありがとう、おじいちゃん」


 カレンの言葉を聞くと、マカロフは柔和な笑顔を浮かべて台所に向かった。


 「じゃあ、ロイズちゃん。 何かしたいこととかある?」


 マカロフの姿が台所の方へ消えるのを見てから、カレンはロイズに向き直る。

 すると、ロイズが丁度大きな欠伸をして、眠そうに目を擦っていた。


 「ふふっ、お腹いっぱい食べて眠くなっちゃった?」

 「そんな子供っぽい理由じゃないよ~。 ただ、ずっと歩いてたから疲れが溜まっちゃってて…」


 眠そうに答えるロイズを見て、カレンは再度微笑む。


 「じゃあ、そう言うことにしとこうか。 とりあえず、私の部屋に行く?」

 「ん…」


 ロイズは眠そうにしながらも頷いた。


 「じゃ、こっちにおいで~」


 カレンは立ち上がり、ロイズと共に自室へ移動する。




 


 カレンの部屋に入ったロイズが最初に発した言葉はこうだ。


 「大きいベットだねぇ。 …まさかここに凛哉を誘い込んだりとかしてないよね?」

 「ぶふぅっ!!!」


 カレンが思わず吹き出すくらいには中々衝撃的な発言だった。

 

 「けほっけほっ! ロ、ロイズちゃん!? 何言ってるの!?」


 盛大にせき込みながら、カレンはロイズに言う。

 一方のロイズは、発言自体は眠気のせいでボーっとしており、あまり意識して話していなかったが、今のカレンの反応で多少眠気が飛んだらしく、先ほどまで半開きだった目もしっかりと開かれていた。


 「いや、だってカレンも凛哉のことが好きなんでしょ? だったらそういう展開になったこともあるんじゃないかなぁって思って」

 「い、いやいやいやいや! 確かに凛哉君の事は気になってるかもだけど、さすがに二人っきりでベットに入ったりはしてないよ!?」

 「ふうん、やっぱり、気になってはいるんだね~」

 「はっ! い、いや、今のは言葉の綾というかなんというか…!」


 面白いくらいに取り乱すカレンを見て、ロイズはため息を漏らす。


 「凛哉ったら、やっぱりこっちでもフラグ立ててるんじゃない。 何が、『王都のみんなは大丈夫なはず』なんだか…。 まぁ、凛哉らしいかな?」


 そんなロイズの独り言は取り乱しているカレンの耳には届いていない。

 ロイズはもう一度、今度は諦めを含んだため息を零してから、顔を真っ赤にして何かを言っているカレンを横目に、ベットに潜り込んで、自身の睡眠欲に従い、目を閉じた。

ちょっと強引に進めてしまった感はありますが、満足はしていますっ!

誤字・脱字がありましたら、ご報告お願いします。

感想等もお待ちしてます!


あと、私事ではありますが、一昨日、熊本の大学に進学した高校の先輩方の全員の無事が確認されました。 良かった!


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