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ヘルト・ア・シクザール  作者: 笹村 凉夜
5/9

投稿が遅くなってしまい、大変申し訳ございません!

まぁ、この作品の続きを待ってくれている人がいるのかは分かりませんが…。 そもそもこれを読んでくれている方はいるのか…?


読んでくれている方がいることを願っています。

そして、感想をいただけたらなお嬉しい!

どうか、どうかよろしくお願いします!

 アリアに部屋に案内してもらった後、凛哉は暇を持て余していた。

 アリアは食事を取るために部屋を退室しており、今は凛哉一人で何もすることがなく、ただただぼけ~っとしていた。


 「風呂にでも行こうかな~」


 ふと、そんな事を言って立ち上がり、アリアへの置手紙を書いた後、ふんふんと鼻歌交じりに部屋を出て行く。

 ここ三日ほどは川などでの水浴びしかしていなかったので、凛哉は久しぶりの温かい風呂に少なからず気分が上がっていた。





 凛哉は一年前まで王城によく出入りしていたので、王城の造りはだいたい把握している。

 なので、風呂場までは特に迷うことなく辿り着くことが出来た。

 まぁ、途中で会った執事やメイド達にことごとく呼び止められ、普通に行けば五分ほどで着くところを三十分ほどかかったのだが。

 

 ようやく脱衣所に到着し手早く服を脱いでいく。

 早速中に入ると、高級ホテルよりも数段豪華で広い風呂場が目の前に広がった。

 今は誰も風呂を使用していないようで、この大浴場は凛哉の貸し切り状態となっていた。

 頭と体を洗ってから、凛哉はお湯に浸かった。


 「ふぃ~。極楽極楽~っと」


ハンドタオルを頭に乗せてそんなジジくさいことを呟く。


 「さて、もうちょいゆっくり風呂に浸かっときたいとこだけど、思った以上に移動に時間かかったしなぁ。そろそろ部屋に戻らないとアリアが待ちくたびれてるかもしれないし…」


 そう言って浴槽を出て体を拭き始める。

 拭き終わると独創空間(ラオムシュテレ)を発動し、そのタオルを空間に生み出した歪みに放り込む。

 そして、二つ目の歪みを創り、そこから黒のジャージ上下と下着を取り出して、それを着用した。

 ジャージを着終えて脱衣所を出ようとしたところで、脱衣所の扉が開かれた。

 そして、風呂桶とタオルを持った、十人ばかりのメイド達が入って来た。

 “男湯”の脱衣所に。


 「お待たせ致しました、凛哉様。メイド長抜粋の『お背中流し隊』ただいま到着致しました。さあ、お背中をお流しさせていただきます」

 「間に合ってます」


 いそいそと服を脱ぎ始めるメイド達をおいて、凛哉はスタスタと脱衣所を出ようとする。


 「ちょっ、お待ちください! なに華麗にスルーしてらっしゃるんですかっ!」


 ガッと凛哉の肩を掴む、下着姿のメイド。


 「いや、もう風呂上がりましたし、今更背中流すとか言われても…。 というか『お背中流し隊』って…」

 「うっ そのネーミングはあまり気にしないでもらいたいです…。 メイド長が三秒ほどでテキトーの考えたものなので…」

 「あ~。 メイド長(あの人)結構テキトーですもんね~。 仕事のことは超が付くほど丁寧なんですけど」

 「そうなんですよね~」


 と、男湯の脱衣所で下着姿のメイドと普通に話す男。 客観的に見ると非常にシュールな光景である。


 「リーダー! 『お背中流し隊』、リーダー以外全員の準備、整いました!」


 服を脱いで、持参のバスタオルを体に巻いたメイド達がビシッと敬礼をして一列に整列する。


 「あ、皆さんお疲れ様です。 じゃあ、俺は皆さんの邪魔をしないうちに退散させてもらいますね~」


 そう言って、凛哉はヒラヒラと手を振りながら脱衣所を出


 「ストップ! ストップですよ凛哉様!」


 ようとしたが、またもや『お背中流し隊』リーダーのメイドに肩を掴まれ、退室を阻止される。

 凛哉は「はぁ」とため息を漏らしてリーダーに向き直る。


 「何なんですか? あんたら全員揃って露出狂か何かなんですか? 俺なんかに半裸見られて平気とか、ちょっと手遅れ感がありますけどね。 いくら美人さん達でも流石に変態は勘弁願いたいですごめんなさい」

 「ちょっ、違いますよ!? 凛哉様に半裸を見られて興奮してるなんて事実はございませんからね!? いや、この中にそういう変態さんがいないと断言は出来ないのですけれど…」

 「「「「「「「「「え?」」」」」」」」」


 リーダーの言葉に一斉に呆けた顔になる『お背中流し隊』の面々。


 「いや、私も変態じゃありませんよ!?」

 「私も違いますわよ!?」

 「私もです!」

 「私も露出狂ではありません!」

 「私も… って露出狂“では”ってなんですか!?」


 ぎゃあぎゃあと否定をしあうメイド達。 若干否定しきれていない者もいるが…。

 凛哉はそんなメイド達を見ながら、気配と足音を消して脱衣所から出る。

 今度は気付かれることなく退室することが出来た凛哉はそっと脱衣所の扉を閉め、ため息を漏らした。


 「はぁ、焦った~。 これ、早めに風呂を上がってなかったら絶対あの人達浴場に突入してきてたよなぁ」


 呟きながら、凛哉は部屋に向かう。

 流石に、美人でスタイルも良いメイド達と風呂に入ったり、半裸で背中を流してもらったりされて正気を保てるほど、凛哉の理性は強くはない。

 というか、思春期真っ盛りの男が、そのような状況に耐えられるほどの強靭な精神力を持っていられるだろうか。 いや、持てない(反語)。


 凛哉が部屋に戻ると、既にアリアが食事から帰ってきており、ソファに腰掛けていた。


 「ごめん、待たせちゃったね」


 部屋に入ると同時にアリアに謝罪する。


 「うむ、構わんぞ。 それより、先ほどメイド達が十人ほど風呂桶を抱えて走って行ったのだが、まさか一緒に入浴なんぞしとらんよな?」

 「何をおっしゃるのやら。 そんなことはしてませんよ」

 「本当に?」

 「リンヤ、ウソツカナイ」

 「もはやその片言が嘘にしか聞こえんのだが…」

 「いや、本当に混浴はしてないよ」

 「そうか…。 なら信じよう。 しかし、城内での故意なセクハラ等は禁止だからな」

 「分かってるって」


 まぁ、半裸は見たけど、と心の中で呟く。


 (嘘は言ってないよな、うん)


 「よし、では凛哉も戻って来たことだし、この一年何をしていたのか、じっくりと聞かせてもらおうじゃないか。 なぁ、ハルノブ義兄様(にいさま)?」

 「へ?」


 アリアが突然凛哉の背後に向かって声をかける。

 凛哉が振り向くと、そこには赤髪の青年———牧田晴信(まきたはるのぶ)が立っていた。


 「そうだな。 俺も凛哉の行動を把握出来ていなかったし、それはとても興味がある」


 凛哉は一瞬驚いた後、今日何度目になるのかも分からないため息を漏らした。


 「気配を消して背後に立つのは止めてくださいよ、ハルノブさん。 それ、結構ビビるんですから」

 「ははっ、すまないな。 つい悪戯心に火が付いた」


 そう言って微笑むハルノブ。

 正直に言って、とんでもないイケメンだ。 そして、顔だけでなく性格もイケメンという、思わず「どこのラブコメ主人公?」と言いたくなるレベルである。

 

 「というか、ハルノブ義兄様って…。 もうアルフレッド様と婚約を結んだんですか?」


 先ほどのアリアのハルノブの呼び方に疑問を持った凛哉は質問する。


 「いや、してないよ。 まぁ、する予定ではあるけどね」

 「へぇ、あのハルノブさんがとうとう…。 なんか感慨深いものがありますね」


 しみじみと言う凛哉にうんうんと頷くアリア。


 「まぁ、今は俺の話より凛哉の話だろう。 この一年、どんな冒険をしてきたんだ? 見たところ、だいぶ強くなってるな。 魔力の量なんて、一年前とは比べ物にならないじゃないか」

 「あ、分かります? 自分でも相当強くなった自信があるんですよ。 というか、俺の話は長くなるんでまた今度にしましょう。 今は俺がここに呼ばれた理由が知りたいです」

 「む? なんだ、義兄様が凛哉を呼んでいたのか。 なら私達にも教えてくれてもよかったものを…。 そうすれば、ましな出迎えが出来ただろうに」

 「まぁ、言わない方がドッキリみたいで面白そうだったからさ」


 そう言って、ハルノブは、ははっと笑う。

 

 「さて、俺が凛哉を呼び戻した理由、だったね」


 と、いままでずっと微笑んでいたハルノブが急に真剣な顔になる。


 「俺が凛哉を呼び戻した理由、それはな———」


 ごくり、と思わず凛哉は唾を飲みこむ。

 すして、ゆっくりとハルノブは告げた。


 「————学生になってもらうためさ」

ちなみに、この作品の題名「ヘイト・ア・シクザール」はドイツ語で「英雄の運命」みたいな意味です。

え? なんでドイツ語にしたかって?

厨二っぽくてカッコいいと思ったからですが何か?


作中の魔法のルビなどもドイツ語のそれっぽい単語を付けてます。


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