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第2話です!
卒業式なども終わって、あとは春休みを待つばかりですね。
まぁ、課外で休みなんてつぶれるんですけど…
「お待たせ~! エアレーとアウドブラのステーキにグリンカムビのから揚げ、それとコショネの丸焼きよ! 遠慮せずに食べて食べて~」
カレンが厨房に入ってから10数分後、調理を終えたカレンは大量の肉料理を凛哉とロイズの座っている席へと運んできた。 どれも凛哉がいた世界では絶対にお目にかかれないものばかりだ。
それを見た凛哉達、特にロイズは目を輝かせて次々と並んでいく料理を見入っている。
「「いただきます!!」」
料理が並び終わると、凛哉達は勢いよく合掌し、すぐさまそれらの料理を食べ始めた。
「わぁっ! なにこれすっごい美味しい!」
「ああ、全く同感だ! カレンさん料理の腕上げました? 昔も十分美味しかったですけど、今の方が断然美味しいですよ!」
「ふふっ、ありがと~。 まだ追加で持ってくるからどんどん食べてね?」
カレンの言う通り次々と出てくる料理を、凛哉達は夢中になって食べていた。 その量は、2人で10人前を超えたとか超えてないとか……
* * * *
「「ごちそうさまでした!」」
「はい、お粗末様でした」
凛哉とロイズは、怒涛の食欲を見せて大量の料理を完食した。
2人とも、腹が膨れてとても幸せそうな顔をしている。
「2人とも、食後のコーヒーはいかが?」
食器を流し台に持って行っていたカレンが、厨房から顔をのぞかせながら凛哉達に問う。
「いただきます」
「私も~。 あ、砂糖は多めで!」
「は~い。 すぐ持って行くわ~」
そう言って、カレンは再び厨房へと姿を消した。
そのあと、店の出入り口が開き、その扉に付いている鐘の音が店内に響く。
「ただいま~っと」
そう言いながらほっそりとした、白髪をオールバックにしている老人が入店してきた。
「お? おお、お前凛哉か? 随分久しぶりじゃのぅ。 いつ戻って来たんじゃ?」
老人———マカロフ・チェスナットは嬉しそうに凛哉に話しかけた。
「お久しぶりです、マカロフさん。 王都にはついさっき来たばかりですよ」
そう凛哉が返すと、丁度カレンが厨房からコーヒーを2つと角砂糖の入った瓶を持って出てきた。
「あ、おじいちゃん! おかえり~。 今丁度コーヒー淹れたんだけど、おじいちゃんも飲む?」
「おう、それじゃあ貰おうかの。 ああ、散歩中に甘菓子を貰ったんじゃ。 みんなで食べよう。 カレン、自分の分も淹れてきなさい」
「は~い!」
甘菓子があると聞いて、カレンとロイズの目が輝いた。
凛哉はそれを見て、やっぱり女の子は甘いものに目がないな~、などと考えながら今しがたカレンが持って来たコーヒーを啜る。
マカロフとカレンの分のコーヒーの準備はすぐに終わった。
カレンが席に着くと、準備している間、すでに凛哉達と同じ席に着いていたマカロフは右手を虚空に差し出す。 するとその空間が少し歪み、そこから白い箱が出たきた。
独創空間。 文字通り、独自の空間を作り出すというマカロフが開発した魔法だ。 凛哉とマカロフが知り合ったのは、凛哉がこの魔法を習いに出向いたことが理由である。 マカロフが凛哉を気に入って熱心に指導した甲斐もあり、凛哉も独創空間を習得することが出来た。
「ほれ、ピッタリ4個入っとる。 種類は違うから、それぞれ好きなものを取るといい。 儂はこのロールケーキにしよう」
マカロフが取り出した箱の中には彼の言った通り、4種類の菓子が入っていた。
1つはマカロフが選んだロールケーキ。 次にモンブラン、アップルパイ、そしてイチゴのムースケーキの4つだ。
「私はモンブランがいいかな~」
カレンはそう言って箱からモンブランを取り出した。
残るはアップルパイとムース。
「じゃあ、俺はムースにしようかな」
凛哉がムースに手を伸ばそうとすると、ロイズがこちらを見ているのに気が付いた。
「なんだ、ムースが良かったのか? だったら変えるけど…」
そう言って凛哉はムースに伸ばしかけていた手をアップルパイの方へ変える。 しかし、凛哉の手はアップルパイを掴むことは出来なかった。 なぜならロイズがアップルパイを凛哉よりも早く取っていたからである。
「お前、どっちなんだよ…」
「…凛哉、1つ提案があるんだけど」
「なんだ? 言っとくけど2つとも寄越せってことなら当然お断りだぞ」
「ちっ」
「図星かよ…」
凛哉はため息を吐き妥協案を出す。
「…全部総取りは断固お断りだが、半分ずつならいいぞ」
瞬間、ロイズの顔がパッと笑顔になる。
「さすが凛哉、ありがとう!」
そう言って凛哉の手を握り、ぶんぶんと振るロイズ。
凛哉はもう1度ため息を吐き、ムースを半分に分けてロイズに渡す。 ロイズも自分が持っていたアップルパイを半分にして、片方を凛哉に渡した。
「ん~、美味し~! ホントありがとね凛哉! 店長さんも!」
ロイズは分けられたムースを、早速美味しそうに頬張った。
「じゃあ、俺も食うか。 いただきます、マカロフさん」
凛哉もそれに続く形でムースを口に運んだ。
そんな2人のやり取りを、カレンはモンブランを食べつつ、微笑んで見ていた。 そして、抱いた感想をそのまま凛哉に伝える。
「やっぱり、凛哉君って優しいわよね」
「そうですかね? これは優しさというより甘さじゃないですか?」
「ふふっ、そうかもね。 けど、それも素敵なことだと思うわ。 それに、私は凛哉君はすっごく優しい人だと思ってるのよ?」
カレンの言葉に、凛哉は一瞬顔を赤くする。
「そんなこと言うの止めてくださいよ。 スゲー照れるじゃないっすか」
「あら、私は事実を言ったのよ? でもまぁ、そんな謙虚なところも凛哉君の良いところよね」
そんな仲睦まじく話す2人を、菓子を食べ終わったロイズがジト目で見つめ、ボソッと声を漏らした。
「なんか2人、付き合ってるみたいだね」
ロイズの発言を聞き、今度はカレンの顔が赤くなる。
「な、なに言ってるのロイズちゃん!? わ、私達はそんなんじゃ…っ!」
「そうだぞ、ロイズ。 それに、俺なんかがカレンさんと釣り合うわけないだろ?」
「うぅ、そこまで言わなくても…」
凛哉の言葉で少しシュンとなるカレン。
一方、ロイズはいまだにジト目で2人を見つめながら角砂糖を6個ほど入れたコーヒーを啜り、マカロフはやれやれといった風に肩をすくめていた。
* * * *
「そういえば、凛哉はなんで王都に戻って来たんじゃ? 何か用事か?」
凛哉とロイズにとっては食後のデザート、マカロフとカレンにとっては軽いティータイムを終えてテキトーに駄弁っていた時、マカロフが凛哉に尋ねた。
ちなみに、少しの間のお喋りでロイズとカレンはとても仲良くなっていた。 曰く、同じ感情を抱いており意気投合したとのこと。
「王都に戻って来た理由ですか? 呼び出されたんですよ、晴信さんに。 至急、王都に戻れと」
凛哉は憂鬱そうに答えた。
しかし、別に晴信のことが嫌いであるわけではない。 逆に、凛哉は自分より数歩先を行く晴信を尊敬し、慕っていた。 ならばなぜ憂鬱そうなのか。
それは、至急呼び出された、ということだ。
凛哉に急いで戻って来て欲しい理由。 それは、また戦争が始まるからではないか、自分はマルゾディアの戦力として呼び戻されたのではないか、と。 凛哉はそう考えていた。
しかし、そんな凛哉の懸念はカレンの一言でかき消される。
「ハルノブさんと言えば、今年からゼーンズフト学園の理事長になるそうよ。 騎士団長は辞めて、全部レンジさんに任せたみたい」
「え、そうなんですか?」
「ええ、私もこの間聞いたばかりなんだけどね? それとほかにも、平和ボケしないように王国騎士団の人達も教師として学園に来るみたいなの。 平和な今だからこそ、学生の内からしっかりとした教養と訓練が必要だー、とか、この間の集会で言ってたわよ?」
「平和な今だからこそ、か…」
『勇者』ハルノブの実質的戦線離脱。 それは、マルゾディアはこの先すぐに戦争を起こす気はないと言っていると受け取って良いだろう。 なぜなら、ハルノブは現マルゾディア王国最強の男だ。 そんな男を戦線離脱させて戦争を起こしても、マルゾディアには百害あって一利なしである。
それを考えると、凛哉は内心ホッとした。
しかし、戦争を起こす気も無いのに、ハルノブはなぜ凛哉を呼び戻したのか。 新たな疑問に直面し、考えてみるが答えは出なかった。
まぁ、ハルノブさんに会えば分かることか、と凛哉は考えることを止めた。
「それにしても学園かぁ。 カレンさんは高等部の3年生でしたっけ?」
「そうよ~。 今年から3年生に進級したわ。 進級試験がレベル高くて苦労したのよねぇ」
ゼーンズフト学園は初等部、中等部、高等部が存在する。 初等部は大体6~7歳ほどで入学する権利が与えられ、そこから進級していくには1年に1度行われる進級試験に合格しなければならない。
とまあ、凛哉が学園について知っている情報はこんなものである。
というのも、凛哉はこちらの世界に召喚されてからほとんどの時間を戦って過ごしていた。 なのでこちらの学園のことなど存在以外は無知だと言える。
「…俺も通ってみてぇなぁ」
凛哉の呟きは誰の耳にも届くことは無く、空気に溶けていった。
ありがとうございました!
多少ぐだってきてる気もしますが、まぁ、暖かい目で見守りください…
感想等お待ちしてます!
…そろそろ戦闘シーンとか入れていきたいなぁ




