↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
18/23

第十八話 ガラス越しの街

 挿絵(By みてみん)


 情報提供者の中野雄二のマンションに隠れて二日が経った。

 幸平は端末でずっと何かを調べているようで、食事のとき以外は机に向かっている。

 中野雄二はいつも出掛けており、マンションにはいない。

 手持無沙汰のリシャンはテレビを見ることが多かったが、内容はありきたりのドラマなどが多く、参考にはならなかった。

 それにも飽きると窓から外の景色を眺めた。

 遠くに都心のビル街が広がっているのが見える。

 ここなら安全かもしれないが、いつまでもこうしていることは出来ない。

「‥‥‥‥」

 ベランダでカラスが窓を突いた。それはクロウから連絡がある合図だった。他の人に声が聞こえるわけではないが、リシャンは幸平のいる部屋から離れた。

(どうだった?)

《ナカノユウジは現在勤めているという、デザイン会社に入っていきました。そこで普通に仕事をしているようですが、今日は会った何人かは、省庁‥‥管理者でした》

(‥‥やはり)

 中野雄二をあまり信用していなかったリシャンは、クロウに足取りを追わせていた。

 もしかしたら外で管理者と連絡を取っているのかもしれないと考えたが、まさにその通りだった。

《で、いつまでそこにいるつもりですか?》

(分かってる)

 リシャンの体を作っている有機体は仮初めのもので、バックアップがないこの状況では使用期限に制限がある。身体が原子崩壊する前に013にあるリシャンのAI本体とのアクセスを正規の手順で終了しないと、リシャンのAIに深刻なダメージを負ってしまう。

 もってあと数日。その限られた時間で何をするべきなのだろうか。このままここにいても、望む答えを得られないなら、いても仕方がない

《ナカノユウジが戻ってきた》

(‥‥‥‥)

 リシャンは先んじて玄関に回る。

 合図のノックの音が三回、静かに鳴った後、ドアが開いた。

「お帰りなさい」

 家に戻ってきたらそう答えるのが普通とクロウに聞いたリシャンは、中野雄二にそう呟いた。

「え‥‥あ、ああ、どうも」

 中野雄二は少し驚いた顔になる。リシャンは首を傾げた。

 戻ってきた中野雄二は、幸平の机に真っ直ぐに向かった。

「特にお前を探してる様子はないみたいだ」

「そうか」

 幸平は端末の椅子に寄りかかった。

 リシャンは目を細める。それは考えこむときの癖だ。

 もしかして情報を探る為に、管理側と接点を持ったのだろうか、それならそれで納得はいくが、そうでなかったら‥‥。

「ネットにも何も情報は上がっていない。他に世界の真実を探っている者がいるかどうかも探してみたんだが‥‥」

「そりゃ、管理側もその辺は厳重だろうしな」

 厳重に情報統制しているはずなのに、このナカノユウジという男だけが、その網から逃れているのはやはり不自然だ。

 管理側の人間と会っている事も踏まえて、ここにいるのも安全とは言い難い。

《彼らと一緒にいてもこれ以上、得られるものはないと思います。装置という存在が分かった以上、リシャン一人で調査に行くのが効率的かと》

「‥‥‥‥」

 この世界の状況を探るだけならそれでいい。

 そうではない。

 確かにリシャンは最初、幸平をこの世界を知る情報源とだけ考えていた。

 幸平は陰謀に繋がっている人間だ。真実に近づいたから狙われ、中野を知り、"装置の奥"を目指している。幸平に付いていくことは、そのまま"誰が、何のために世界を止めているのか"という核心への道を辿ることに繋がることになる。

 だがそれは表向きの理由だ。

 幸平は、世界の嘘を見抜いた数少ない同類と思っていた。

 世界の真実と向き合ったとき、彼らがどう考え、どう判断していくのか知りたかった。それはかつての自分が辿った道と同じだった



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。