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やらかしの74

ちょっと実験的に、中途半端な更新をしてみたり。

「ごめん下さい!」俺はその工房に入って言う。


「あぁ、誰だお前?」窯の前で何かを加工していたドワーフが言う。

「あぁ、ベカスカの道具屋の店主に紹介されて来た者です、ヤジカ親方をお願いします。」


「ちっ、あいつの紹介か。」そう言うと面倒くさそうに、俺の前にその男が来る。

「俺が、ヤジカだ、何の用だ?」

「あぁ、初めまして、俺はケイジだ、宜しく。」

「あ、ケイジ? あぁ、覚えた。」

「まず、買取をお願いしたい。」

「買取?」

 おれはそこにオカタのダンジョンで採ったモノを出す。


 鉄1190重       1190G

 ミスリル100重     3000G

 アダマンタイト50重   5000G


「な、お前、オカタのダンジョンを攻略した奴か?」

「あぁ、間違ってない。」

「おい、ヒヒイロカネもドロップしたと聞いたぞ、其れも出せ。」

「俺の条件を聞いてくれたらな。」

「どんな条件だ?」

「オーブンを作ってほしい。」


「オーブンってなんだ?」

「箱の中を40度から300度まで温めるものだ。」

「300度ってなんだ?」

「あ~、ラバアキハのピザは知ってるか?」

「あぁ、メイドとかいう奴がいる変な店で一度食った、其れを焼く温度か?」

「あぁ、其れが300度だ。」

「なるほど、しかし見せてもらったが石窯だったな。」

「あぁ、それが普通だな。」

「そのオーブンでは、何を焼くんだ?」

「バゲだ。」

「あ~、最近、ベカスカのギルド前で売っている弁当か。」

「あぁ。」

「なるほど、んじゃ、40度は?」

「風呂の温度だ。」

「おぉ、理解した、つまり、その温度の間の温度を自由に設定できる物という事だな。」

「あぁ、間違っていない、もちろんドアがあってそこを開け閉めして中のものを織り出せると良いな、あと調理中に中が見えると尚可だな。」

「お前が今回売りに出したもので作れる。」

「おぉ、んじゃ。」

「ヒヒイロカネを出せ。」

「出せば作ってくれるか?」

「約束しよう。」

 俺はヒヒイロカネ10重 30000Gを出す。


「よし、ケイジ、お前が出したものは俺がすべて買い取る、そして、オーブンというものも作る。」

「いや、オーブンは4個欲しい。」

「なに? ケイジ。」

「何だ?」

「ミスリルは、全部じゃないだろう?」

「あぁ。」

「あと100重出せ、其れで作ってやる。」

「解った。」俺はミスリル100重 3000Gを出す。


「よし、ケイジ、2日後に来い。」ヤジカが俺に言う。

「その時に、すべてを渡す!」そう言いながらヤジカ親方が窯の前に行こうとする。

「あぁ、ちょっと待って。」

「なんだ?」

「これでも飲んで、景気をつけてくれ。」そう言って、スピリの樽2個と、度数の高いウイスキーを5本出す。」

「な、がはは、解ってるな、ケイジ!」そう言いながら、親方はウイスキーを取ると蓋を開けてラッパ飲みする。

「気に入った、明日の夕方までに作っておく。」

「おぉ、流石だ、ではよろしく頼むよ。」

「おう。」そう言って親方は工房へ向かう。


「あぁ、これは明日の夕方まで俺はいらないって事だな。」

「紫炎、ヤミノツウノへ。」

「はい。」


「楽しみだ。」俺はそう思いながら虚無の窓を潜った。


***************************


 次の日、夕方まで暇だった俺は、道具屋のおやじから依頼されたミノタウロスを狩りに、マシクフのダンジョンに行き、前回と同じように16階まで踏破してきた。

 今回の収穫は、魔石187個、バハロー9頭、マスターバハロー6頭、ミノタウルス5頭。

 華厳とムーニャに手伝ってもらい、ミノタウロスを捌いて、そのまま道具屋に行き、素材を600Gと引き換えた。


「さて、孤児院はどうだろう?」そう言いながら孤児院に向かう。


「おわったぁ。」エスが崩れ落ちる処だった。

「にゃぁ、疲れたにゃぁ。」ムーニャも壁にもたれ掛かる。


「疲っかれた~。」エヌやエムもその場にへたり込む。


「おぉ、お疲れさんだな。」俺はそう言いながら孤児院に入る。


「あぁ、ケイジ様、こんにちは。」エスが俺を見て言う。

「どうだ?」俺が聞くと。

「今日は、サンド3回、おにぎり4回だった。」

「えへへ、そして、新作を作ったよ!」

「新作?」

「バゲに、ソース焼きそばを挟んで、マヨを少し入れたの。」

「おぉ、焼きそばパンか。」


「え? ケイジ様知ってるの?」

「おぉ、有名だぞ、生姜を刻んだのを少し乗せるとアクセントになるんだ。」

「なんだぁ、初めてだと思ったのに~。」エスが残念がる。


「いや、エス、ベカスカなら初めてだと思うぞ。」

「え? ベカスカなら?」

「あぁ、俺が昔いた処には有ったが、ベカスカにはないと思うぞ。」

「そうなの?」

「あぁ。」

「ケイジ様、生姜ってな~に?」

「あぁ、これだ。」俺は虚無の部屋から前に買った、生姜の酢漬けを取り出す。

「これを刻んで。」そう言いながら、まな板と俺専用の包丁を取り出して生姜を刻む。

「焼きそばパンは残ってないか?」

「一個あるよ。」

「おぉ、これを少し乗せて食べてみろ。」

「うん。」そう言いながら、エスが刻み生姜を焼きそばパンに乗せて口に入れる。


「あ、本当だ、ソースとマヨネーズのとろみが口の中でリセットされる。」

「うんうん、そうだろう。」

「ケイジ様、凄いです。」

「ふふふ、ほめても何も、いや、頑張ったお前らにご褒美だ。」そう言いながら、今回のマシクフ遠征で手に入れていた、虹鱒の塩焼き、揚げた鯉の餡掛け、アユの塩焼き、イワナの刺身をテーブルに出す。」

「うにゃ、お魚!」ムーニャが反応する。


「ライシーを炊いて、寮母さん達とお昼に食べろ。」

「はいにゃ!」ムーニャが元気よく答える。


「今、売りに行っている奴らにも残しておいてやれよ。」

「は~い。」

「刺身は、冷蔵庫に入れれば夕方までは持つからな。」

「は~い。」

「ムーニャ、皿は洗って虚無の部屋に。」

「はいにゃ。」



「あぁ、コボはどうだ?」

「全部蓋を開けたらガスが抜けた。」エスが答える。

「どんな具合だ?」

「全部の瓶が泡だらけ。」

「良い具合だな。」


「エス。」

「はい。」

「明日、パンを作ってみよう。」

「え?」

「主様、ムーニャも作りたいにゃ。」

「おぉ、もちろん良いぞ。」

「他に、作りたそうな奴はいるかな?」

「華厳様が。」ムーニャが言う。


「あぁ、そう言う事に反応しそうだな。」

「あと、きっとカリナ様が後でごねそうです。」ムーニャが続けて言う。

「あぁ、カリナよりも、セリナ様が怖いな。」


「よし、明日の午後は、パンを作る!」

「はい。」エスが元気よく答える。


「ムーニャ、後は頼むな。」

「はいにゃ!」


「紫炎、良い時間だ、ヤジカ親方の店の前に。」

「はい。」


 俺が虚無の部屋を潜ると、ヤジカ親方が数人のドワーフと店の前で酒盛りをしていた。

「いや~、ヤジカ、この酒は旨いな!」

「おぉ、ベカスカの精霊様に加護を貰ったケイジ様が置いて行った酒だ、美味いのは当たり前だ。」

「おぉ、その人がお前に直接依頼した、「おーぶん」ってやつは使えそうなんだろう?」

「おぉ、ケイジ様だぜ、バゲを作ると言っていたが、きっと他の使い方もあるはずだ。」ヤジカが言う。

「あやかりたいなぁ。」別のドアーフも言う。


「売り上げの幾らかを貰えるなら許可するぞ。」

「おぉ、ケイジ様、待ってたぜ。」ヤジカが俺を見ると飛び起きる。

(呼び方が、ケイジ様になってるな。)

「盛り上がってるな。」


「あぁ、ここにいる奴らに手伝ってもらって完成させたんだ。」

「ほぉ、皆さん、俺はケイジだ、宜しく。」


「がはは、美味い酒を飲ませてもらっているぜ、俺はヤジカの弟のバジカだ。」

「俺は、こいつらの悪友のコーゲだ。」

「おぉ、ヤジカとコーゲ、宜しくな。」


「で、早速オーブンの性能を確認させてくれ。」

「おぉ、自信作だぜ。」


「期待しているよ。」

「こっちだ。」ヤジカ親方が店の奥に俺を案内する。


「これだ。」その前には、横幅1m、奥行き50cm、高さ50cmの箱があった。

 俺の希望通り、前方は開閉可能になっており、その扉は透明な部分があった。

「おぉ、凄いな、この透明なところは何で出来ているんだ?」

「ふっ、ふっ、ふっ、其れはなヒヒイロカネを極限まで薄くすると、透明になって透けるが、強度は変わらない性能が有るんだ。」

「おぉ、其れはすごいな。」

「コンロも買ってくれたんだよな。」

「あぁ、買った。」

「使い方は変わらない、ここに魔石を入れて、このつまみを回せば、回した具合によって、箱の中の温度が変わる。目安にメモリを書いておいたが、最高350度まで出るようにしておいた。」そう言いながら、ヤジカは魔石を一個入れてつまみを回す。

 その途端に、箱の中の温度が上がったことがわかる.

「350度になるのに、二呼吸だ。」

「なるほど。」

「こっちの穴に魔石を入れて、こっちのつまみを回せば中を完全に掃除する。」

「おぉ。」俺はヤジカ親方の手を握って言う。

「完璧だ!」

「おぉ、ケイジ様、感無量だぜ。」

「で、これはいくらだ?」

「あぁ、卸価格で600Gだ。」


「売れるか?」

「いや、売れると思うぞ。」

「そうか、んじゃ2400Gを決済、「いやいや、買取の支払いがまだだろう。」ヤジカ親方が言う。


「支払い?」

「おいおい、ケイジ様は昨日色々おいて行ったよな。」

「え? あ、あぁ、そう言えば。」

「かぁ~、大丈夫か?」

「あはは、サポートしてくれる者がいるから多分大丈夫だ。」

「そうか? 昨日ケイジ様が置いて行ったものは、鉄1190重、1190G、ミスリル200重、6000G、アダマンタイト50重、5000G、ヒヒイロカネ10重、30000Gだ。」

「おぉ。」

「合計42190Gだ。」

「凄いな。」俺は答える。(4億2千万円だよ、しかもそれをポンと払える親方も凄いな。)

「で、オーブンは600Gを4個で2400Gだ。」

「おぉ。」

「差し引き40990Gを払うから、カードを貸してくれ。」ヤジカ親方が言う。

「あぁ。」俺は、カードを親方に渡す。


「で、ケイジ様。」バジカとコーゲが俺に向かって言う。

「このおーぶんを売らせてくれないか?」

「あぁ、ヤジカとお前達二人は売れば良い。」

「使用料は、売り上げの半分で良いか?」

「あぁ、そんなに要らない、売り上げの半分の半分で良いぞ。」

「まじかぁ。」バジカが言う。

「あんた、良い奴だな。」コーゲも言う。


「使い方を広めてくれれば良いよ。」

「おぉ、素晴らしい。」


「最初は、バゲかな?」俺が言う。

「バゲ?」

「あぁ、硬いパンだ。」

「なるほど。」

「その後は、異世界料理だな!」

「異世界料理?」

「ふふふ、ベカスカのギルドの前で売っている「弁当」を食えばわかるぞ。」


「弁当? あぁ、噂は聞いてる。」

「よし、今度出向いて食ってみるよ。」

「あぁ、売り上げは、ベカスカの俺のギルドカードに振り込んでくれ。」

「解りました。」

「んじゃ、オーブン4個を貰うぞ。」

「あぁ。」

「紫炎。」

「はい。」オーブンが消える。


「確かに。」俺が言う。

「ケイジ様も一緒に飲まないか?」

「あぁ、ありがとう、でも明日の仕込みがあるから今日は帰るよ。」

「そうか、また来てくれよ。」ヤジカ親方が言う。

「あぁ、きっと来させてもらうよ。そう言いながら、俺は虚無の部屋からスピリの樽を2個と、強いウイスキー10本を取り出す。

「これは俺の気持ちだ、オーブンは追加するかもしれないから、その時は宜しく頼む。」

「がはは、ケイジ様は本当に解っているなぁ。」ヤジカ親方が言う。

「がはは、ドワーフの心を鷲掴みだぜぇ。」バジカも言う。

「だはは、ケイジ様の依頼なら、他を断ってもやるぜ。」コーゲも笑いながら言う。


「あはは、頼もしいな、その時は宜しく頼むよ!」


「「「任せとけ!」」」


「紫炎、ヤミノツウの華厳の店に。」

「はい。」


「んじゃな。」そう言いながら虚無の窓を潜る。


「おぉ、消えたな。」

「凄いな。」


「がはは、ケイジ様から頂いた酒を飲もうぜ。」

「おぉ。」

「しかし、これマジで旨いな。」

「いやぁ、良い人が来てくれたな。」

「まったくだ。」3人の宴会は酒がなくなるまで続いた。


 次回予告


「オーブンを手に入れたケイジは、早速パンを焼こうとする。

 しかし、ベカスカのギルドに指名クエストが入っていた。

 その依頼を遂行するため、ケイジはクリエイト作業に入る。

 次回、やらかしの75、ケイジ色々造る。


 さ~て、この次も、サービス、サービス!」


「主様、さっきから何言ってるんですか?」

「いや、エ〇ァ風次回予告を・・・」

「もう寝ましょう、今日はムーニャとアヤの番です。」

「ケイジ兄さま、たっぷりご奉仕します。」


「どこで間違えた、俺?」

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