↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
76/203

やらかしの75

やばい、更新が遅れた、ごめんなさい。

 次の日、昼過ぎにベカスカの孤児院に行く。

「ケイジ様、こんにちは、今日もパン3回、おにぎり4回完売しました。」エスが俺に言ってくる。

「おぉ、頑張ったな。」そう言いながらエスの頭を撫でてやる。

「えへへ。」エスがくすぐったそうな顔をする。


「さて、パンを焼こうと思ったが、準備が足りなかった。」

「え? そうなんですか?」

「あぁ、コボでパンを作ると、思っていたのとは違うものができる。」

「へぇ~。」

「で、コボは良い具合に育ったみたいだから、元種を作る。」

「もとだね?」エスが俺を見て言う。


「あぁ、パンを膨らませるものだ。」そう言いながら、クリエイトした大き目の瓶(蓋はスクリュー)を取り出す。もちろん殺菌済みだ。

「コボを持って来てくれ。」

「はい。」エヌが走る。


「持ってきました。」


「殺菌したこの瓶に、泡だった瓶の澱と同じ量のバク粉をいれて、量が2倍になるまで放置する。」そう言いながら、小さなコップにバグ粉を入れ、全部の瓶に入れる。

「そして、同じ量のコボをそれぞれの瓶に入れる。」

「で、数刻常温で放置だ。」

「ケイジ様、常温とは?」エスが言う。

「今の温度だ。」

「あぁ、当然、寒い時期と、暑い時期は違うぞ。」

「夏は短く、冬は長い。」

「にゃ、主様、理解したにゃ。」

「あたしも分かった。」ムーニやエス達が言う。

「んで、2倍に増えたら、6刻冷蔵庫に入れて休ませる。」

「んで、その後に、同じ量のコボとバク粉を入れてまた2倍になるのを待つ。」


「同じ事をもう一回繰り返せば、元種ができる。」

「解りました。」エスが目をキラキラさせて言う。


「そこから先がパンの製造工程なのですね!」


「あぁ、そうだ。」

「はい、ケイジ様。」


「あぁ、あと、鶏肉を捌きたいんだが、出来る奴いるか?」

「はいにゃ!」ムーニャが手を上げる。

「おぉ、ムーニャはやったことがあるのか?」

「雀とか捕ってやったにゃ。」

「おぉ、そうか。」

「あたしもできる。」手を上げたのはエヌ。

「前に、養鶏場の仕事をしたことある。」

「おぉ、二人に教育任せていいか?」

「え?」

「教育?」

「あぁ、ここにいる奴らに、鶏肉の捌き方を教えてやってくれ。」


「やるにゃ!」ムーニャが元気よく答える。

「ムーニャ。」

「はいにゃ!」

「虚無の部屋にある、ランナー鶏、ロック鶏、金鶏、火食い鶏、孔雀、コカトリスの全部をお肉に加工してくれるか?」

「解ったにゃ。」

「あぁ、内臓は全部分別して取っておいてくれるか?」

「オッケーにゃ!」


「みんな、もうひと頑張りにゃ!」ムーニャが声を上げる。

「よーし、頑張ろう!」エスが言う。

「よし、やる!」

「行くよ。」

「ふんぬ!」お料理大好き娘たちがやる気になった。


(うん、良い雰囲気だな。)俺はそう思いながら孤児院を出ようとすると、アイリーンから連絡が入る。

「ご主人様、指名クエストを受理しました。」

「指名クエスト?」

「はい、ご主人様の都合の良い時に、領主前結婚の立会人になってほしいという事です。」

「あぁ、例のカップルか。」

「あぁ、アイリーン、明後日以降なら何時でも良いと返事してくれ。」

「はい、判りました。」


 俺は、孤児院の奥の部屋に向かう。

「悪い、今から作業をするから、奥の部屋を使わせてくれ。」

「ほほほ、どうぞご存分にお使い下さい、ここはケイジ様が管理する孤児院なのですから。」シスターが言う。

「あれ? そうだっけ?」そう思いながら俺はシスターに言う。

「おぉ、使わせてもらうな。」


「んじゃ、始めるか。」そう言って、俺はミスリルを虚無の部屋から出す。

「ついでに、パンを作るのに必要なものも作っておくか。」そう思いながら、俺は加工を始める。


「食パンを焼くのに必要な型がいるな。」俺はそう言いながら、昔、俺が食パンを焼くのに使っていた金型を思い浮かべる。

「20個ぐらいあれば良いか?」俺はそう思いながらミスリルから、食パンの型をクリエイトする。


「あぁ、あと結婚祝いか。」俺はそう思いながら、作業を始めた。



***************************


 元種は順調にできた。

「んじゃ、今からパンを焼く。」俺がベカスカの孤児院で言う。


「あ、ムーニャ。」

「はいにゃ。」

「この工程を見たがる奴は誰だろう?」

「華厳様、カリナ様の料理長です?」


「ムーニャ、カリナの処に行って来てくれ、俺は華厳の処に行く。」

「はいにゃ。」

「悪い、エス、エル、エヌ、エム、少し待っててくれ。」

「は~い。」


「紫炎、ヤミノツウの華厳の店に。」

「はい。」


***************************


「華厳。」

「どわぁぁ、け、ケイジ様、いつもながら突然ですね。」

「パンを作る。工程を見たいか?」

「え? バゲではなくパンですか?」


「おぉ、お供します。」


「んじゃ、行こう。」

「紫炎、ベカスカの孤児院に。」

「はい。」


 そこを潜ると、カリナ家の料理長とセリナ様の姿も見える。

「ほほほ、ケイジ様、パンなるものを作るとか?」

「はい、今から作ります。

「ほほほ、楽しみです。」


「では、工程を説明しよう。」


「華厳と料理長、ここにある瓶は、バクの皮、リゴという果実の皮、ブドの皮、バク粉、パン用のコボを培養したものだ。」


「ケイジ様、培養とは?」華厳が俺に質問する。

「あぁ、コボは本来自然にそこら辺にいるものだ。」

「ほぉ。」

「今回やったことは、其れが集まりやすい環境を作って、コボを集めたものだ。」


「で、其れをパンに混ぜ易くしたものがこれだ。」そう言いながら元種を見せる。


「ほぉ。」華厳が珍しそうにまじまじと見る。


「で、粉の用意だ。」俺は虚無の部屋からバク粉を取り出す。

「バク粉は2種類あるらしい。」

「2種類にゃ?」

「あぁ、バゲ用のこれと、溶いて焼く用のこれだ。」そう言って袋の片方にしるしを書く。


「で、他に、チチバハローの乳、砂糖、塩、ブッタを用意する。」俺は言った物を机に出していく。

「ムーニャ、お湯を沸かしてくれ。」

「はいにゃ。」ムーニャがコンロに走る。


「あぁ、最初に渡しておくか。」そう言いながら虚無の部屋から、昨日造ったものを取り出す。

「記憶を基に造ったが、うまく再現できた。」そう言いながら、エス、エル、エヌ、エム、ムーニャ、華厳、カリナ家の料理長にそれを渡す。

「ケイジ様、これは?」

「おぉ、計量カップと計量スプーン、其れとボールを3個な。」

「ななな、ミスリルではないですか?」カリナ家の料理長が叫ぶ。

「おぉ、その通りだぞ、凄いな、良く分かったな。」


「ほほほ、ケイジ様、どこでこのようなものを?」セリナ様が聞いてくる。

「いや、俺が作りました。」


「これだけでも軽く20G、いや、この計量カップや、計量スプーンはそれ以上の価値が。」料理長が呟く。

「いや、材質にこだわらなければ、もっと安く作れるんじゃね?」俺が言う。

「いえ、これだけの精度のもの、量産は難しいかと。」


「そんなもんかね?」

「ケイジ様、ありがたくいただきます。」


「あ、もう一個な。」そう言いながら食パンの型を取り出す。


「華厳とムーニャ、料理長に一個づつな。」

「これは?」


「今から、実践する。」

「主様、お湯が沸きました。」

「おぉ、ここに持って来てくれ。」

「はいにゃ!」


「さて、やるぞ。」俺が言うと、周りにいたエス達と、華厳、ムーニャ、料理長の態度が変わる。


「まずボールにチチバハローの乳を、計量カップのこのメモリの量を入れる。」そう言いながら150ccの乳を入れる。

「そして、お湯はこれだけ。」同じように計量カップを使いお湯50cc入れる。

「ケイジ様、何でお湯にゃ?」

「おぉ、ムーニャ、良く気づいたな、40度にしたいからだ。」

「40度?」

「あぁ、コボが良く働く温度だ!」

「そこに、バゲ用のバク粉これだけ!」計量カップに240gのバク粉を入れてボールに入れる。

「溶いて焼くのをこんだけ。」同じように計量カップに30gを入れボールに入れる。


「そして、今回はバゲ用のコボの元種を小さじ3回。」そう言いながら元種の瓶から元種を小さじで摺り切り三杯ボールに入れる。」

「で、コボの周りに砂糖を大さじ2杯。」周りにいる者たちは熱心にメモをしている。


「ボールの反対側に塩を小さじ一杯と少し、菜箸で混ぜる。」俺は虚無の部屋から菜箸を取り出して混ぜる。

「ケイジ様、元種の周りに砂糖を入れたのはなぜですか?」エスが俺に聞く。

「おぉ、良く気づいたな、コボが醗酵するのに必要なんだ。」

「醗酵?」

「あぁ、今からやることを見てれば判るぞ。」

「はい。」


「で、ここに、ブッター大さじ2杯を加えて、手でこねるんだ。」そう言いながら、パン生地をこねる。


「今作ったのは、俺が昔作ったものだ、バク粉の量、コボの種類、その他の配合も色々試して作ってみろ。」

「はい。」

「はいにゃ。」

「解りました!」

「ほほほ。」


 今、明らかに違う声が聞こえたのは無視しよう。


「んじゃ、これを1次発酵させる。」そう言って、ボールに蓋をすると、オーブンを取り出す。

「これは、おれが考案したオーブンです、そのうちベカスカの道具屋で売り出すと思うので、今のうちに予約するのをお勧めします。」特にセリナ様に向けて言う。

「ほほ、判りました。」


「で、オーブンを起動して、40度に設定して、50分。」

「ケイジ様、50分とは?」

「あぁ、一刻を6で割って5個分だ。」

「良く分かりません。」


「俺が合図するから、頭の中で歌でも歌って覚えろ。」

「はい。」





「いまだ。」俺はそう言いながらオーブンのふたを開ける。


 秘かに作ったミトンを付けて、ボールを取り出し、蓋を取る。

 中身は2倍ほどにふくれていた。

「よし、成功だ。」そう言いながらボールから生地を取り出すと、3個に分けてバク粉を振ったまな板に置く。

「んで、ガス抜きだ。」そう言いながら分けた塊を手でつぶす。

「そして、少し寝かせる。」水で濡らした布巾を被せて言う。


「いろいろ面倒くさいのですね?」エスが言う。

「旨いものを食うためだ。」

「はい。」



「一刻の6分の一休ませたら、2次発酵だ。」そう言いながら食パンの型の内側にブッターを塗る。

「そこに、生地を入れてオーブンで40度、60分!」

「一刻ですね?」エスが言う。

「あぁ、その通りだ!」





 そして、2次発酵もうまく終わった。

「おぉ、良い具合だ。」俺はそれを見て言う。


「あぁ、これが。」

「確かに食パンにゃ。」


「よし、最後の工程だ。」俺はそう言うとオーブンの温度を200度にする。

「そして、20分焼く。」


「ケイジ様、一刻の3分の1で合ってますか?」エスが言う。

「おぉ、エス、凄いな、その通りだ。」



 そして、其れは焼きあがった。

 そこにいた全員でそれを食べる。

「おぉ。」

「これは。」

「ケイジ様、これはまさしく「パン」です。」エスが言った。


「ほほほ、明日からパンなる物が食せるのですね?」

「いえ、セリナ様、オーブンがありません。」

「では、さっさと発注なさい!」

「はい、仰せのままに。」

「むぅ、婿殿も少しは気を回せばよいものを。」

「お母さま、ケイジ様に傾倒しすぎです。」

「な、カリナ、何故ケイジ様のお傍にいないのですか?」

「じゃんけんで負けました。」

「じゃんけん?」


「なので、あと2日は暇なんです。」

「な、カリナ、不憫な子。」

「え~、私は幸せですよ、お母さま。」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。