やらかしの75
やばい、更新が遅れた、ごめんなさい。
次の日、昼過ぎにベカスカの孤児院に行く。
「ケイジ様、こんにちは、今日もパン3回、おにぎり4回完売しました。」エスが俺に言ってくる。
「おぉ、頑張ったな。」そう言いながらエスの頭を撫でてやる。
「えへへ。」エスがくすぐったそうな顔をする。
「さて、パンを焼こうと思ったが、準備が足りなかった。」
「え? そうなんですか?」
「あぁ、コボでパンを作ると、思っていたのとは違うものができる。」
「へぇ~。」
「で、コボは良い具合に育ったみたいだから、元種を作る。」
「もとだね?」エスが俺を見て言う。
「あぁ、パンを膨らませるものだ。」そう言いながら、クリエイトした大き目の瓶(蓋はスクリュー)を取り出す。もちろん殺菌済みだ。
「コボを持って来てくれ。」
「はい。」エヌが走る。
「持ってきました。」
「殺菌したこの瓶に、泡だった瓶の澱と同じ量のバク粉をいれて、量が2倍になるまで放置する。」そう言いながら、小さなコップにバグ粉を入れ、全部の瓶に入れる。
「そして、同じ量のコボをそれぞれの瓶に入れる。」
「で、数刻常温で放置だ。」
「ケイジ様、常温とは?」エスが言う。
「今の温度だ。」
「あぁ、当然、寒い時期と、暑い時期は違うぞ。」
「夏は短く、冬は長い。」
「にゃ、主様、理解したにゃ。」
「あたしも分かった。」ムーニやエス達が言う。
「んで、2倍に増えたら、6刻冷蔵庫に入れて休ませる。」
「んで、その後に、同じ量のコボとバク粉を入れてまた2倍になるのを待つ。」
「同じ事をもう一回繰り返せば、元種ができる。」
「解りました。」エスが目をキラキラさせて言う。
「そこから先がパンの製造工程なのですね!」
「あぁ、そうだ。」
「はい、ケイジ様。」
「あぁ、あと、鶏肉を捌きたいんだが、出来る奴いるか?」
「はいにゃ!」ムーニャが手を上げる。
「おぉ、ムーニャはやったことがあるのか?」
「雀とか捕ってやったにゃ。」
「おぉ、そうか。」
「あたしもできる。」手を上げたのはエヌ。
「前に、養鶏場の仕事をしたことある。」
「おぉ、二人に教育任せていいか?」
「え?」
「教育?」
「あぁ、ここにいる奴らに、鶏肉の捌き方を教えてやってくれ。」
「やるにゃ!」ムーニャが元気よく答える。
「ムーニャ。」
「はいにゃ!」
「虚無の部屋にある、ランナー鶏、ロック鶏、金鶏、火食い鶏、孔雀、コカトリスの全部をお肉に加工してくれるか?」
「解ったにゃ。」
「あぁ、内臓は全部分別して取っておいてくれるか?」
「オッケーにゃ!」
「みんな、もうひと頑張りにゃ!」ムーニャが声を上げる。
「よーし、頑張ろう!」エスが言う。
「よし、やる!」
「行くよ。」
「ふんぬ!」お料理大好き娘たちがやる気になった。
(うん、良い雰囲気だな。)俺はそう思いながら孤児院を出ようとすると、アイリーンから連絡が入る。
「ご主人様、指名クエストを受理しました。」
「指名クエスト?」
「はい、ご主人様の都合の良い時に、領主前結婚の立会人になってほしいという事です。」
「あぁ、例のカップルか。」
「あぁ、アイリーン、明後日以降なら何時でも良いと返事してくれ。」
「はい、判りました。」
俺は、孤児院の奥の部屋に向かう。
「悪い、今から作業をするから、奥の部屋を使わせてくれ。」
「ほほほ、どうぞご存分にお使い下さい、ここはケイジ様が管理する孤児院なのですから。」シスターが言う。
「あれ? そうだっけ?」そう思いながら俺はシスターに言う。
「おぉ、使わせてもらうな。」
「んじゃ、始めるか。」そう言って、俺はミスリルを虚無の部屋から出す。
「ついでに、パンを作るのに必要なものも作っておくか。」そう思いながら、俺は加工を始める。
「食パンを焼くのに必要な型がいるな。」俺はそう言いながら、昔、俺が食パンを焼くのに使っていた金型を思い浮かべる。
「20個ぐらいあれば良いか?」俺はそう思いながらミスリルから、食パンの型をクリエイトする。
「あぁ、あと結婚祝いか。」俺はそう思いながら、作業を始めた。
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元種は順調にできた。
「んじゃ、今からパンを焼く。」俺がベカスカの孤児院で言う。
「あ、ムーニャ。」
「はいにゃ。」
「この工程を見たがる奴は誰だろう?」
「華厳様、カリナ様の料理長です?」
「ムーニャ、カリナの処に行って来てくれ、俺は華厳の処に行く。」
「はいにゃ。」
「悪い、エス、エル、エヌ、エム、少し待っててくれ。」
「は~い。」
「紫炎、ヤミノツウの華厳の店に。」
「はい。」
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「華厳。」
「どわぁぁ、け、ケイジ様、いつもながら突然ですね。」
「パンを作る。工程を見たいか?」
「え? バゲではなくパンですか?」
「おぉ、お供します。」
「んじゃ、行こう。」
「紫炎、ベカスカの孤児院に。」
「はい。」
そこを潜ると、カリナ家の料理長とセリナ様の姿も見える。
「ほほほ、ケイジ様、パンなるものを作るとか?」
「はい、今から作ります。
「ほほほ、楽しみです。」
「では、工程を説明しよう。」
「華厳と料理長、ここにある瓶は、バクの皮、リゴという果実の皮、ブドの皮、バク粉、パン用のコボを培養したものだ。」
「ケイジ様、培養とは?」華厳が俺に質問する。
「あぁ、コボは本来自然にそこら辺にいるものだ。」
「ほぉ。」
「今回やったことは、其れが集まりやすい環境を作って、コボを集めたものだ。」
「で、其れをパンに混ぜ易くしたものがこれだ。」そう言いながら元種を見せる。
「ほぉ。」華厳が珍しそうにまじまじと見る。
「で、粉の用意だ。」俺は虚無の部屋からバク粉を取り出す。
「バク粉は2種類あるらしい。」
「2種類にゃ?」
「あぁ、バゲ用のこれと、溶いて焼く用のこれだ。」そう言って袋の片方にしるしを書く。
「で、他に、チチバハローの乳、砂糖、塩、ブッタを用意する。」俺は言った物を机に出していく。
「ムーニャ、お湯を沸かしてくれ。」
「はいにゃ。」ムーニャがコンロに走る。
「あぁ、最初に渡しておくか。」そう言いながら虚無の部屋から、昨日造ったものを取り出す。
「記憶を基に造ったが、うまく再現できた。」そう言いながら、エス、エル、エヌ、エム、ムーニャ、華厳、カリナ家の料理長にそれを渡す。
「ケイジ様、これは?」
「おぉ、計量カップと計量スプーン、其れとボールを3個な。」
「ななな、ミスリルではないですか?」カリナ家の料理長が叫ぶ。
「おぉ、その通りだぞ、凄いな、良く分かったな。」
「ほほほ、ケイジ様、どこでこのようなものを?」セリナ様が聞いてくる。
「いや、俺が作りました。」
「これだけでも軽く20G、いや、この計量カップや、計量スプーンはそれ以上の価値が。」料理長が呟く。
「いや、材質にこだわらなければ、もっと安く作れるんじゃね?」俺が言う。
「いえ、これだけの精度のもの、量産は難しいかと。」
「そんなもんかね?」
「ケイジ様、ありがたくいただきます。」
「あ、もう一個な。」そう言いながら食パンの型を取り出す。
「華厳とムーニャ、料理長に一個づつな。」
「これは?」
「今から、実践する。」
「主様、お湯が沸きました。」
「おぉ、ここに持って来てくれ。」
「はいにゃ!」
「さて、やるぞ。」俺が言うと、周りにいたエス達と、華厳、ムーニャ、料理長の態度が変わる。
「まずボールにチチバハローの乳を、計量カップのこのメモリの量を入れる。」そう言いながら150ccの乳を入れる。
「そして、お湯はこれだけ。」同じように計量カップを使いお湯50cc入れる。
「ケイジ様、何でお湯にゃ?」
「おぉ、ムーニャ、良く気づいたな、40度にしたいからだ。」
「40度?」
「あぁ、コボが良く働く温度だ!」
「そこに、バゲ用のバク粉これだけ!」計量カップに240gのバク粉を入れてボールに入れる。
「溶いて焼くのをこんだけ。」同じように計量カップに30gを入れボールに入れる。
「そして、今回はバゲ用のコボの元種を小さじ3回。」そう言いながら元種の瓶から元種を小さじで摺り切り三杯ボールに入れる。」
「で、コボの周りに砂糖を大さじ2杯。」周りにいる者たちは熱心にメモをしている。
「ボールの反対側に塩を小さじ一杯と少し、菜箸で混ぜる。」俺は虚無の部屋から菜箸を取り出して混ぜる。
「ケイジ様、元種の周りに砂糖を入れたのはなぜですか?」エスが俺に聞く。
「おぉ、良く気づいたな、コボが醗酵するのに必要なんだ。」
「醗酵?」
「あぁ、今からやることを見てれば判るぞ。」
「はい。」
「で、ここに、ブッター大さじ2杯を加えて、手でこねるんだ。」そう言いながら、パン生地をこねる。
「今作ったのは、俺が昔作ったものだ、バク粉の量、コボの種類、その他の配合も色々試して作ってみろ。」
「はい。」
「はいにゃ。」
「解りました!」
「ほほほ。」
今、明らかに違う声が聞こえたのは無視しよう。
「んじゃ、これを1次発酵させる。」そう言って、ボールに蓋をすると、オーブンを取り出す。
「これは、おれが考案したオーブンです、そのうちベカスカの道具屋で売り出すと思うので、今のうちに予約するのをお勧めします。」特にセリナ様に向けて言う。
「ほほ、判りました。」
「で、オーブンを起動して、40度に設定して、50分。」
「ケイジ様、50分とは?」
「あぁ、一刻を6で割って5個分だ。」
「良く分かりません。」
「俺が合図するから、頭の中で歌でも歌って覚えろ。」
「はい。」
「いまだ。」俺はそう言いながらオーブンのふたを開ける。
秘かに作ったミトンを付けて、ボールを取り出し、蓋を取る。
中身は2倍ほどにふくれていた。
「よし、成功だ。」そう言いながらボールから生地を取り出すと、3個に分けてバク粉を振ったまな板に置く。
「んで、ガス抜きだ。」そう言いながら分けた塊を手でつぶす。
「そして、少し寝かせる。」水で濡らした布巾を被せて言う。
「いろいろ面倒くさいのですね?」エスが言う。
「旨いものを食うためだ。」
「はい。」
「一刻の6分の一休ませたら、2次発酵だ。」そう言いながら食パンの型の内側にブッターを塗る。
「そこに、生地を入れてオーブンで40度、60分!」
「一刻ですね?」エスが言う。
「あぁ、その通りだ!」
そして、2次発酵もうまく終わった。
「おぉ、良い具合だ。」俺はそれを見て言う。
「あぁ、これが。」
「確かに食パンにゃ。」
「よし、最後の工程だ。」俺はそう言うとオーブンの温度を200度にする。
「そして、20分焼く。」
「ケイジ様、一刻の3分の1で合ってますか?」エスが言う。
「おぉ、エス、凄いな、その通りだ。」
そして、其れは焼きあがった。
そこにいた全員でそれを食べる。
「おぉ。」
「これは。」
「ケイジ様、これはまさしく「パン」です。」エスが言った。
「ほほほ、明日からパンなる物が食せるのですね?」
「いえ、セリナ様、オーブンがありません。」
「では、さっさと発注なさい!」
「はい、仰せのままに。」
「むぅ、婿殿も少しは気を回せばよいものを。」
「お母さま、ケイジ様に傾倒しすぎです。」
「な、カリナ、何故ケイジ様のお傍にいないのですか?」
「じゃんけんで負けました。」
「じゃんけん?」
「なので、あと2日は暇なんです。」
「な、カリナ、不憫な子。」
「え~、私は幸せですよ、お母さま。」




