やらかしの76
ふふふ、私自身がやらかしました。
この章を一度、全部消してしまいました。
何とか昨日半日で全部書き直しました。
でも、同じものをもう一度書き直すのは苦痛な作業で。
内容が少~し、変わってしまいました。
特に、イーノ様の性格や、イーノ様の性格が。
それは、いつも使っているパンと遜色なかった。
「バク粉の配合も良い感じみたいだな。」
「ケイジ様、凄いです、もっといろいろやっても良いですか?」
「おぉ、存分にやって良いぞ、バク粉やブッタ、乳はムーニャが出してくれるからな。」
「宜しく、ムーニャ姉ちゃん。」
「任せるにゃ。」
その後、バク粉の配合や、元種を色々試したらしい。
え? 俺? 帰ったよ。
寝たいし。
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そして、結婚式の日が来た。
「アイリーン、俺、しきたりとか分かんないんだが。」
「今回は、領主前婚ですから、新郎新婦への贈り物と、食べるものを何品か持っていけばいいと思いますよ。」
「ふ~ん、式は夕方からだったよな。」
「はい、私もギルマスとして招待されていますから、向こうで会えますね。」
「あぁ、じゃぁ、用意してくるわ。」
「はい。」
俺は、ベカスカの孤児院に行く。
「おっす、厨房貸してくれ。」そう言いながら孤児院の中に入ると、弁当担当の者がぐったりと座り込んでいた。
「おぉ、どうした?」
「あ、ケイジ様こんにちは、おにぎり4回、サンドィッチ3回やりました。」
「頑張ったにゃぁ。」
「おぉ、よくやったな。」そう言いながら二人の頭を撫でてやる。
「ケイジ様、今日はどのような?」
「あぁ、結婚式に御呼ばれしてるから、贈り物を作ろうと思ってな、厨房借りるぞ。」
「はい、何を作るんですか?」
「唐揚げだ。」
「からあげ?」
「何ですにゃ、それ。」
「鶏のもも肉に味をつけてころもをつけて揚げる料理だ。」
「美味しそうですね。」
「美味しそうじゃない、美味しいんだ。」
「お手伝いしても?」
「あぁ、頼む。」そう言うと、ムーニャといつもの4人が集まってきた。
「テーブル借りるぞ。」そう言うと、ミスリルボールを40個虚無の部屋から取り出す。
「ムーニャとエスこれの中身を各ボールに大さじ2ずつ入れてくれ。」そう言って、中身の入ったボールを2個取り出す。
「任せるにゃ。」
「はい。」
「ところでこれなんですか?」
「大蒜と生姜を摺りおろしたものだ。」
「あと、エルとエヌはこれを計量カップの2メモリ分各ボールに入れてくれ。」そう言って、瓶を2本取り出す。
「これは?」
「あぁ、特製の醤だれと塩だれだ、20個ずつな。」
「は~い。」
「エムは、この鶏肉をふた掴みずつボールに入れてくれ.」そう言って、俺があらかじめ一口大に切っておいた金鶏の入ったボールを取り出す。
「今日はお祝いだから、金鶏を使う。」
「はい、って私初めてです。」
「いや、俺もだ。」そう言いながら、エムとボールに肉を入れていく。
「さて、全部入れ終わったか~?」
「終わったにゃ。」
「よ~し、混ぜるぞ。」そう言って風魔法で各ボールの中身を良く混ぜる。
「おっと、意外に難しいな。」
「手でやんないにゃ?」
「匂いが付くじゃないか。」
「洗えば良いにゃ。」
「いや、大蒜はしばらく落ちないぞ。そんな手で結婚式なんていやだ。」
「其れもそうにゃ。」
「よ~し、こんなもんか。」混ぜ終わったボールを見て言う。
「次は何をするのですか?」
「醤だれの方にはバク粉を大さじ3、塩だれの方には片栗粉を大さじ3入れて、蓋をしてボールを良く振る。」
「かたくりこって何にゃ?」
「あぁ、ダンシャから作った物だ、昨日造っておいた。」
「あ~、エス、油を頼む。」
「お弁当につかったのなら、まだ温かいですけど。」
「ん~、いや、新しいのに変えてくれ、鍋は2個でな。」
「はい。」エスはパタパタと用意しに行った。
「さて、混ぜ終わったか?」
「はいにゃ。」
「終わりました~。」
「ケイジ様、油も大丈夫です。」
「よし、揚げるぞ。」
「とんかつと同じにゃ?」
「似たようなもんだ。」そう言って二つの鍋で醤だれと塩だれを別々に揚げる。
「あぁ、もう一個だ。」
「誰か、オーブンを200度にしてくれ。」3個ともな。
この孤児院には、オーブンを3個置いある。
「は~い。」エルがやってくれるみたいだ。
一回目が揚がった。
「よ~し、味見だ、中まで火が通っているかな?」そう言って、一番大きなものを箸で切る。
「大丈夫そうだな。」と言って口に入れる。
「あふ、あふ。」熱かった。
周りを見ると、5人とも口を開けて俺を見ている。
「良いぞ、食ってみろ。」
「やった~。」
「あぁ、熱いぞ。」
「あふい。」
「あふあふ。」
遅かった。
「かたくりこは、からっと揚がるんですね。」食べ比べてエスが言う。
「本当は、名前が違うんだが唐揚げで良いや。」
「さて、オーブンはどうだ?」
「準備できたよ。」
「んじゃ、これを焼いてくれ。」そう言ってミノタウルスの肉が入ったボールを10個出す。
「汁に漬かってるやつは、焼く前に軽くふいてくれ。」
「塩コショウの奴は、そのまま焼いてくれ。」
「どの位焼くにゃ?」
「いくつ入る?」
「詰めて3個かにゃ?」
「2個ずつで、20分だ。」
「は~い。」
「20分たったら、この皿に乗せてボールを被せておいてくれ。」
「は~い。」
「ケイジ様、どんどん揚げてますけど、全部揚げちゃっていいですか?」
「あぁ、ありがとう、頼むよ、これに乗せてくれ。」そう言いながら大皿を6枚取り出す。
「コンロもう一個準備できたよ。」
「んじゃ、こっちでも揚げるにゃ。」
揚げに4人、オーブンに一人。俺のやることがなくなった。
「終わった~。」エスが脱力する。
「おぉ、皆ありがとうな、これでも飲んでくれ。」俺は虚無の部屋から良く冷えたミカンジュースを取り出す。
「もらうにゃ。」
「いただきます。」
「あ~、美味しい。」
「ローストミノタウルスも良い具合になってるな。」俺は一つの塊をナイフで切ってそう思う。
「汁に漬けてあった方は?」一枚を口に入れる。
「おぉ、何もつけなくても良い感じだな。」
「エス、唐揚げの醤と塩一皿ずつと、ローストミノタウルス2個置いておく、晩飯にみんなで食べてくれ。」
「あぁ、ミノタウルスはこのソースをつけて食べると良いぞ。」そう言いながらソースとケチャップに良く炒めた玉ねぎの摺りおろしたものを入れたなんちゃってソースの入った瓶を置く。
「ありがとうございます。」
「紫炎、残りを虚無の部屋に。」
「はい。」
「んじゃ、結婚式に行ってくるな。」
「はい、いってらっしゃい!」
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領主であるマッチーデ・エーラ・イーノ様の家に続く道は、豪いことになっていた。
道の両側に、普段ギルド前で営業している屋台が並び、冒険者や、街の住民があふれていた。
「だははは、飲んでるかぁ~?」
「なははは、めでたいなぁ~。」
出来上がっている者も相当いた。
「こりゃ、凄いな。」そう言いながら、人をかき分けて前に進む。
「ほんと、娯楽が少ないんだな。」
しばらく歩いて、門の前に着いた。
「今日は正門も解放されているのか。」そう思っていると、門番の一人が近づいてきた。
「ケイジ様、お待ちしておりました、どうぞこちらへ。」門を潜ると、兵舎の前に執事風の男が立っていた。
「初めまして、ケイジ様、私、御案内役のシツジィと申します。」
「おぉ、初めましてだな、宜しく頼むよ。」
「では、こちらへ。」シツジィが豪邸に向かい歩き始める。
歩きながら周りを見ると、門の近くにはクラスの高い冒険者が、豪邸に近い方には貴族らしい者がテーブルの周りに立って歓談している。
「何度来ても広い庭だな、後楽園ドーム何個分だ?」
「はて、ケイジ様、『こうらくえんどうむ』とは、何の事でしょう?」シツジィが振り返って言う。」
「あぁ、広さを計る時に使う基準みたいなもんだ、高さの基準は東京タワーだな。」
「はぁ?」シツジィは要領を得ない顔をして、進み始める。
(おっと、しかとされた。)そう思いながら、歩く。
歩いていると、俺の腕に誰かが腕を絡めた。
「ん?」と思いそちらを見ると、豪華なドレスに身を包んだ、ヒドラが腕を絡めていた。
「ほほほ、ご主人様、このような場所には女性をエスコートしてくるものですよ。」そう言ってにっこりと笑う。
「うぉ、いつのまに?」
(今、お連れしました。)紫炎が言う。
「領主前結婚は、私も何度も執り行いましたから。」
「あぁ、そうか、色々ヒドラに聞けばよかったのか。」
「ほほほ、お任せくださいな。」
しばらく歩くと、窓に御簾の掛けられた部屋の前に着く。
シツジィは御簾の前に立つ二人の女性のうち、近い方の女性に向かって小さな声で言う。
「ケイジ様をご案内いたしました。」
「あら、ケイジ様、お久しぶりです。」御簾の奥から声がする。
「あぁ、お久しぶりです、イーノ様。」
「あら珍しい、あの娘が自分から男の人に声をかけるなんて。」ヒドラが仰天する。
「あら、そのお声は、ラド、ヒドラ姉様ですか? どうぞ中にお入りになって。」
「いえ、今回はこちらにいるご主人様のお供なので。」そう言うとヒドラは見事なカーテシーをする。
「其れは残念です。」
「ご主人様、新郎新婦への贈り物の食べ物はお持ちですか?」
「あぁ、あるぞ。」
「ご領主さまに、お供えを。」
「ここで?」
「はい。」
「机は?」
「お使いください。」シツジィが小ぶりな机を持ってくる。
俺は、ローストミノタウルスの塊を取り出し、ミスリルナイフで薄切りにして、2枚の皿に2枚ずつ乗せ、汁漬けの方には少し、塩胡椒には多めになんちゃってソースをかける。
そして、もう2枚皿を出すと、唐揚げを2種類、3個ずつ乗せて、レタスを取り出し、マヨネーズを乗せる。
「用意できました。」俺が言うと、御簾の横にいた女性が2皿ずつ持っていく。
いつの間にか、机もかたずけられていた。
「そう言えば、イーノ様とヒドラは知り合いなのか?」
「はい、領主前結婚で何度かお会いしていたら、懐かれまして。」ほほほと笑いながら言う。
「あら、珍しい食べ物ですね、何ですかこれは?」御簾の奥から声がする。
「あぁ、薄い肉がローストミノタウルス、塊が唐揚げだ。」
俺の言葉に、周りの貴族連中がざわつく。
「おい、ミノタウルスって。」
「超高級食材じゃないか。」
「ローストってなんだ?」
「あぁ、唐揚げはまずそのままで、横のマヨネーズをつけると味変できるぞ。」
「イーノ様にその物言い、不敬な。」御簾の横の女が俺を睨む。
「これ、慎みなさい! ケイジ様は冒険者です、冒険者はそれが謙譲語でしょう。」御簾の奥からイーノ様の声がする。
「は、申し訳ございません。」そう言って、その女は俺を睨みつける。
「熱いうちに食べたほうがうまいぞ。」俺がそう言うと、その女は更に睨んでくる。
「いただきましょう。」御簾の奥から声がして、カシュっと音がする。
「あふい!」
「あ~。」俺はしまったと思いながらヒドラを見ると、ヒドラはにっこりとほほ笑んでいた。
「ガタン!」暫くすると、御簾の奥で音がする。
「トトト。」何かが近づいてくる。
「何ですか、何ですか、何ですか、これは!」御簾のすぐ前から声がする。
「え~っと、お口に合いませんでしたか?」俺が困った顔で言う。
「初めて食しました!」
「はぁ。」
「こ、このような調理法、知りません。」
「はぁ?」
「何ですか、これは?」
「唐揚げです。」
「何のお肉ですか?」
「金鶏です。」
再びざわつく貴族連中。
「金鶏?」
「な、我々でもめったに口にできないものだぞ。」
「しかし、唐揚げとは?」
「こほん、取り乱してしまいました。」ゆっくりと御簾の後ろの影が下がっていく。
「ガタン。」(椅子を起こしてるんだな。)
そして、「フーフー。」という音。(学習したか、冷ましているんだな。)
「カシュ。」
「つぅ!」「ガタン!」「トトト」
あぁ、デジャブ。
「何ですか、何ですか、何ですかあれは?」
「あの、黄色いものを付けたら、味が変わりました!」
「あぁ、マヨネーズです。」
「まよねぇず?」
「卵の黄身と酢と油を混ぜて、塩で味付けしたものです。付け合わせのレタスと食べてもおいしいですよ。」
で、貴族たちのデジャブ。
「まよねぇず? 貴殿はご存じか?」
「いや、私は、貴公は物知りでしたな。」
「いいえ、存じません。」
しかし、冒険者の反応は違った。
「あぁ、ベカスカのギルドのあれか。」
「あ~、あれは旨いよな。」
「俺、毎日買ってるぜ。」
「おお、俺もだ。」
「お前、知ってるか? ヤミノツウの水龍って店で、ケイジ様の考案した料理が食えるって。」
「あぁ、聞いたことがある、ミノタウルスは無いけど、マスターバハローの焼き肉が食えるとか。」
「しかも、内臓、モツって奴も美味く食えるらしいぜ。」
「え? 内臓が?」
「あぁ、実際に食ったやつが、ラガーに合うぜ! って吹聴してた。」
「マジか?」
「やばい、明日ヤミノツウに行くわ。」
「おぉ、じゃぁ俺も同行するよ。」
「待て待て、俺も行く!」
「しかし、唐揚げを食ってみたいな。」
「あぁ、新郎新婦に振舞ったら突撃だな。」
「くくく、じゅるり。」
「こほん、又、取り乱してしまいました。」
再びのデジャブ音。(椅子を起こして、唐揚げを冷ます。)
「つぅ~。」おや、今回は来ないな。
「あふぅ。」
「あぁぁ。」御簾の奥から変な声が聞こえる。
いや、卑猥な声に聞こえるよ。
俺は、顔を手で覆う。
「ご主人様?」ヒドラが俺に声をかける。
「ああ~ん!」御簾の奥からさらに変な声が。
「ガタン!」
「またか。」
「ズリッ、ズリッ、ズリッ。」何かが這いずりながら近づいてくる。
「ひぃ、貞子!」俺は身構える。
「ふひひひ、あれは何なんですか。何なんですか?」御簾の奥から声がする。
「どれですか?」
「色の薄いからあげ、ローストミノタウルス。」
「唐揚げは、さっきと同じ金鶏で、ころもを片栗粉にしたものですが。」
「かたくりこ?」
「ダンシャから作った物です。」
「ミノタウルスは、中が生かと思っていたのに、火が通っていました。」
「えぇ、そういう調理方法ですから。」
「貴方は、ひどいことをしてくれました。」
「え? 俺が?」
「えぇ、あんなものを食べたら、普段の食事が味気なくなるじゃないですか!」
「ヒドラ、あんなものって言われたよ。」
「ほほほ、ご主人様の作る食事は、この世界の常識を外れていますからねぇ。」
「えぇ? 俺が悪いの?」
「ほほほ、私では判断できかねます。」
「ケイジ様、絶っ対に、責任取ってもらいますからね!」御簾の奥からそう言われた。
御簾の前にいた女が二人とも、俺に敵意のこもった眼で睨んでくる。
すげぇ、理不尽だ。
「では、新郎新婦の処にご案内いたします。」シツジィが空気を読まず先を促す。
そこは、御簾のある窓から少し離れた席だった。
新郎新婦の前には、豪華な料理が乗った机があり、その前には贈り物らしいものが乗った机があった。
「あれ? 唐揚げとかじゃ、見劣りしないか?」
「ほほほケイジ様、金鶏は高級食材ですよ。」
「そうなの?」
「しかも、誰も知らない調理法、そこに有るすべての料理がゴミになります。」
「マジかぁ」
そう思いながら、新郎新婦の前に行く。
「おぉ、この度は結婚おめでとう。」俺が言うと。
「きゃぁあ、あたし今死んでもいい。」そう言いながら花嫁が突っ伏す。
「お~い、生きろ~。」俺の言葉で花嫁が再起動する。
「ケイジ様、来てくれてありがとうございます。」ダンジョンで会った男が俺に言う。
「あぁ、約束したからな。」俺がそう言うと、花嫁が再度撃沈する。
「いや、生きろ!」俺の言葉で再起動する花嫁。
「ヒドラ、どうすれば良い?」
「ほほほ、まず、料理の提供を。」
「あぁ。」途端に周りの空気が変わる。
(なんだ、このプレッシャー。)俺は周りを見渡す。
今まで気づかなかったが、見知った顔があちこちにある。
新郎新婦のすぐそばにゴーウショウノ一家が、カリナの姿も見える。
その隣には、ドレースさん一家。
反対側の席には、アイリーン、モーマ、カッター?
げ、イースとキシリアーナもいる。
(こいつ等皆、俺の貢物を狙っているのか?)
「ほほほ、ご主人様、周りの貴族や、冒険者もその様ですが。」
「マジかぁ。」俺は最善策を模索する。
「よし、丸投げしよう。」俺はそう思うと、新郎新婦の前に唐揚げとローストミノタウルスをイーノ様に供えた量と同じものを取り出す。
「で、残りは、イーノ様にお預けいたします、ご裁量で、御身で食すも、下々のものに賜るもお好きなように。」そう言いながら、残りの唐揚げとローストミノタウルスを御簾の前の机に置く。
「ふぅ、これで貢物の処分は俺の範疇じゃなくなった。」
御簾の奥から、黒いオーラが流れ出ているのは無視だ。
「さて、新郎新婦に俺からの贈り物だ。」
「おぉ、あの冒険者は、どんなものを贈るんだ?」
「あぁ、食べ物が規格外だったから、さぞかし凄いものを送るんだろう。」
「まず、新郎にはこれだ。」俺はクリエイトで作ったミスリル製の剣を取り出す。
ミスリルの剣。
ド〇クエで有名な剣。
俺の記憶にある、柄の部分に持ちやすさを考慮したレリーフを施した剣。
鞘もミスリル製だが、赤い色の鞘で、金色の装飾が施されたもの。
「そして、盾。」同じくミスリル製の盾を取り出す。
ミスリルの盾
これも俺の記憶で作った物。
ライオンをモチーフにしたレリーフが中央にあり、周りをツタの様な紋様が囲む丸盾。
「何だあれは。」
「一介の冒険者には相応しくない。」
「私こそが、あれの所有者に相応しい。」
「何を言う、私こそだ。」
貴族連中がうるさいが無視だ。
「そして、新婦にはこれだ。」
俺は、まずみんなに配った物を取り出す。
ミスリル製の、計量カップ、計量スプーン、ボール3個。
「そして、こっちがメインな。」
すべてミスリルで作った。
縁にツタの様な紋様のレリーフが付いた大皿2枚。
同じく、縁にツタの様な紋様のレリーフが付いたサラダ用大皿1枚。
柄の部分に、花の紋様が付いた、ナイフ、フォーク、スプーン12個ずつ。(花の紋様はシンビジューム、フリージア、チューリップ、サクラ、スズラン、バラ、ユリ、ヒマワリ、ダリア、ガーベラ、シクラメン、ポインセチア、所謂誕生花だ、この世界にあるかどうかは知らん。)
縁にツタの様な紋様のレリーフが付いた取り皿、一部にナイフと同じ花の紋様が付いたもの12枚。
同じ仕様のスープ皿12枚。
周りに、ノイシバンシュタイン城を模したレリーフと、騎士と酒場を模したレリーフがあるタンブラーに、花の紋様のレリーフがが付いた物12個。
そして、その全てを収納する、桐製の箱。
「おまけで、ミスリル製の万能包丁と、刺身包丁、出刃。」
新婦が一瞬固まるが、そこに有った全てを桐箱に入れ、更に包丁や計量カップも収納バックに入れて胸に抱え、周りを威嚇する。
新郎の周りには、何人かの貴族が集まり、新郎に譲渡を持ちかけていた。
「お前ら、退け。」俺はそこに割って入ると、新郎に言う。
「これで指を突け。」そう言って針を渡す。
「え? はい。」新郎は指を針で刺す。
ぷっくりと血が円を作る。
俺は、その指を持つと、剣と、盾の魔石に指を付ける。
剣と盾は、紫色に光る。
「これで、この剣と盾は、お前しか使えなくなった。」俺が言う。
「な、馬鹿な。」そこにいた貴族の一人が剣を持とうとするが、
「な、持てん。」
「どけ。」他の貴族がその剣を持とうとする。
結果は同じだった。
「さぁ、お前の力をこいつらに見せてやれ!」俺がそう言うと、新郎が剣を抜き頭上に掲げる。
それを見ていた冒険者は、一斉に喝采を送る。
「あははは、貴族どもいい気味だ!」
「わはは、痛快だぜ!」
「がはは、流石ケイジ様だ!」
「あはははは。」
そこにいた貴族は俺に詰め寄る。
「ケイジ、俺にも剣を作れ!」
「何を言う、俺こそが、其れに相応しい。」
「あぁ、たかが冒険者、俺の命令を聞け。」
「お前達!控えろ!」ゴーショーノさんが怒鳴る.
「そこにいるケイジ君は、わが娘、カリナの夫だぞ、ケイジ君に仇名す者は、ゴーショーノ家への敵対行動としれ!」
おぉ、ゴーショーノ家って、貴族の上位だったんだ。
「私もケイジ君を擁護する。ケイジ君の敵はドレース家の敵だ!」
あれ、ドレース様も上位だったんですね。
「あぁ、お義父さん、ドレース様、大丈夫ですよ。」俺はそう言いながら貴族たちの前に出る。
「ここに魔石がある。」
「おぉ。」
「これにお前たちの血を吸わせろ。」
「あぁ。」
「そして、其れを俺の処に持ってきたら、武器でも盾でも作ってやるよ。」
「言質とったぞ!」そう言うと、貴族たちは魔石に針を刺した指を付ける。
「よし、んじゃ、この魔石はマヤオのダンジョンの3階、コアの横に出るようにしとく。」
「は?」
「3人パーティなら出現する、しかも本人以外は持てないって事だから宜しく。」
「なぁ。」貴族たちが凄く落胆した顔をする。
嘘は言っていない、あとは知らん!
「ケイジ様、イーノ様からご伝言が。」シツジィが俺の横に来て言う。
「あぁ?」
「ミスリルの食器がご所望です。」
「あぁ、こう伝えてくれ。」
「はい。」
「イーノ様のご婚礼の際には、同じものをお届けいたしますと。」
「はい、申しつかわりました。」シツジィが最敬礼する。
「ほほほ、ケイジ様も罪なお方。」ヒドラが俺の腕を取りながら言うが
「何のことだ?」
「ほほほ、ケイジ様は朴念仁ですね。」
「何か、酷い事を言われている気がする。」
「ほほほ、気のせいです。」
俺は、早々にその会場を後にすることにした。
「ふふふ、ケイジ様、許すまじ。」イーノ様が不穏な気配を出していたが、無視だ。
「ほほほ、ご主人様。」御簾の前で何かを挑発するように俺に枝垂れかかるヒドラを制しながら、俺は虚無の窓を潜った。
私は、マッチーデ・エーラ・イーノです。
世界旅行に出掛けたまま、消息を絶ってしまった両親の代理で領主をやっています。
今回、ケイジ様が私に献上した、からあげという料理に心を奪われました。
しかし、ケイジ様はまるで人を試すように、その料理の分配を押し付けるとは。
えぇ、我慢しましたですわ、全部一皿で。残りはからあげは5個一皿、ローストミノタウルスは2枚づつを一皿にして、ビンゴの景品にしました。
ビンゴカードは1枚1Gで売り出しましたが、ものの数分で完売いたしました。
この、ビンゴというのも、ケイジ様が考案したものらしいのですが、本当にいろいろな事をご存じなのですね。
でも、今回のことは忘れません。
私、心に決めました。
え? 何をですか?
ふふふ、今は秘密です。




