魔都 京都⑧
今回は鬼門と蓮の戦いです。次回は少し時間を遡ってエリス周りの話になります。
蓮が鬼門が入れた亀裂から魔都に入ってきたのと風花が"復元"をしたのはほぼ同時だった。
蓮は一度だけ見たことのある輝きを見て風花が何をしたのかを知った。
「あれは…」
『拒絶の光ね。風花ちゃんがまた誰かを蘇らせたみたいね』
ドロシーも同じ結論に至ったらしく、蓮の心の中でしていた予想を肯定する。
「あの魔法を一番嫌がっていたのはあいつだったのに…ドロシーあの光の元に急ぐぞ!」
『わかってるわよ、"オーバードライブ" "炎"』
ドロシーがオーバードライブを起動して蓮の血管や神経に魔力が超速で流れ出す。魔力の流れに血管や神経が耐えきれず断裂して、魔力が体外に漏出するがそれを炎の魔法に変える。
『言っておくけれど、15分よ。15分以内に敵を倒し切りなさい』
「ああ!じゃあいくぞ!」
体から出ている炎を推進力に蓮は空から風花の元に急ぐ。
「俺の主人に物騒なもん向けてんじゃねえ!」
風花の元についた蓮は黒い鎧を纏った何者かを殴り飛ばし風花のそばから離れさせる。
その黒い鎧は蓮達が魔都の外で戦った武器の塊の様な黒い鬼とはサイズからして違ったが、ドロシーが気配が同じだった。
「リベンジマッチだ、鬼野郎!」
そう宣言して蓮は鬼門の方に向かって駆け出していく。
「"神殺し 三の太刀"」
『回避しなさい蓮!』
蓮も今まで聞いたことがないドロシーの焦った声だった。動揺しつつもドロシーの指示に従い、横に飛んでその場から離れようとする。しかし蓮が離れるより先に魔法ではない何かの力が鬼門のいる方向から放たれて蓮の左腕を弾き飛ばす。
「がぁっ!」
左腕が吹き飛ばされたかと思うほどの衝撃が蓮に伝わる。激痛が走る左腕を見ると肘関節が逆に折れ曲がって中の骨が肉を突き破っていた。
骨折をすることすら初めての体験であった蓮はその激痛によって動きが止まってしまう。
蓮の動きが止まったことを感じ取ったのか鬼門が飛び出してきて剣のような右腕を振り下ろす。
「舐めんな!」
炎を纏った右腕で鬼門の剣を受け止める蓮だったが、鬼門の勢いを受け止め切ることが出来ずに吹き飛ばされる。
吹き飛ばされた先は風花のすぐ近くで蓮は最初に鬼門の居た位置まで戻されてしまっていた。
(くそっ!風花の所まで戻されちまった。どうする、もう一回こいつを吹っ飛ばせるか?いや無理だ、さっきは不意打ちだったから成功しただけだ)
『何をウダウダ悩んでるのよ!時間が無いのよこっちは!』
「ああくそっ!わかってるよ!」
ドロシーからの叱咤を受けて蓮は向かってきていた鬼門に向かって走り出す。
蓮が鬼門の間合いに入った瞬間に鬼門は右腕を掲げて振りおろす。
それを紙一重でかわして蓮は鬼門の懐まで入り込み接近戦を仕掛ける。
左腕が使いものにならない蓮と、左腕の武装を翁に切り落とされて再構築していない鬼門の接近戦は僅かに蓮に軍配が上がっていた。
『随分余裕が無いのね、"オズ"の持ち主さん!武装を再構築する魔力もないなんて』
「ちっ!うるさい右腕だ!"魔女の作品"は喋れるやつもいるとはな!」
蓮はドロシーと鬼門が会話していることに驚く、今までドロシーの声を聞くことが出来たのは自分だけだったからだ。
『"魔女の作品"を使ってるやつにはワタシの声が聞こえるのよ』
ドロシーがそう捕捉している間にも鬼門と蓮の戦いは続いているが徐々に蓮が鬼門の装甲を拳で捉え始める。
オーバードライブ状態でも前回の戦いでルカと協力しない限り傷一つ負わすことが出来なかった鬼門の装甲が今は鋼の鎧程度の硬さしかなく蓮の拳で着々と砕けていく。
装甲の合間から見える鬼門の体は風花のミサイル魔法で受けた傷の大半を塞いでいたが歪な形になっていた。
カルヴァンの血をベースに作られた吸血鬼化薬によって人造吸血鬼になっていた鬼門だったが、風花から受けた傷が大きすぎたのと、傷の再生途中でカルヴァンが滅ぼされたせいで吸血鬼の力が無くなって再生が中途半端な状態になってしまっていた。
蓮は鬼門と接近戦をしながら風花から離れた場所に移動していた。自分の左腕をオシャカにした一撃を万が一にも風花に向けさせないためだった。
蓮は鬼門を追い詰めつつあったが、ただ一つの事実が蓮の心に余裕を与えてくれなかった。それは体中の装甲に傷がついているにも関わらず無傷を保ち続けている鬼門の右腕だった。
鬼門の右腕の切先が蓮の眉間に向けられると同時に鬼門の口から言葉が聞こえる。
「"神殺し 三の太刀"」
鬼門の右腕から凄まじい勢いの斬撃が放たれるが蓮は頭を振って回避する。
すんでのところで鬼門の一撃を回避した蓮だったが、左のこめかみあたりが抉られていた。
「魔力は無いんじゃなかったのかよ!」
『あれは魔力を使ってるわけじゃないわ。ワタシの"言葉"と似たものだけど、ワタシの"言葉"と違って世界に刻まれた"技"を技の名前で引き出してるのよ』
「なるほど。よくわかんねえけど喋らせなければいいんだな!」
「そういう会話は私に聞こえないところでするべきだな」
蓮とドロシーの会話は鬼門に丸聞こえであったが、蓮は気にせずに鬼門に近づいて猛攻を仕掛ける。
鬼門は蓮の猛攻を装甲で受け続けるが既に装甲は半分が壊れていた。両足を模した装甲と右腕の装甲だけは形を保っているがそれ以外の装甲は既にボロボロで、鬼門の体を蓮の炎を纏った拳が何発か捉えている。
(くそ!あのくそガキと同じくらい厄介だなこいつは。このままじゃあっちの時間切れより先にこっちが削り殺される)
鬼門は魔都の外で戦った時と、ドロシーの言葉から蓮のオーバードライブが長続きしないことを知っていたが、それがあとどれくらいなのかはわかっておらず、この猛攻があと数十秒続くと先に自分が滅ぼされることを悟っていた。
だから鬼門は勝負をかけることにした。残っていた魔力をほぼ全て込めて残っていた左足の装甲の膝部分からレーザーを放つ。そのレーザーは蓮の体を貫く威力はなかったが、左目を狙って放たれたレーザーを蓮は咄嗟に右腕で受けることとなり蓮の猛攻が止まる。その隙に鬼門は二歩後ろに下がり居合の構えをとる。
蓮は鬼門の肉体の損傷具合を見て距離を詰めることはせずに、右腕を鬼門に向ける。
「ブラス―」
蓮の右腕に魔力と炎が収束する。鬼門の肉体を破壊するのに申し分ない威力の砲撃が今にも放たれようとするが、砲撃が放たれるより先に鬼門の声が蓮に届く。
「"神殺し 一の太刀"」
大股で一歩踏み込んだ鬼門から超速の居合斬りが放たれ蓮の肉体に傷をつける。しかし、"神殺し 一の太刀"は他の"神殺しの太刀"と違って技名だけでなく速度もないと成立しない、そのため今鬼門が放ったのはただ速いだけの斬撃で蓮の肉体を切り裂くことは出来ず、それどころか鬼門の右腕の剣が逆に折れてしまった。
蓮は斬撃をその身に喰らってのけぞるが、近づいてきた鬼門に右の手のひらをしっかり向けていた。
「ブラスター!」
蓮の右手から魔力が放たれる。鬼門の回避行動よりも先に放たれた魔力は、鬼門の左の胸から顔面にかけてを消失させる。
蓮は勝利を確信したがドロシーから焦った声が届く。
『バカ!まだ終わってないわ!』
ドロシーの言葉の意味蓮がを理解するより先に鬼門が折れた右腕の剣の切先を蓮の体に向けていた。
「"神殺し 三の太刀"」
絶大な衝撃が蓮の体をはるか後方に吹き飛ばす。貫通することはなかったがその威力は凄まじく、蓮は一キロ以上吹き飛ばされて体はほとんど動かすことが出来ないほどのダメージを受けていた。それに加えてブラスターを使ったことによりドロシーの魔力も尽きてオーバードライブが終了してしまい蓮の体は外と内からズタズタになっていた。
とてつもない激痛によって指一本動かすことすら困難で地面にうつ伏せに倒れている蓮だったが、その目は鬼門がいる方向を真っ直ぐ見据えていた。
「くそが!風花に手出しはさせねえぞ!」
言葉を発するのすら激痛が走るのだがそんなことは気にせず、風花の元に向かおうと体中に力をこめてなんとか立ちあがろうとする。しかしほとんど体は動かず、かろうじて動かせた右腕を懸命に動かして地面を這って動こうとする。
体を這って動き出そうとする蓮だったが右腕に何かの感触を感じて首をなんとか動かしてそれを見る。
それは翁の右腕が握っている妖刀だった。蓮は鬼門に吹き飛ばされた事で翁や風花達が元々戦っていた戦場にいたのだった。
右腕がついている刀を見つめる蓮はその刀に何かしらの力を感じて刃の部分を握る、瞬間蓮は自分の魂が侵された感覚を味わうとともに、自分とドロシー以外の魂を感じる。
そして今の蓮には致命的だがありがたい現象が蓮の体に起こる。
妖刀を持った瞬間から蓮の体は起き上がったのだ。本来起き上がることすら出来ない体だったが、妖刀の中にある翁の魂の残り滓の影響で鬼門を滅ぼす為に妖刀を持っている人間の肉体の状態に関わらず強制的に動かしているのだ。無論、蓮の今の体の状態で無理矢理動かすなんて真似をされるとそれは死を招きかねないが蓮はこの状況に感謝すらしていた。
(すげえ痛いけどどうでもいい。早く風花の所に)
妖刀の力を借りて蓮は鬼門のいる方に走り出す。
蓮を吹き飛ばした鬼門だったがその肉体は既に限界を迎えていた。吸血鬼の再生能力を失い自身の魔力すら残っていない、蓮の砲撃を受けた傷から自身の存在を形作る神狐御前の尻尾が露出していた。ここから自分の肉体を再生するには神狐御前の尻尾の力を使わなければいけないが、鬼門の目的の為に使うかもしれないのでその手段は取れなかった。
ボロボロな体を"オズ"の装甲で動かすことで風花の元に向かう鬼門。それは奇しくも妖刀の力で無理矢理体を動かしている蓮と同じ状態だったが、鬼門は"オズ"を操るための魔力も残っていないためその動作は酷く遅かった。
ノロノロと風花の元に向かっている鬼門だったが後ろから音がして振り向くとそこにはこちらに走ってくる蓮の姿があった。
「な!?なぜ動ける!?まともに喰らったはずだぞ!」
鬼門は蓮はもう動くことも出来ないと想定していたので、こちらに走ってくる蓮に恐怖すら覚えた。
肉体をボロボロにしながら蓮は鬼門に向かって行き妖刀を持った右腕が左の腰のあたりに移動して居合の構えをとる。
鬼門は神狐御前の尻尾の中の力を使って自分の体を再構築して蓮と同様に居合の構えをとる。
二人が同じ構えをとりその体がすれ違う瞬間に同じ技の名前が二人の口から紡がれる。
「「"神殺し 一の太刀"」」
同じ技の打ち合いだったがその内容には大きな差があった、体を再構築させた鬼門とボロボロな蓮、右腕の剣が欠けたままの鬼門と妖刀を振るう蓮。二人のその差は結果となってあらわれる。
双方剣を振り抜いた体勢で動かなかったが、しばらくして右腕から妖刀を取りこぼし地面に倒れる蓮。その肉体には多くの傷があったが新しい傷は見当たらなかった。
右腕を振り抜いた体勢のままの鬼門の再構築された体は斜めに大きな傷がついていた。肉体を再構築した鬼門だったが神狐御前の尻尾の力をそれ以上使うことはせず魔力を補充することはしなかった。
目的が戦いの後に残っていた鬼門と戦いが目的そのものだった妖刀と蓮の差もそこにはあった。
鬼門の体は真っ二つにはなってこそいないもののその肉体に深々と切り傷が刻まれ、再び肉体を構築しない限り動くことが出来なかった。
「くそっ…御前様の復活はあと少しだったのに」
それだけ言って倒れる鬼門。
「トドメだけでも…」
自分の後方に倒れた鬼門の方になんとか体を向けて這って移動しようとする蓮だったが、筋肉も断裂した蓮はなんとか鬼門の方に体を向けるだけでそれ以上動かすことは出来なかった。"神殺し 一の太刀"を放つには蓮の体は傷つきすぎていた、通常の蓮の体だったなら筋繊維に傷つくことはなかったがボロボロになっていた体には過ぎた技術だった。神経、血管それに筋肉が傷ついた蓮の体はドロシーと同期しているとはいえ月単位の静養が必要なほどだった。
そうして鬼門の方を見つめる蓮だったが、突如鬼門の近くの空間が歪みそこから首がない女が現れる。
首のない女は腰の辺りから五本の金色の尻尾を生やしていた。
女の首のあたりから肉が盛り上がり頭を形成する。新しく生えた頭は銀色の髪に狐の耳が頭の上から生えている美女だった。
「アルテリア…?」
髪の色と体つきは蓮が以前戦ったアルテリアのものだったがその顔は日本人の顔つきで蓮はそれがアルテリアなのか自信がなかった。
そしてその女の正体は女の姿を見た瞬間から涙を流している鬼門の口から明かされる。
「ああ…復活されたのですね御前様…」
ここに新たなる日本の彼岸の主が戻ってきた。
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数百年前の魔都 京都で一人の男が生まれた。
「はあ、やっと妾の小間使いを作れたわね。あんたは鬼門、妾と一緒にこの都を表の世界にも負けないくらいに華やかなところにしましょう!」
鬼門と名付けられた男はまだほとんど自我がなかったため自分を作り出した女の言うことに何も疑問に持たずに従った。その女はくすんだ金髪に髪の色と同じ狐の耳を頭の上に生やして、その腰の辺りから七本の尻尾を生やしていた。
それから百年ほどたったある日に神狐御前と名乗った女は妖怪と四体の鬼を作り出した。
「やっぱり都には住民が必要だと思うのよ、人間もいいけどやっぱり妾のよく知った奴らがいいわね」
妖怪はもっと前の時代に実在していた生命体らしいが何らかの理由で神狐御前を残して滅んでいた。そんなことは知らずに鬼門は神狐御前に質問する。
「そりゃあいいけど、こいつら全く喋らないんだが?」
「生まれたばかりのあなたも似たようなもんだったわよ。あの子達は魔力を核にしてるから魂の働きをするものはないの、寂しいけどこれから何かしらの奇跡が起こって話せるようにもなるかもね」
鬼門の後輩となる四体の鬼たちは人間の姿に酷似していたがその肉体は歪だった。
「その子たちは妾の負の感情から出来たからそんな体なの、まああなたの後輩だから鍛えてあげて」
魔都の中で二百年余りの時間が過ぎて妖怪たちに魂のようなものが芽生え始める。その事を神狐御前は涙を流して喜んだ。
現在からおよそ百年前に一人の少年が魔都に入ってくる。その少年は侵入者として鬼門に殺されるところだったが神狐御前の一声によって救われた。
「誰でもかれでも殺せって言ったわけじゃないでしょう!あの女達じゃない限りあんたが出る必要は無いって言ったでしょうが!あんたは本当融通が聞かないんだから!」
神狐御前が助けた少年は人間社会から弾き出されて偶然魔都にやってきた。その少年には名前もなく神狐御前はその少年に"剣祇"と名付けた。鬼門はその名前を呼ぶことは一度もせずに"くそガキ"と呼んでいた。
剣祇は神狐御前に保護されてから鬼門の指導を受けてメキメキと力をつけていき、三十年たってから"神殺しの太刀"を伝授されその十年後には妖刀を受領した。
現代から十五年ほど前に双子の少女が魔都にやってきて神狐御前はその二人も保護した。二人の少女は無行 五と四で凄まじい魔法の才能を見せていた。
剣祇と名付けられた少年は神狐御前からもらった名前を変えて自らを"剣の翁"と名乗り出した。それは神狐御前からもらった名前を神狐御前以外から呼ばれたくなかったからだった。
それから数年たって神狐御前は妊娠した。ある時に魔都に入ってきた魔法使いの男との子供だった。その魔法使いの男は現代最高の魔法使いと呼ばれる男だった。
妊娠した神狐御前はどんどん弱っていた。すでに起き上がることも出来ないほどになっていて、"奥の院"から出ることはほとんどなかった。
「何故あなたはあんな男と子を成したのですか?子を成していなければここまで弱ることもなかったはずです」
「はあ、うるさいわね!妾は子供が欲しかったの、この彼岸に閉じ込められてからずっと!あの男を選んだ理由は人間だったからよ、何回も言ったわよね」
鬼門は神狐御前が弱っている理由を妊娠であると決めつけて、憎しみすらこもった言葉を神狐御前に向ける。彼にとって神狐御前は完成された存在で弱ることなどあってはならなかったからだ。
「私や妖怪達はあなたの子供では無かったのですか!?」
「あなた達も妾の子供よ!だからこの子もあなた達と同じように愛したいのよ!だからもう一人にしてちょうだい」
それだけ言って神狐御前は鬼門を"奥の院"から追い出した。
「御前様大丈夫ですか?」
鬼門と代わる様に部屋に入ってきた一人の妖怪は心底心配した声を神狐御前に向ける。
「ええ、ごめんなさいね大きい声を出して。あなたは自我が芽生えるのが一番遅かったからこの子のお兄さんの様なものになるかもね。どうかこの子を守ってあげてポン太」
そうしているうちに神狐御前は出産した。生まれた赤子は神狐御前の顔には似なかった、しかしその髪の色は神狐御前の色より鮮やかな金色で頭の上から狐耳が生えて腰のあたりにも尻尾が生えていて血縁を感じさせた。
「ああ、この子が妾の"黄金"ね…」
生まれた子供は黄金姫と名付けられて妖怪たちや剣祇、無行姉妹に大変可愛がられた。
しかし黄金姫が生まれて数ヶ月たったある日に神狐御前はその尻尾の全てを黄金姫に譲って亡くなった。
神狐御前の死は魔都を悲しみに包んだが黄金姫という新しい主の為に一体を除き皆悲しみから立ち直った。
無行姉妹と剣祇は表の世界から魔都を守護する任につき魔都に入るのは半年に一回ほどになり、魔都の防衛は鬼門と四体の鬼に任せた。
「何故だ!?何故御前様が死ななければいけなかったんだ!?魔法使いの男か、それとも黄金姫のせいか!私はあなたがいなくなったらこの都を守る意味が無いのに」
何よりも神狐御前の死を悔やんでいたのは鬼門であり、この頃から鬼門は魔都を守る意思が無くなっていた。
そして鬼門は一人の侵入者と出会いそこから魔都の崩壊が始まる。
鬼門の核である神狐御前の尻尾は人間の魂と同じ働きをしてあるだけで魔力を発する。人間の魂と違うのは物理的なものであること。
鬼門の肉体は尻尾が変じたものであるため時間経過で治ることはない。
鬼門が生まれてから数百年ほどたつがそれまで目立った傷がなかったのは神狐御前が鬼門の肉体を癒していたから。




