【外伝】治療
ヒロはギルドへ戻っていた。
大広間は、そのまま救護所として使われている。
寝台が並び。
冒険者も。
騎士も。
魔族も。
分け隔てなく治療を受けていた。
ヒロも椅子へ座らされている。
目の前にはリリア。
腕を組みながら、じっとヒロを見つめていた。
「リリアさん。」
「そこはただの擦り傷なんで、大丈夫ですよ。」
「ダメ。」
即答だった。
「ちゃんと治さないと。」
そう言いながら薬を塗っていく。
「……あ。」
リリアがヒロの肩へ触れる。
「あざになってる。」
「痛かったでしょ。」
ヒロは苦笑した。
「リリアさん。」
「そこは。」
「ガレスに肩を叩かれたところです。」
一瞬。
ギルドが静まり返る。
次の瞬間。
「ぶはははは!」
「それ治療するとこじゃねぇ!」
「ガレスのせいかよ!」
大笑いが起こる。
リリアは顔を真っ赤にした。
「し、知らなかったの!」
「でも!」
「ちゃんと診ます!」
「はいはい。」
ヒロは困ったように笑う。
その少し離れた場所では。
アルヴィンが近くの受付嬢へ声を掛けていた。
「すみません。」
「ちょっと診てもらえますか。」
受付嬢が首を傾げる。
「どこを怪我されたんですか?」
アルヴィンは真顔で答えた。
「耳が。」
「よく聞こえないんです……。」
近くで聞いていた職人が、すぐに言った。
「ガレスの大声だろ。」
魔族も腕を組みながら頷く。
「間違いない。」
「あれは耳に悪い。」
「千年ぶりに鼓膜が痛くなった。」
「ぶはははは!」
ギルド中が、また大笑いに包まれる。
その笑い声の向こうから。
「おーい!」
「誰か飯ぃぃぃ!!」
医務室の方から、ガレスの大声が響いた。
アルヴィンは耳を押さえながら顔をしかめる。
「……ほら。」
「やっぱりだ。」
さらに大きな笑い声が、ギルドいっぱいに響き渡った。
お読みいただきありがとうございました!「続きが気になる」「面白い」と思っていただけましたら、画面下の「ブックマーク登録」や「★(評価)」で応援していただけると励みになります。




