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主人公はいつになっても冒険者ランクを上げない  作者: Patriot
幼少期:〜十歳

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二人の夢

夕暮れの森を、二人は並んで歩く。


木々の隙間から差し込む夕日が、大地を赤く染めていた。


遠くには陽だまり村。


家々の明かりが一つ、また一つと灯り始めている。


ガレスは背中の大剣を抜き放つと、高々と空へ掲げた。


鈍色の刀身が夕日に照らされ、銀色の光を放つ。


「見てろよ、ヒロ!」


ガレスは満面の笑みを浮かべた。


「俺はこの剣で、世界一の冒険者になる!」


迷いのない声だった。


子どもの夢。


そんな軽い言葉では片付けられない。


その背中には、今日受け継いだ大剣がある。


そして、その言葉には確かな覚悟があった。


ヒロはその横顔を静かに見つめる。


ガレスなら、本当になるかもしれない。


そう思えてしまう。


だからヒロも、迷わなかった。


「ああ。」


静かに頷く。


「僕もなる。」


ガレスが首を傾げる。


「僕は鍛冶を学ぶ。」


「君の装備は全部、僕が作る。」


「君が迷わず前だけを見て戦えるように。」


「戦い方も考える。」


「一番強くなれる道を、僕が探す。」


ヒロはガレスを見る。


「だから、一緒に最高ランクまで行こう。」


一瞬だけ静寂が流れる。


次の瞬間。


ガレスは腹を抱えて笑った。


「何言ってんだ!」


そう言うと、ヒロの肩へ勢いよく腕を回す。


「そんなの当たり前だろ!」


ぐいっと抱き寄せられ、ヒロは少しだけ顔をしかめた。


「頭を使うのはお前!」


ガレスは自分の胸を叩く。


「暴れるのは俺!」


そして、満面の笑みで言い切る。


「俺たちは二人で一人だ!」


その言葉に、ヒロも小さく笑った。


「……うん。」


それだけで十分だった。


論理と直感。


計画と実行。


鍛冶師と剣士。


足りないものを補い合えば、どこまでだって行ける。


そんな気がしていた。


森を抜ける。


目の前には、温かな灯りに包まれた陽だまり村。


並んで歩く二人の影は夕日に長く伸び、いつしか一つに重なっていた。


この日交わした約束を、二人はまだ知らない。


十五年という歳月を経ても、決して忘れることはないということを。

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