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主人公はいつになっても冒険者ランクを上げない  作者: Patriot
少年期:十歳〜十四歳

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22/104

ランク昇格!?

季節は巡り、ヒロとガレスが王都へ来て二年が過ぎていた。


二人は十二歳になっていた。


王都での暮らしは、すっかり日常になっている。


朝は『木漏れ日の酒場』を手伝い。


昼は依頼へ向かい。


夕方にはギルドへ戻る。


それが二人の毎日だった。



「ただいま、リリアさん。」


「……おかえりなさい。」


ヒロは今日も迷わずリリアの窓口へ向かう。


その隣では、ガレスがいつもの受付嬢の前へ立っていた。


「おかえりなさい、ガレスさん。」


受付嬢は微笑みながら、一枚の書類を差し出す。


「今日は依頼書より先に、こちらを。」


「ん?」


ガレスは首を傾げながら受け取る。


その瞬間。


近くの冒険者たちがざわついた。


「おい。」


「また最年少更新か。」


「十二でCランク……。」


ざわめきは、あっという間にロビー中へ広がる。


ガレスが冒険者登録をしたのは十歳。


半年でEランク。


一年でDランク。


そして十二歳でCランク。


ギルド史上最年少での昇格だった。


もっとも。


登録から昇格までの期間だけを見れば、過去にもっと速い冒険者はいる。


それでも。


十二歳でCランクへ到達した者は、ギルドの歴史にも存在しなかった。


ガレスは書類をしばらく眺める。


そして。


「……ヒロ。」


「これ何だ?」


当然のように差し出した。


ヒロは一目見る。


「Cランクへの昇格打診だね。」


「君なら当然だと思う。」


「お前、もっと驚けよ!」


ガレスが笑う。


ヒロは首を振った。


「驚く理由がない。」


「討伐依頼は全部成功。」


「失敗も撤退も一度もない。」


「実力だけ見れば、もっと早くてもよかったくらいだよ。」


周囲の冒険者たちが苦笑する。


「相変わらず容赦ねぇ。」


「でも、一番評価してるのもあいつなんだよな。」


ガレスは照れくさそうに頭を掻く。


「よーし!」


大剣を肩へ担ぐ。


「最高ランクまで一直線だ!」


ヒロは笑った。


「まだCランクだけどね。」


「細けぇことはいい!」


ギルド中に笑いが広がる。



少し離れた窓口。


リリアは静かに二人を見つめていた。


ガレスは嬉しそうに笑っている。


そして。


その隣で。


自分のことのように嬉しそうに笑うヒロがいた。


その笑顔を見た瞬間。


自然と口が動く。


「……おめでとうございます。」


「え?」


振り返ったのはヒロだった。


リリアは少しだけ目を伏せる。


「……いえ。」


眼鏡を押し上げる。


「何でもありません。」


そう言って書類へ視線を戻す。


ヒロは少しだけ首を傾げた。


それでも、小さく頭を下げる。


「ありがとうございます。」


その返事を聞いて。


リリアは誰にも気付かれないほど小さく微笑んだ。


(やっぱり。)


(あなたは、自分のことより。)


(ガレスさんのことを喜ぶんですね。)


その優しさが。


少しだけ、嬉しかった。


「……次の方。」


いつもの事務的な声が、静かにギルドへ響いた。

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