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主人公はいつになっても冒険者ランクを上げない  作者: Patriot
邪神:二十七歳〜

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会議

ガレスと勇者一行は、会議室の扉を開けた。


重い扉がゆっくりと開く。


その瞬間。


部屋中の視線が、一斉に五人へ集まった。


まるで品定めをするような視線。


歓迎の色はない。


値踏みするような空気だけが漂っていた。


ガレスは部屋を見渡す。


各国から集められた高ランク冒険者。


歴戦の将軍。


騎士団長。


名だたる強者ばかりだ。


そして、その中で。


ガレスはSランク。


それでも、この場では最もランクが低かった。


グラムは部屋を見回し、小さく呟く。


「……こんだけか。」


セシリアは静かに首を横へ振る。


「仕方ありませんよ。」


「邪神教徒たちの犯行は、常軌を逸しています。」


悲しそうに目を伏せる。


「人民は恐怖しています。」


「その恐怖を払拭するには、各国とも守りを固める必要がありますから。」


「精鋭を全員送り出すわけには、いかないんです。」


その言葉に、ガレスは黙って頷いた。


オズワルドは重たい空気など気にも留めず、ずんずんと会議室の中央へ歩いていく。


用意された席へ腰を下ろした。


勇者一行とガレスも、それに続く。


部屋は静まり返っていた。


誰も口を開かない。


オズワルドは椅子へ深く腰掛けたまま、面倒そうに手を振る。


「ほれ。」


「始めんか。」


中央席に座る一人の男が静かに立ち上がる。


SSSランク冒険者、ヴァルク。


オズワルドへ一礼すると、すぐに資料を開いた。


「では、報告を始めろ。」


挨拶もそこそこに会議は始まった。


被害報告。


邪神教徒の推定拠点。


構成員の特徴。


使用する奇跡について。


次々と報告が続く。


だが。


ガレスの頭には、何一つ入ってこなかった。


(邪神教徒って、なんだ?)


(奇跡?)


(何もわかんねぇ……。)


俯き、小さく息を吐く。


(こういう時、ヒロがいたら。)


(呆れながら教えてくれるんだろうな。)


その姿を思い浮かべ、寂しそうに目を伏せた。


その時だった。


「王国領内にて発見された冒険者の惨殺遺体、その現場近くにおいて――」


報告官の声に、ガレスの耳が反応する。


「邪神教徒の拠点壊滅を確認。」


ガレスは勢いよく顔を上げた。


部屋の空気が変わる。


報告官は一枚資料をめくる。


「発見された邪神教徒ですが……。」


言葉が止まる。


ヴァルクが低い声で促した。


「……どうした。」


「続けろ。」


報告官は唾を飲み込み、震える声で続きを口にする。


「一連の被害者と……同じように惨殺され。」


顔色を青くする。


「その……。」


「見せしめのように、全員。」


資料を握る手が震えた。


「地面に突き立てられた棒へ……串刺しにされていたとのことです。」


ガレスの背筋に、冷たい汗が流れた。


――全員、同じ目に遭わせてやる。


王都を去る朝。


ヒロが残した、あの言葉が脳裏によみがえる。


会議室は一気に騒然となった。


「拠点壊滅だと?」


「そんな大規模な部隊が動いたなんて聞いてないぞ!」


「あの周辺に軍は配置していなかったはずだ!」


報告官は慌てて首を横に振る。


「い、いえ。」


「それが……。」


資料を握る手が震える。


「死体の傷と、その場に残された魔力の残穢から判断して……。」


一度唾を飲み込む。


「実行犯は、一名かと。」


会議室からどよめきが起こる。


「一人でやったっていうのか!?」


「馬鹿な!」


「そんなことが……。」


別の席から苦々しい声が飛ぶ。


「それにしても、やり過ぎだ。」


腕を組み、眉をひそめる。


「行き過ぎた報復は味方の士気を下げる。」


「逆に敵を逆撫でするだけだ。」


さらに別の将軍が資料をめくる。


「そこまで強いとなれば、名の知れた者だろう?」


「調べれば、すぐに分かりそうなものだが。」


混乱する会議室の中。


ヴァルクがゆっくりと手を上げた。


それだけで。


ざわめきは静かに消えていく。


全員が口を閉ざし、その姿へ視線を向けた。


ヴァルクは部屋を見渡し、静かに口を開く。


「とにかく。」


「まずは、邪神教徒の拠点を一つずつ確実に潰していく。」


誰も異論は挟まない。


「その際。」


少し間を置く。


「もし、その犯人と思しき者を発見した場合。」


ヴァルクの声がさらに低くなる。


「殺すな。」


部屋中の視線が集まる。


「必ず、生け捕りにしろ。」


「敵ではない。しかし、やり方は許すことは出来ない。」

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