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主人公はいつになっても冒険者ランクを上げない  作者: Patriot
邪神:二十七歳〜

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喫茶店

街外れの小さな喫茶店。


テラス席。


オズワルドは椅子へ深く腰掛けると、パイプへ火をつけた。


白い煙がゆっくりと空へ昇っていく。


一服してから、静かに口を開いた。


「それで?」


「黒髪の小僧はどこじゃ?」


ガレスは俯いた。


何も答えない。


ただ、膝の上で拳を握り締める。


その様子を見て、誰も急かさなかった。


ただ静かに待つ。


長い沈黙の後。


ガレスはようやく口を開いた。


「ヒロには……。」


ゆっくりと言葉を選ぶ。


「幼い頃から面倒を見てた子がいた。」


「エリックっていうんだ。」


視線は落ちたまま。


「そいつが……邪神教徒に殺された。」


四人の表情が変わる。


ガレスは続けた。


「誰にも何も言わず。」


「ヒロは王都を出ていった。」


その時の声を思い出す。


「『やられたら、やり返す。』」


喉が詰まる。


「『全員、同じ目に遭わせてやる。』」


苦しそうに息を吐いた。


「あいつを止めようとした。」


首を横に振る。


「でも……。」


「怖くて、止められなかった。」


その言葉に、テーブルが静まり返る。


「俺には分かった。」


「止めたら……俺は殺されるって。」


ガレスはゆっくりと目を閉じた。


「あれから、しばらく落ち込んだ。」


「酒場の二階に引きこもって。」


「何もできなかった。」


そして顔を上げる。


その瞳には、もう迷いはなかった。


「でも。」


「もう立ち直った。」


力強く頷く。


「だから。」


「こうして、あいつを連れ戻しに来たんだ。」


エレナは真っ直ぐガレスを見つめた。


迷いのない瞳。


腰の聖剣をそっと握る。


「手伝うよ。」


静かに微笑む。


「ヒロには、返しきれない恩がある。」


その一言に、ガレスは小さく目を見開いた。


続いて、セシリアが穏やかに微笑む。


「そうですね。」


「目的は同じですから。」


優しく頷く。


「必ず会えます。」


オズワルドはパイプを口から離し、煙をゆっくりと吐き出した。


「ふぉっふぉっふぉ。」


「それに、あやつはワシの弟子にすると決めとるからな。」


ガレスを見る。


「お主が連れ帰れるかは、保証できん。」


グラムは腕を組み、大きく頷いた。


「友の頼みだ。」


胸をどんと叩く。


「男なら断らん。」


四人の言葉を聞き終えたガレスは、静かに目を伏せる。


そして、ふっと微笑んだ。


「……ありがとう。」


それからしばらく。


四人は笑い合いながら、お互いの近況を語り合った。


王都での出来事。


旅先での失敗談。


酒場での馬鹿騒ぎ。


話題は尽きなかった。


やがて。


ガレスが少し気まずそうに頭を掻く。


「……それで、その。」


エレナが首を傾げる。


「何?」


ガレスは言いにくそうに懐から一枚の依頼書を取り出した。


机の上へ置く。


『邪神教徒掃討作戦会議』


依頼書を指差す。


「……これ。」


少し照れくさそうに笑う。


「何が書いてあるんだ?」


一瞬。


四人とも固まった。


そして。


「ぷっ……!」


エレナが吹き出した。


「ふふっ!」


セシリアも口元を押さえる。


「ふぉっふぉっふぉ!」


オズワルドは腹を抱えて笑い始めた。


ついには四人そろって大笑いになった。


「ははははは!」


ガレスは耳まで赤くしながら頭を掻く。


「いや、その……。」


照れ笑いを浮かべる。


「今までヒロがクエスト選んでさ。」


「細かく説明してくれてたからよぉ。」


依頼書をひらひらと振る。


「こういうの、わかんねぇんだよ。」


その一言に、四人はさらに笑い転げた。

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