再会
エルドニア公国。
豊富な資源を有し、美しい自然に囲まれた国。
交易と観光によって栄え、多くの旅人が行き交う活気ある国だった。
荷馬車が街道の入口で止まる。
ガレスは荷台から飛び降りると、商人へ勢いよく振り返った。
「ありがとう!!!」
両手をぶんぶんと振る。
「恩に着る!!!」
その大声が山々へ木霊する。
バサバサバサッ!!
森から鳥たちが一斉に飛び立った。
ガサガサガサッ!!
獣たちは悲鳴を上げるように森の奥へ逃げていく。
街道を歩いていた人々は一斉に耳を塞いだ。
「うるさっ!」
「なんだあいつ!?」
「鼓膜破れるかと思った!」
皆の視線が、一斉にガレスへ集まる。
商人は頭を抱えながら苦笑した。
「旦那ぁ……。」
「最後まで元気でさぁ……。」
ガレスだけは満面の笑みで、大きく手を振り続けていた。
その大声を聞きつけて、一人の女性が街の奥から駆け出してきた。
「ガレス!」
その後ろからは、大剣を背負った熊のような体格の男も全力で走ってくる。
「ガレスよね!?」
ガレスはその声に振り返った。
そして、ふっと表情が和らぐ。
「ああ……。」
懐かしさが込み上げる。
少しだけ目を潤ませながら、大きく笑った。
「エレナ!!」
駆け寄ってきたのは、勇者エレナだった。
その後ろでは、戦士グラムが肩を震わせている。
「お、男なら!」
胸を張る。
「再会に涙などいらぬ!」
ガレスを指差す。
「ガレス、お前なに目を潤ませている!」
ゴツン。
オズワルドの杖が、いつものようにグラムの頭へ落ちた。
「痛っ!」
オズワルドは肩で息をしながら呆れたように言う。
「お主も、大概じゃろうて。」
「さっきから誰よりも必死に走っとったくせに。」
その少し後ろから、セシリアがようやく追いついてきた。
肩で息をしながら頬を膨らませる。
「もうっ。」
「皆さん、置いていかないでくださいよ。」
その言葉に、一同は顔を見合わせる。
そして。
「はははは!」
再会を喜ぶ笑い声が、エルドニア公国の青空へ響いた。
周囲はいつの間にか人だかりになっていた。
「あの赤髪……。」
一人の冒険者が目を見開く。
「Sランクのガレスか?」
隣の男が苦笑する。
「ああ、間違いない。」
耳を押さえながら頷く。
「あの馬鹿みたいな大声、忘れるもんか。」
別の者が勇者一行へ目を向ける。
「それに、勇者様たちだよな?」
「知り合いなのか?」
「どういう組み合わせだ?」
ざわざわと人が集まり始める。
オズワルドはその様子を一瞥し、小さくため息をついた。
「……場所を変えんか?」
ガレスは元気よく頷く。
「おう!」
その一言で、再び周囲の人々が耳を塞いだ。
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