別れ
一ヶ月後。
ついに、聖剣が完成した。
勇者一行は再び旅立つ日を迎える。
王都の門前には、多くの人々が集まっていた。
冒険者。
職人。
街の人々。
皆が勇者一行を見送りに来ていた。
エレナはガレスの前まで歩み寄る。
聖剣を肩へ担ぎ、不敵に笑った。
「ガレス!」
「次に会う時は、勝ち越しさせてもらうからね!」
この一か月。
毎日のように繰り返された模擬戦。
結果は――
十五勝十五敗。
結局、引き分けだった。
ガレスは満面の笑みで頷く。
「おう!」
その横で。
グラムは背中を向けたまま肩を震わせていた。
「男の別れに……涙はいらん!」
鼻をすすりながら叫ぶ。
ゴツン。
オズワルドの杖が容赦なく頭へ落ちる。
「見苦しいわ。」
「いてぇ!」
そのやり取りに、周囲から笑いが漏れた。
セシリアはくすりと笑って辺りを見回す。
「そういえば。」
「ヒロさんと、工房の皆さんは?」
ガレスも辺りを見渡す。
「ああ。」
「あのおっさんたちは、『見送りなんて湿っぽいことはしねぇ』ってさ。」
そして、遠くを指差した。
「あと、ヒロはあそこ。」
皆がその先を見る。
少し離れた場所。
ヒロとアンネローゼが並んで立っていた。
ヒロは面倒くさそうに片手を上げる。
それだけだった。
エレナは思わず笑う。
腰の聖剣を静かに抜いた。
朝日に照らされ、美しく輝く刃。
そのまま天へ高く掲げる。
「ヒロー!!」
満面の笑みで叫ぶ。
「ありがとう!!」
その声は、王都中に響き渡った。
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