冒険初心者の作戦会議
依頼を受けていたツノトカゲを発見したもののすぐ近くに別の魔物、岩蛇がこちらを認識した状態で潜んでいるという状態。さて、どうしたものか。
「とりあえず2匹を引き離す必要があるよね。岩蛇がツノトカゲを捕まえようとしてる時に大人しくしてくれてるとは思えないし。こうなって来ると岩蛇を先に倒してしまうって案も出てくるんだけど、どう思う?」
先程は岩蛇を倒すメリットがあまり無いと思っていたので放置するつもりだったがせっかく見つけた捕獲対象を見逃すのは惜しい。岩蛇の数は1匹のようだし、なんとかなるのであれば戦うのもありだと思う。
なんとかなるのであればだが。
「うーん、そうね…、でも完全に岩で隠れちゃってるから近寄らないと狙えないし、あんまり近すぎるとボウガンって威力が出ないから硬い体に矢が弾かれちゃうかもだし…。」
なるほど。遠距離武器にはその武器に応じた適正の距離みたいなものがあるらしい、というのは聞いたことがある。発射してすぐに着弾するのと、ある程度の距離を飛んで威力を乗せた後で当てるのでは当たり前だが威力が違って来るのだろう。
「そうか。とはいえ他に武器となるとこの棒切れか、ナイフかになるわけで。まあどうしようもないな。となると魔法しかないか。ある程度まで近づいて火魔法でなんとかならないかな? あんまり岩系の魔物に火が効く気はしないんだけど。」
「どう…かな? 魔物と戦えるほどの魔法を使える冒険者ってあんまり聞かないから…。あ、前にドラゴンと戦ったっていう冒険者の人はドラゴンが口から吐いた火を水魔法で打ち消した、なんて話を聞いたことあるけど。」
「いや、そんな伝説の戦いみたいな話を例に出されても…。てかやっぱドラゴンとかいるんだな。でもまあそういうのはともかく岩蛇相手に火魔法が効くかどうかなんて情報は出回らないよね。自分で試してみるしかないか…。」
予期せぬところでファンタジーの代表格、ドラゴンさんの存在が明らかになったわけだが今は気にする必要はないだろう。今はドラゴンよりもトカゲの方が大事だ。
「よし、とりあえず岩蛇を倒す方向で行ってみようと思う。それでその時に気をつけたいのがツノトカゲも戦闘に巻き込んでしまわないようにすることだね。詳細には書いてなかったけど、捕獲って依頼からわかるようにあんまり攻撃とかして弱らせたりしない方がいいと思うんだ。わざわざ生きたままの魔物を欲しがるってことは飼う、のかはわからないけど何か理由があるんだろうし。」
「あーそっか。というか今更だけどよくわかんない依頼だよね。魔物の討伐で素材が欲しいってわけでもなく捕獲なんて面倒な依頼な上に期間はギルドで設定できる上限の3ヶ月。それもユーンの話だと前にも1度出された依頼でその時は誰も受けずに放置されて3ヶ月経っちゃって無効になったのに今度は依頼料上乗せされてまた出されたわけでしょー? …まあちょびっとだけ上がってたらしいけどねー。」
「うーん、まあ…、捕獲なんて手間のかかる依頼な割にはかなり安い、というか渋いよね。俺たちだってこの依頼を受けたのは、もう1個の依頼の仙人掌の実を採取出来る場所で達成出来そうな依頼が他になかったからだしね。」
ちなみにツノトカゲの捕獲の依頼料は銀貨8枚。参加人数による増加無し。2匹以上捕獲したとしても増加無し。ただし引き取りはするので多くても可という中々な依頼内容である。正直進んで受けたいと思える内容ではなかった。ちなみに誰も受けなかったという前回の依頼時は銀貨6枚だったとのこと。
「というわけで作戦の大筋としてはツノトカゲに見つからないようにして、先に岩蛇を単体で撃破。で、それからツノトカゲの捕獲に動く、ってことで。」
「問題ないよー。それじゃ作戦の詳細の相談だね!」
「うん、出来る限り安全を考慮していくよ。」
イオルと相談して作戦会議となる。もちろん全て作戦通りとは行かないかもしれないが冒険初心者なりに考えを出し合った。
さあ、岩蛇攻略からのツノトカゲ捕獲作戦開始だ!!




