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曜日替わり能力  作者: 向風
122/125

塒を巻く


昼食を終えたので探索を再開することにした。


「よし、じゃあもうひと頑張りしようか。とりあえずまだ行っていない方角、というか岩場の中心の方に行ってみよう。この辺りは魔物があんまりいないみたいで安全だけど依頼を受けたツノトカゲは捕まえないとだからね。」

「あっちだね、りょーかい。」


それぞれ背嚢を背負い直し、武器を手に持つ。

昼食を取ったと言っても持ってきたパンと摘んだばかりの仙人掌の実を切り分けた程度なので準備もすぐだ。

ただこれだけだとちょっと寂しかったのでこれからは簡単な料理くらいはしても良いかもしれない。

まああまり食材や調理道具を持ち込むと冒険で採取したものを持ち帰る量が減りそうなのでそこは考えなければならないが、魔法で火や水には困らないのだから最低限の装備で大丈夫だろう。

ちなみに昼食を諦める、という選択肢はない。俺は3食きっちり食べる派なのだ。そこは譲れない。




「ジンさん、止まって。…ちょっと隠れよう。」


昼食を取った場所から20分ほど進んだところでイオルがそう提案し、俺は言われるがままについていく。


「どうした? 何か見つけたの?」

「うん。1匹だけだけど魔物がいる。…ただ、多分だけど向こうもこっちに気付いてるみたい。私が見つけたのとほぼ同時くらいに動きが止まった。」

「なるほど。隠れて俺たちをやり過ごそうとしいてるのか、それとも待ち伏せて仕掛けるつもりなのか。どう思う?」

「うーん、待ち伏せかなぁ。一応なんとなく大きさとか形がわかるんだけど長い体をこう、ぐるぐるって巻きつける? みたいにしてるみたいなんだよね。」


人差し指を突き出して空中に円を描くかの様にクルクル回して魔物の形状を伝えてようとするイオル。


「なるほど、その特徴だと蛇が塒を巻いてるみたいだな。確か蛇は音、というか振動に敏感らしいからイオルの出す超音波の振動を感じ取ったってことかな。」

「そうなの? そんなことよく知ってるねー。」

「まあちょっと聞いたことがあったってだけだけどね。」


前に蛇は耳がないのにどうして蛇使いの笛の音が聞こえるのか、みたいなテレビ番組を見たことがあってその時に知ったのだ。


「ふーん? まあとりあえずかなり離れてるのに私たちに気づいたってことからしても蛇で間違いないってことで良いんだよね? じゃあ岩蛇かー。」


岩場にいる蛇だから岩蛇というあまりにも安直なネーミングだと思うがその通りでユーンさんからこのあたりに出る魔物として説明された時も岩蛇と紹介された。まあツノトカゲも大概だが。


「そうだね。あ、そうだ、実は岩蛇は前にダイアスたちが討伐するのを見たことがあるんだ。ここほど大きくはなかったけど岩場の近くを通った時に遭遇してさ。」



転生してきた日に色々あってサルコスの町にダイアスたちと向かっている時にも待ち伏せをしていた岩蛇2匹を見つけて戦闘になり、ダイアスとベックが対処したことイオルに話した。



「なるほどねー。じゃあ岩蛇は獲物が近くに寄ってくるのを待ち伏せしてるってことで間違いなさそうだね。んー、でもどうする? 戦う?」


イオルが困ったように聞いてくる。


「うーん、正直なところ無理に戦う必要はないと思う。こっちに気付いてるっていっても向かって来てるわけじゃないし、それにベックに聞いたんだけど岩蛇は体が硬くて倒すのが面倒な割に素材としての使い道があまりないから倒す利点自体少ないらしいんだ。だから普段は放置安定らしい。」

「そうなの? だったらこのまま距離をとったまま迂回しちゃおうよ。初めての魔物だからどんな風に動くのかもわからないのに相手に気づかれてる状態で近づくのも怖いし。」


これまでの魔物との戦闘は基本的にこちらからの奇襲から始めているものばかりなこともあり最初から気づかれた状態での戦闘に慣れていないイオルも俺の案に賛成してくれたので迂回することが決定した。


「じゃあ右と左、どっちから行く?」

「うーん、あんまり川から離れすぎても帰る時大変そうだしなーーって、あれっ?」


話してる途中で急に言葉を切り、首を傾げるようにした後で


「ごめん、ちょっと待ってね」


と、言うとイオルは集中するように両目を閉じる。おそらく壁にしている岩越しに能力を使っているのだろう。

手伝えることもないのでせめて集中できるようになるべく音を出さないようにジッとして待つ。


しばらく待っていると探知が終わりなにかを見つけたらしいイオルが嬉しそうに報告してくれる。


「ジンさん、ツノトカゲ見つけた!」

「本当⁉︎」

「ほんとほんと! 障害物多くてわかりにくかったけど岩蛇の隠れてる岩の裏っ側にトゲトゲの魔物がいるからこれがそうだと思う!」

「おお! さすがイオル!」

「えへへー、そうでしょ〜?」


褒められた時に出るドヤ顔イオル。ユーンさん曰くあまり褒めすぎると何かやらかす可能性があるのでほどほどにするようにとのことだ。


それじゃあツノトカゲ捕獲の作戦を考えないとな。




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