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49番目の後継者  作者: ペンギンMAX
第二章 首都イブロニアと新たなる仲間達
28/41

第二十八話 武具と月夜

10/15 再更新

「ト・・・トシヤ~~~~~!!起きなさいよ、この!!」


「トシヤ様・・・まさ・・か・・トォウシヤ!さ~~ま~~!!」


「トシヤ!!!許さないわよ!!許さない許さない!!許さない!!!!」


「私だって!!事と次第ではトシヤ様を殺して私も死ぬ!!!」



 な!何だこの状況!

 俺はイシュタルとシルビア、2人にヒステリックな言葉を浴びせられながら困惑のまま目覚める。

 しかも2人懸かりで馬乗りになられ、普通なら脳みそが破裂しそうな位、暴力的に揺さぶられている。

 ベットに上下に叩き付けられる俺の頭は、まるでバスケットのドルブルのようだ・・・



「な・・ちょ・・・何が・・ゲフ・・・ど・・うし・・ブ」



 言葉を発するも、揺れて思うように声が出せない。



「何がなによ!!まさかとは思っていてけど!ロリまで手を出すなんて!!」


「トシヤ様の守備範囲にロリが!!ロリが~~~!!」



 いやもう、どうなってんの・・・揺れる視界に眩暈を感じながら、ベットの横を見ると、胸元をシーツで隠したリリィが、涙目で膝を抱えて蹲っている。


 え・・・?俺何したの??

 一瞬にして思考を巡らせるも、考えが纏まらない。

 確かベットの空きが無く、仕方が無いのでリリィの横に寝たまでは覚えているが、その後は記憶に無い。

 まさかとは思うが、俺は無意識に寝てるリリィを襲ってしまったのだろうか??


 襲わないという自信が無かった・・・

 この所まったく致していなかった俺が、無意識に欲望を発揮して誘惑に負けたかもしれないという疑惑を否定できない。

 そんな俺の困惑を見て、ますます涙目のリリィ・・・

 しかも真っ赤に顔を染め上げていては、有罪が確定したも同然だ。


 うん・・・判決は死刑・・かな?



「っ・・・リリィが・・・頬を染めて・・・ってええええええ!!!!!ト~シ~ヤ~~~~!!!」


「し・・・信じていたのに・・・トシヤ様・・・」


「あれだけ私達がトシヤの性欲を発散させて、他所の女に向かわないようにしてたのに!!!」


「そうですよ!!ちょっと間が開いたらロリでも手を出す・・・・トシヤ様は・・・グスグス」



 イシュタルは鬼気迫る勢いで益々俺を叩きつけ、シルビアは泣きながら俺の胸をポカポカと叩く。

 ちょ!まさかあの積極的な夜はそういった理由があったんかい!!

 おかしいとは思っていたけど、まさかの種馬扱い・・・・だが・・・・言い訳出来そうに無い・・・

 リリィを見て固まる俺は、したい放題の2人に成すがままだった。



「ちが・・・そ・・こまで・・・は・・ない・・」


「「「ん?」」」



 恥ずかしそうにロリ疑惑を否定するリリィの声に、俺たち3人固まる。

 リリィは申し訳なさそうに俺を見て、2人に向かって誤解を解こうとしてくれた。



「・・・隣・・・寝てて・・・驚いた・・・だけ・・・何も・・・ない・・・」


「そ・・・そうか・・・よかった・・・俺は無実だ・・・」



 逆転無罪を勝ち取った気分とはこの事だろうか、誤解だったと2人に目配せを向けるが、テンションの上がっている2人には届かなかった。



「----それでも!!私とシルビアのベットに来るのが常識でしょう!!!」


「そうですよ!!ロリにロリにならなくても!!!」


「ってあんな狭いベットに大人3人が寝れるかい!!」


「寝るのよ!!寝るに決まってるでしょ!!私の上で寝れば良いのよ~~~~!!!」


「っそこは私ですトシヤ様!!私の上ですよ!!!」


「お前ら!無茶言うなや!!!」


「無茶って、トシヤは私の為に無茶するのよ!!!」


「無茶苦茶やがな!!」



 朝っぱらからこんな騒動を起こせば、ガニッシュやライラさんだって気がつくはずだ。

 案の定、ライラさんが様子を見に来てくれて、何とか2人を宥めてくれなければ、ずーっと責められていたかも知れない・・・

 リリィは申し訳なそうにしながらも、どこか羨ましそうに俺達を眺めていた事に、誰も気づかなかった。


 朝食になりライラさんが用意してくれたサンドイッチを頬張る。

 美味いんだが、夜食もサンドイッチだったよな~っと思っていた。

 もしかしてだけど、ドワーフってサンドイッチしか食わないのかもしれない。

 鍛冶命の彼らにとって、仕事しながらでも食べれるサンドイッチは非常に合理的な料理なのかも。


 ガニッシュは既に家を出て、集落共同の大きな工房で陣頭指揮に入っているそうだ。


 ライラさん曰く、ガニッシュを中心としたドルフ達が指揮を執り、その下でドルフを目指すドワーフ達が付き従って鍛冶を行うらしい。

 雑用や何かは普通のドワーフも手伝い、おおよそ200人規模の労働力が集っているのだそうだ。


 俺としては此処まで大掛かりになっている事に驚いたが、ドワーフが自らの腕前を上げ、貴重な素材による鍛冶に携われる恩恵に勝るものはないらしく、これでも人数が抑えられたらしいのだ。

 もちろんこれからライラさんも鍛冶場に向かい指揮下に入るので、数週間は家のことを任せたいと言ってきた。

 どうやら、ガニッシュの言っていた条件はこの事だったらしい。


 家の事は心良く引き受けて、ライラさんを送り出す。

 残った俺達は、手分けして各自、掃除や洗濯、鍛冶場に篭るドワーフ達の食事の世話などをして過ごす事になった。





◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆





 あれから数日が経った。

 初日の朝の間違いを教訓に、俺はリリィとベットを共にはしてい無い。

 イシュタルとシルビアにも相談して、毎晩交互に俺と2人が寝る事にし、残ったほうがリリィと寝ることで丸く収まった。


 この数日の間に、鍛冶場で幾つかの問題点もあったが、ガニッシュと相談して何とか進展している。

 流石はルビさんの爪や鱗だ、あまりにも硬く加工が困難だった為、武器については爪と爪を削ることで研ぎだす手法をとる為に、研ぎ役と成る爪を1本提供した。


 竜の鱗は、剥ぎ取った後、一度だけ火を入れる事で加工が出来る。

 だが、冷めてしまうと二度と加工が出来ない為、常に高温で熱しながら、一度目の熱を冷まさないよう加工し続けて形にするそうなのだ。

 それが、ルビさんの鱗に関しては、通常より2倍以上の熱が必要なことが解り、高温に保つのに必要な炉の薪が2倍いるという誤算が生じたので、俺が魔法で火力の補助をしたりと、結構異例尽くしになった。


 そんなこんなで更に数日が過ぎていく。

 鍛冶はあれから順調なようで、時折微調整の為要望の確認や、本番前の試作鉄製甲冑によるサイズの補正などを繰り返している。


 ガニッシュの家では、イシュタルが料理を、シルビアが掃除と洗濯を担当し、リリィはそれぞれの補助をするという感じで落ち着いている。

 俺はというと、必要に応じてガニッシュ達の加工時に加熱係として手伝いに行っている。

 朝方に工房に行き魔法補助で炉熱を上げ、深夜まで加工に付き合う。

 此処最近では、ほぼ午前中に俺の役目は終わりになる事が多い、炉の役目が少なくなってきているからだ。


 手が開いてくると周りが見えてくる。

 鍛冶に勤しむガニッシュに目をやる。

 防具の方は加熱しながら、竜の爪を活用して裁断して形を整えるのだが、それを苦も無くこなすドルフに感動した。


 彼らは先祖から伝わる火竜の手袋を嵌め、熱さを物ともせず加工していく。

 火竜の手袋は熱を通さないらしい。

 それでも手元には数千度に燃え盛る竜の鱗があるにも拘らず、火傷一つ負っていない。

 まさに鍛冶の申し子に相応しい、ドルフ達の姿だった。


 ドルフではないドワーフ達は、流石に近寄れないらしく、周りで炉の世話や道具の整理などをこなし、手が開いているものはドルフの作業を真剣に見詰めている。

 見る事も経験とは良く言ったもので、こうやって彼らは技術を手にしていくのだろうと眺めていた。


 すでに出来上がった品は、別のドワーフ達が最終加工を行い、ミスリルを使った彫金まで施してくれている。

 その中にはライラさんも居た。

 どうやら、加工はドルフ、仕上げはドルフになれそうなドワーフ、後は普通のドワーフと分かれているようだ。



「トシヤ!今日はいいぜ、あがりな!」


「OK」



 こうして午後からは暇になってしまう。

 手が開くからといって娯楽も無いので素直に家路に着く。

 家に帰ると、何時ものようにイシュタル達は家事をこなしている、なにせ親方達の衣食の世話と、随伴する師弟の世話も重なって、相当に家事量が多い。

 ドワーフの妻までが出払っている所は、俺達のような手の開いた物を雇って家の家事をしてもらっているのが普通だ。


 忙しそうにする2人に声を掛け、部屋に戻る。

 家事の手伝いを申し出ても断られてしまうい「トシヤはゆっくりしててね♪」などと言われれば、無理に手を出す事も出来無くなった。


 だからと言う訳ではないが、自然と手の開きやすいリリィとゲームに興じる事が多くなっていた。

 部屋に居ると、リリィも手持ち無沙汰な時は入ってくるので、無言の圧力に屈し、俺が自分で極力会話をしなくてもコミュニケーションの計れるゲームを作ったのだ。

 今日も端材で作ったオセロと将棋を使ってリリィと勝負している。


 ゲームをする分には、イシュタルもシルビアも目くじらを立ててこなかったのでホッとしている。

 ゲームをしながら、たまーに会話をするが、言葉が少なくて済むのでありがたい。

 将棋盤に目を落としながら、少ない会話を交わす。



「今日はなにかあったかい?」


「・・・な・・にも・・・」


「そっかー・・・」



 また何手か駒を進め、会話する。



「将棋楽しいか?」


「・・ん・・・とても・・面白い・・・」


「だよなー最初はオセロが多かったけど、最近は将棋がほとんどだよな。」


「先・・・読む・・・面白い・・・あなた弱い・・・私・・・気分良い・・・」


「ブッフーーーーだよな、っははは今じゃ勝てないものな~」


「・・・フフッ・・・」



 また笑ってくれたか。

 こうしてゲームに興じるようになってから、少しずつリリィの感情が表に出てきているように思う。

 あれだけ無表情にしか見えなかった少女も、こうして接してみれば普通の女の子だ。

 顔の動きは少ないが、恥ずかしそうに口角を緩める姿は実に愛くるしい。


 ちなみに勝負についてはもうリリィに勝てなさそうだ。

 いくらスキルの恩恵があっても、行動では無い思考については強化されない為、一向に賢くはなら無い・・・間違えたかなスキル選択・・・


 リリィとゲームをしながら時間を過ごし、夕飯時になると終了する。

 リリィが2人の手伝いに向かう為だ。

 俺は、勝負のついた将棋晩を片付け、時間までランドルフィ卿から貸してもらった本を読み出す。

 今日はこの世界の神話についての本だ。

 窓から外を見ると月が出ている、夕暮れでも地球と同じく白いものが浮かんでいた。

 月の満ち欠けも同じだなーっと、ボーっと眺めている。

 この調子だと満月も近いのかな?そう勝手に解釈して本に目を戻す。





◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆





 窓から見える膨らみかけの月を眺めていた女性は、ランドルフィ卿の邸宅の部屋で一人溜息をつく。

 リリィが監視役として、勇者と呼ばれる人物と共に出掛けてかれこれ2週間以上経っている。

 父や母に感謝はあれど、厄介者扱いに変わりはない女性にとって、リリィの存在は心の拠り所である。

 会えない時間は自らの過去と会話する事になり、自然と憂鬱になる。


 心の安寧が無ければ、聞こえて来るのが女性を苦しめる幻聴。

 リリィの前では気丈に振舞うが、いつもザワツク胸の奥。

 今日も眠るのが怖い、あの子の笑顔を見る事が無いと、途端に湧き出す黒い感情。


 生まなければ良かった?

 いいえ!そんなことはない!


 貴方を責めた義母を許せる?

 許すも何も、今で良いの!


 こんな部屋に閉じ込めて、父親もむごいしうちをする。

 そんなことはない!十分な待遇よ!


 幾度も繰り返される質疑、追い討ちを掛けてくる義母の罵倒。

 蔑む夫の目、勝ち誇る愛人の顔・・・


 常に不の感情が沸き起こる心に希望を見出そうと、健気に抗う女性の側、影が忍び寄る。



「だ・・・誰!」


「これはこれは、お初にお目に掛かりますミネア様。」


「っ人を呼びますよ!」


「大いに結構です、不貞を働いた女性の寝室に、忍び込む男が居ても案外問題ないのでは?」



 ミネアは男の言った不貞という言葉が重く心に響き、気勢を削がれる。

 ミネアの様子に満足したように口角を上げ、言葉を続ける男。



「ふふふあははは、いいですねその顔、見た目は取り繕っているのに、中は渦巻くどす黒い感情、貴方のような人間を餌にして、あの子も強くなるでしょう。さあ、来て貰いますよ。」



 男が言うや否や、ミネアの体力が抜け昏睡する。

 昏睡したミネアを片手で担ぎ、闇の中に消える男。

 次の日、メイドが部屋に訪れ、ミネアが居なくなって居る事に気付き、屋敷は大騒動となる。

 この日のランドルフィ卿邸宅のミネア行方不明事件を境に、イブロニア中で同様の行方不明が頻発していく。


 そんな首都での怪事件を知ることも無く、旅立ってから3週間目にして、俺達はガニッシュ達の作り上げた武具をようやく目のあたりにしていた。


 武具の前で一番驚いていたのはイシュタルさんだった。



「トシヤ・・・まさかこの装備は・・・」


「うん、ごめんね勝手に使ってしまって・・・でもこれが一番だと思ったんだよ。俺が持っているとはいえ、これはイシュタルが貰うべきものだと思ったし、それに・・・シルビアとお揃いにする方が良いかなって思ってね・・・」



 そこには、イシュタルに合わせた白銀に輝く武具と、同じくシルビアの注文どおりの白銀の武具が置かれていた。

 単純に2人に黒が似合わ無いかなって思った事と、呪いの前のルビさんを知るイシュタルにはそっちのが良いと判断したからだ。


 武具を手に考え込むイシュタルに、少し申し訳なく聞いてみる。



「怒ってる?」


「怒っては・・・いないけど・・・どう反応していいか・・・」


「だよね・・ごめん・・・」



 やっぱ俺は浅はかだなって痛感する。



「ん、大丈夫よトシヤ、兎に角ありがとう。ルビさんにも・・・ありがとう・・・」



 労る様に、優しく胸当てを抱きしめて、佇むイシュタルだった。

 シルビアも事情を聞いていたので、申し訳なさそうにしていたが、イシュタルに促されて、武具を手に取っていた。

 シルビアも神妙な面持ちで剣を握り、黙祷を捧げている。


 で、肝心な俺の分はというと、注文どおりの物が出来上がっていて、バスターソードに日本刀を手にしていた。

 バスターソードはルビさんと同じ尻尾の一撃を繰り出せそうな重厚さがあり、あの洞窟での訓練を思い出す。

 日本刀は思ったよりはサーベルに近いかもしれないが、その剣気から全てを切り裂く鋭利さが滲み出ていた。


 此処までに使用した素材は、黒竜の爪3個、黒竜の鱗1枚、白銀の皮1枚、白銀の髭1本、白銀の鱗3枚となっている。

 削ることで磨耗した黒竜の爪1個とそれぞれの端切れや鱗のカスは、約束どおりガニッシュに渡した。

 ガニッシュは誠実な鍛冶をしてくれたようで、素材の余りも少なかった。


 少し湿っぽくはなったが、これでこの集落での生活も終わる。

 武具の完成に、集落と手伝いに来た全員で宴会を開くそうだ。

 特に今日の宴会は、この数週間禁止されていたアルコールが解禁されるとあって、ドワーフ達は大喜びで準備している。

 俺達もこの宴会に参加はするが、明日には旅立つ事を話す。

 話し終わってからは、皆それぞれ思い思いに武具を見詰めていた。


 その夜の宴会はすさまじかった。

 流石ドワーフ、飲む量がはんぱじぇね~~~

 樽ごと飲んでいるし、その体のどこに消えるのか解らない位飲んでいる。

 イシュタルは酒に酔って笑い続けているし、シルビアは虚空に向かって説教中だ。

 リリィはっと見渡すと、宴会の輪から少し離れた所で、一人物思いに耽っていた。



「酒は匂いもキツイしね、大丈夫かい?」



 突然の声に驚いたのか、びくっと顔を上げて俺を見つめるリリィ。



「横に座ってもいいかな?」


「・・・・ん・・・」



 ゆっくりと隣に腰掛けてリリィに話し出す。



「何を見ているのかな?」


「・・・月・・・・」


「ん、満月に近いね。」


「・・・ん・・・」


「途中経過も含めて、報告することが一杯だね帰ると。」



 俺はどうも考えたり思考するのが苦手なようだ、だから直球で話してみようと思っう。

 俺の言葉に警戒感を示しながら、真剣な顔で睨みつけてくるリリィ。



「ん?そうだね~別に報告するなって言うつもりじゃないよ?単に大変だねって本当に思ったのさ。俺達に着いて来て見知ったことは、全部報告するといいよ。俺達のことは気にしないで、リリィ。」



 少し困ったような顔をして、でも警戒感は緩めずにいるリリィ。



「・・・目的・・は・・・?・・懐柔?・・・」


「え?そんなもん考えても居なかったよ。んーどう言えばいいのかな・・・あ、一緒にゲームをしただろう?」


「・・・・ん?・・・」


「だから、この3週間で一緒に旅して、一緒に遊んで、リリィの笑顔が見れて、俺嬉しかったんだ~だから俺の勝手だろうけど、リリィが困っている姿を想像したら嫌でね、いい機会だし言っておこうと思っただけだよ。」



 笑顔という言葉を聴いた瞬間、恥ずかしそうに顔を赤くするリリィが可愛かった。



「・・・へん・・・あなた・・・へん・・・」


「変か、ハハッハハハだね~、そういや俺のこと『あなた』はないだろう?もうそろそろ名前で呼んでくれないか?仲間なんだし。」



 またもや仲間という言葉で気恥ずかしそうにするリリィ。

 この子は褒められたり、友達のように仲良くすることがツボなんだろうかと思う。



「・・・いや・・・よばない・・・」



 プイッと横を向き膨れる様は、まさにお子様。

 年相応の態度に安堵して、微笑ましくなる。



「明日で此処を出るから、もう少しで旅も終わりだね、帰っても同じように仲良くしてもいいかな?」


「・・・わか・・・らない・・・」


「そっかー・・残念だな、楽しかったのにね。」


「・・・おわっちゃう・・・の?・・・」



 ん?初めて何かを聞かれた気がする。

 リリィを見ると、寂しそうに俺を見ている。

 その陰りのある顔に、何かを感じ取ってはいたが、心の奥までは推し量れない。

 でも、何とかしないといけないと直感は告げる。



「帰っても、俺達と一緒に冒険するか?」



 その言葉に大いに驚いているリリィ。

 だが、直ぐにあの無表情へと変わり、俺を突き放すように言ってくる。



「・・・ない・・・そんな・・・のは・・・ない・・・」


「ん、しかたないね・・・」



 2人して月を見上げ、無言の時間を過ごす。

 夜も遅くなり、眠そうなリリィを連れ、酔った2人を伴い部屋に戻る。

 なんとなーく目が冴えていたので、3人を残して外に出る。

 夜空を見ながら、近くの戸板にもたれてぼんやりと考えを巡らせていた。

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