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49番目の後継者  作者: ペンギンMAX
第二章 首都イブロニアと新たなる仲間達
27/41

第二十七話 ガニッシュとライラ

少しずつ元の調子が戻っています。


10/15 再更新


 ガニッシュに着いて山頂を目指す道すがら、特別目立つ事の無い場所で一行は立ち止まる。

 山頂側の崖に向かって、ガニッシュが何か呪文を唱えると、俺達を見てニヤリと笑みを浮かべたかと思うと崖の中に消えていった。


 どうやら此処が集落への入り口らしいのだが、手の込んだカモフラージュだ。

 ドワーフ集団も次々と崖に吸い込まれていき、残った俺達は置いていかれないよう崖に向かって突き進む。

 崖に入ってみると、どうも似たような感覚に見舞われる。

 この感覚はおそらくおれ自身が良く知っているゲート魔法のようだ。

 そうすると、この場所に入り口があるわけで無い。

 ゲートなら何処からでも目的地につけるのだから。

 ここの入り口事態はあまり意味を成さないようだ。


 わざわざ山頂付近に来て、此処が入り口と錯覚させる為に来たのだろう。

 用意周到なことだ・・・


 崖のゲートを潜り、集落へと出た。

 集落は一言で言えば大昔のタタラバの雰囲気そのままだ。

 とは言っても、俺だって映画や漫画・教科書の知識しかないので、実際に見たわけでは無いが。

 とにかく活気に満ち溢れた喧騒がとても印象的な場所だ。



「着いて来い。」



 ガニッシュに呼ばれ、俺達は集落の中を進んで行く。

 周りのドワーフ達は、とにかく何か作っているのが目に付く。

 武具はもちろん、生活用品からアクセサリーまで、思い付けるだけの金属製品が、そこかしこで見かける。

 周りを観察しながら、ガニッシュに着いて行く事数分、目的地が見えてきたようだ。

 この集落でも入り口から奥の方に在り、此処では比較的大きな工房に辿り着く。



「ここが俺の家さ、入ってくれ。」



 促されるまま工房の家?に入る。

 中では、飛び切り体格のいいスカートを履いたドワーフが、引っ切り無しに指示を出している。

 その指示に数人のドワーフが従い、鍛冶に勤しんでいた。



「帰ったぜライラ。客がいる、部屋を使うぜ。」


「あら、帰ってきたのガニッシュ。今忙しいから勝手に使っててちょうだいな。」


「おう、勝手にしてらー」



 俺達は、ライラといわれたドワーフが多分ガニッシュの言っていた妻の事ではないかと思い、挨拶をしようと彼女に目線を向けた。

 そこにはガニッシュと同等の体格を持ち、筋骨隆々でありながらも豊満な胸があり、顔は非常に愛くるしいのに髭があるという奇妙なドワーフがいて、呆気にとられた。


 まさかのリアルドワーフかよ~ん!

 俺の世界の伝承そのままなのかよ!!っと突っ込みを心で入れる。


 いやさ最近ではドワーフってロリ要員だったりするじゃない。

 可愛くて小さく、力持ちで気が弱い・・・そんな妄想は毛ほども叶ってない!

 何処にそんなの居るんだよ!!


 百歩譲って、筋肉質は良い、でも髭はないだろ髭は・・・

 確かに本物のドワーフと言えば、女性でも髭があって男性と区別がつかないと西洋の記述ではあったけど・・・

 夢壊れたよ・・・トホホ


 俺の心境を察することなく、イシュタルやシルビアは挨拶を済ませている。

 俺も出来るだけ心の落胆を見せないようにして、無難に挨拶を済ませ、ガニッシュのいる部屋に向かって行った。


 部屋にはテーブルと椅子があり、先にガニッシュが座っていた。

 適当に座るよう促されて、俺達は椅子に腰掛けガニッシュの言葉を待つ。



「ドワーフの女性は初めてか?」



 っげ、ばれてーら・・・

 ここは正直に言うしかないか。



「ええ、初めてですよ。」


「じゃあ、おどれーたろうな、がはははは。人族の基準と違うからな俺達は。」



 陽気に笑うガニッシュに対し、俺は失礼な顔をしていたのかと心配になっている。

 確かにドワーフの美的センスは違いそうだ、というか全然基準が解らん。

 困った俺の思いを察したのか、ガニッシュは俺に説明をしてくれた。



「ドワーフってのはな、鍛冶の腕があって、作り上げるものが素晴らしいほど良いとされてるんだよ。だから男も女もかわらねーんだ、腕が良ければ全てに勝る。まさに鍛冶に魅入られた一族なのさ。」


「では、ライラさんも凄腕なんでしょうね~。」


「お!解ってきたじゃねーか小僧。ライラはすげーぞ、俺にはまーおよばねーが、その腕は一級品さ、もしかしたらドルフに一番近いかも知れねーほどにな!」



 こうして、ガニッシュのライラさん自慢を聞かされ、延々と惚気が繰り広げられた。

 俺としては、さっきの無作法が後ろめたくて、つい相槌を打ちつつ聞き手に廻ってしまっていた。

 そろそろ聞き飽きたし、どうにか話題を変えようと口を出そうとした時に、部屋の入り口から叱る様な声が割り込んできた。



「あんた、またお客さんに変な事言ってるのかい?お客さんが困っちまってるよ。」


「いい・・え、大丈夫ですよ。」


「そうだぜ、こいつは見所があらーな。」


「馬鹿言ってんじゃ無いよ、全く。悪いね~・・・・って名前聞いてなかったわね。」


「ええ、始めまして俊哉といいます。後、右からイシュタル・シルビア・リリィです。」


「始めまして、ライラさん、イシュタルと申します、よしなに。」


「シルビアと申します、よろしくお見知りおきを。」


「・・・リリィ・・・」


「あいよ、よろしくね。ところでアンタ、お客さんとは挨拶したのかい?ちゃんと仕事の話もしてるのかい?」


「お!お・・・おう!トシヤだったよな!あ・・挨拶はしたぞ、な、っな。仕事の話は今からするんじゃねーかよ、そうだよなトシヤ!」



 酷くしどろもどろになって俺に同意を求めてくるガニッシュ。

 本当は自己紹介も挨拶も全然してないのだが・・・

 なんだかライラさんに頭が上がらない姿に共感して、つい俺も「そうですよ」と言ってしまった。

 ライラさんは、仕方が無いわね~といった仕草をした後、お茶を出す為に奥に行くといっていまった。



「ふ~ライラはおっかねーんだよ、ハーハハッハ、でもありがとよトシヤ。挨拶もろくにしてねーのに合わせてくれてよ。」


「いや、なんとなく・・・ね。」


「ガハハッハハ、お前さんもっ・・・か・・・」


「ええ・・・」



 男の会話っていいなー、これだけでお互いの苦労が分かり合えるなんて・・・

 ビバ連帯感w



「うんじゃ本題にはいろうか、トシヤよ確認してーんだが本当に余った素材を俺にくれのかい?正直ドラゴンの素材なんぞ、その価値は計り知れねーし、とんでもねーお宝だぜ?それを惜しげもなさそうに代金代わりに譲るってのは少し人が良すぎやしないか?」



 ガニッシュは先ほどとは打って変わって、出会ったときのようなオーラを放ちながら聞いてくる。



「もちろん使用して残った分は差し上げますよ。でもちゃんと作った上での事です。必要以上に余分を取ったりするのが解れば、そのときはこの話は無かったことにします。それに・・・これは俺にとって大切な物なので、出来れば欠片といえど他人には渡したくは無いのです。でも、身に着ける武器に加工するのは俺には出来ません。肌身に感じられるよう加工して貰う報酬として、一部を作ってもらった人に託すには、彼女も怒らないでしょうから・・・」


「ほーっほーー、じゃあその懸念する余分な取り分を、俺がどうやって誤魔化しているか、おめーにゃー解るめ?それにもし解ったとして、どうやって無かった事にするんだよ?」


「そうですね~直感ですかね?無かった事には・・・・力ずくで行くでしょう。」


「ガッハハハハ、力ずくかよ!俺達ドワーフはこれでも一騎当千のつわものでもあるんだぜ?それがここ集落全体とくらー解ってるよな?」



 ますます凄みが増すガニッシュに対し、俺は冷静に答える。



「解った上でですよ、多分全滅させてでも奪い返します。」



 お互いに睨み合い、目線も逸らさず会話が止まる。

 俺達の会話を聞いていたイシュタルは、当然といった風に腕を組んでガニッシュを睨み、シルビアは俺の合図を待つかのように身構えている。


 リリィはというと・・・・所在無げにオロオロと涙目になってる。

 やばい、チョー可愛い♪

 って俺は目覚めないぞー!!


 そんな気迫を勘違いしたのか、ガニッシュから威圧感が消え、口角を釣り上げながら俺に話しかける。



「それだよ、それ・・・おめーはよ、どーーーも得たいが知れねー。普通は駆け引きとかしてくるんだが、そんな素振りはねー。本当に素材をくれると平気で言うかと思えば、気に入らなければ取り返すって言いやがる。しかもそれはハッタリじゃねーな・・・マジで出来る自信がある見てーだ。フフフ・・こえーぜ、お前はよ・・・これまで生きてきて、こんな小僧に冷や汗をかかされるなんて思っても見なかったぜ。解った、解ったぜトシヤよ。下手な小細工は抜きにして、俺の、いや俺達の最高の技術で作ってやるぜ。」


「ありがとうございます。」


「それにしてもお前といい後ろのお嬢ちゃん達といい、世界は広いね~。」


「は・・・ははは・・・」



 俺は乾いた笑いを浮かべるしかなかった。

 だってもしかしたら俺よりもイシュタルやシルビアの方が怖いかも知れないのは解っているから。


 一息ついた頃合を見計らって、ライラさんがお茶を運んできた。

 ナイスタイミングとはこの事だろう、多分俺達の会話を聞きながら、出て行くのを見計らっているような感じだ。

 実に出来た女性だ。

 見た目は俺には判断し辛いが・・・



「じゃあよートシヤ。お前の望む加工を言ってくれよ。まずは何が欲しいかを聞いてからだな」


「えっと・・・実は俺もですが、まずはイシュタルとシルビアの為に、装備を優先して欲しいのです。リリィは付き添いなので今回は無しで。」


「お、自分よりもまずは女の身を安全にするってか~ますますこえーぜお前はよ。まるで俺は武器が無くても最強ですってか?ガッハハハハ気にすんなトシヤ!全員の分作ってやるぜ?」


「え・・・でもそれだと相当日数が懸かってしまうんじゃないですか?」


「ふふ、あんた。ちゃんと言っておあげよ、もったいぶっても仕方ないじゃない。」


「お・・おう・・わかったよライラ。あのな小僧、今回の素材はドラゴンだ。これは俺達ドワーフにとって又と無い絶好の機会なんだよ。」


「絶好の機会・・・?」


「そうだ、俺が素材を欲した理由にも繋がるんだがな。ドワーフってのは鍛冶が命だ。その為には全てを犠牲にしてでもやり遂げるプライドがある。持ち込まれた素材を見て、出来ませんってのは言いたかねーんだよ。それにな、ドルフになる為には、希少な素材での加工や鍛冶技術の経験も大きくてな、普通にしてたらドルフなんて生まれやしねーんだ。無理にドルフにならなくって良いかも知れねーがよ、それもそうはいかねーんだよ。ドルフも永遠に生きられる訳じゃねー、何時かは死ぬ。そん時に俺達ドルフの技術の伝承が出来なくなっちまうんだよ。だから希少な素材はドワーフにとって命よりも大切な秘宝になるのさ。ドルフが少なくなった時には、保管している素材を使ってドルフへの道を開き、時代に技術を伝承していくのがドワーフの願いだ。だからよ、今回は俺達ドルフを筆頭に近隣のドワーフ全員で取り掛かるのさ。だから時間も数もいくらでもできらーな。ガッハハハハ」


「なるほど・・・それなら頼んでも日数はさほどでもないのか。」


「安心してくれや、必要な工程にかかる時間は短縮できねーが、数に任せて依頼は完璧にこなすぜ!さあ皆の望む武具を言ってくれ。」



 こうして、俺たちはガニッシュに希望を伝えていく。

 まず俺の武器として最初日本刀を依頼したが、その概念が無いようなので、まずは確実にバスターソードを作ってもらう。

 日本刀にしては出来たらと言う約束で依頼した。

 中二的にな意味ではなく、ルビさんの切り裂くあの爪に似た装備がどうしても欲しかったという・・・思いからだ。

 防具はプレートメイルを基本に、動きやすさを重視したものを頼む。


 イシュタルは、魔法がメインになるので、武器に杖を依頼する。

 予備に弓も依頼したのだが、弓に魔法効果を上げることのできる魔法弓にしてくれるとの事だ。

 防具はエルフということも在り、胸当てと肩当、腰部のスカートに篭手といった具合に軽装の物を依頼する。


 シルビアはカットラスを基本に、少し幅と刀身を長めにした二刀流に見合うものを依頼した。

 鎧については、俺と同様な感じではあるが、もう少し装甲を軽くする為に、上下で分けた感じに仕上がりを依頼する。


 それぞれの仕様にあった要望を伝え、実際に近しい武具を着用し武器なら素振りを行い重心を、武具はサイズと動きに合わせた装甲の仕様を検討し、武具の仔細を細かく話し込んでいく。

 この時、ガニッシュにはちょっとだけ個別に依頼を掛けてあるが、今は内緒で進めている。


 あまりにも話し込みすぎて、夕食は簡易なサンドイッチ的な何か(黒パンに具を挟んだシンプルなもの)を齧りながら集中していて、終わってみると外は真っ暗、時間にして23時にはなっていた。

 待ち草臥れたリリィは、すでに夢の中で、ライラさんに用意してもらった部屋に担いで運び、ベットに横たえてやる。


 イシュタルとシルビアも今日は疲れたのか、そのままベットに倒れこみ寝息を立て始める。

 ライラさんに用意された部屋のベットはは2つ・・・・

 イシュタルとシルビアは一緒にもう寝てしまっているから、空いているのはリリィの寝ているベットだけ。

 流石に床で寝るかとも思ったが、俺も今日はベットで寝たかったので、リリィに邪魔にならないようそっと横に寝そべる。



「疲れたー」



 独り言を言って、ベットに横になったは良いが、そのまま直ぐに寝てしまった。

 翌朝の騒動など考えもせずに・・・

何時になったらイブロニアでれるんだろう?w

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