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49番目の後継者  作者: ペンギンMAX
第二章 首都イブロニアと新たなる仲間達
26/41

第二十六話 旅路とドワーフ

久しぶりに楽しくて2話上げてしまった

倒れないように注意しなくては^^;


10/15 再更新

 暗い暗いただ暗い・・・

 暗黒と静寂のみが支配する空間。

 その静寂の中、聞こえるものは何処から落ちているのか解らない水滴の音。

 更には遠くから微かに聞こえる、苦痛に苛まれた呻き声。


 暗闇の中、リズムが狂うことなく落ちる水滴の音は、そこにいる存在の気を狂わせるには十分な効果があった。

 かつて、それなりに美しかった女性は、醜い獣に姿を変え、四肢は爛れ傷口には蛆が沸き、死ねない苦痛の中、虫に食われじわじわと侵食される肉体の苦痛にもがき苦しんでいた。


 時折、咆哮と共に漏れる言葉は呪詛でしかない。


「・・・コロ・・・ス・・・ウバ・・・ウ・・・」


「ユル・・・サナイ・・・」


「ウバ・・・ウ・・・コロス・・・コロス!!!」



 暗闇に響く声には、誰も反応しない。

 それでもラスティと呼ばれていた女性は呻き続ける。


 イブロニア王宮から少し離れた場所にある近衛兵団の宿舎、その地下にある牢獄の、そのまた地下にラスティは幽閉されている。


 なぜ彼女がここに幽閉されているか?

 それは王宮でも一部の者しか知らない。

 獣人の稀有な獣化に興味を持ち、その力を研究する為に魔道士の一部が身柄を確保したためだ。

 名目上、ラスティは死んだことになっている。

 死んだものをどの様に扱おうが問題ない。

 その身の一部を切り刻み、内臓を取り出し、好き放題に弄繰り回され尽くし、今は魔道士の研究が進むまでの一時、ここで放逐されている。


 そんな哀れな姿を牢屋の地面に横たえ、呪詛を吐き、痛みと苦痛に咆哮を上げるだけの日々が幾日か過ぎ去った時、それは現れた。

 暗闇の中で、更に暗い漆黒を見に纏うように突然空間に現れる。



「臭い、臭いですね~良い匂いです。」


「!!??・・・」



 現れた存在の臭いに覚えがあったのか、ラスティと呼ばれていた化け物は驚愕を露にした。



「そろそろもう一度、貴方に働いて貰いたくて来ましたよ。」


「ウ・・ガ・・・ウ・・・」


「んん~~~良いですね~最高です。その苦痛にもがく姿!やはり貴方は最高の素材ですよ。」


「コ・・・ロ・・・ス・・・」


「ハッハハハハハ~ヒッヒヒヒ、ふ~いいですよいいですよ~、また私を楽しませてください。1ヵ月後の次の満月にはもう一度暴れさせてあげますから。もちろん憎いシルビアもその主も居る所でね♪」



 そう言って、男はまた闇の中へと姿を同化させる様に消えていく。



「ツギ・・・マンゲツ・・・ツギ・・・マ・・ンゲツ・・・ヒヒ・・ヒヒヒヒヒ・・・」



 呪詛が歓喜の笑い声に変わり、牢獄に響き渡る。

 誰も聞いていないのに、歓喜の声は木霊して、彼女を祝福するように充満していった。





◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆





 イシュタルからルビさんの形見を武具に変える方法を聞き、今俺たちはイブロニア首都から北の方角にあるライル山脈に来ている。

 イシュタルの話だと、どうやら加工にはドワーフの力が要るらしい。

 それも極一部のドワーフだけが出来るのだと言う。


 ドワーフは俺の見知った知識どおり、鉱山に住まい鍛冶に長けているらしい。

 だが、知っていることと違ったのは、ドワーフには長年鍛冶に精を出しその技術が一定に達すると、上位種族に変化してドルフになるということだ。

 あくまでも鍛冶だけに特化した者がなる上位種族であり、普通はドワーフのまま過ごすそうだ。


 なぜ山脈にいるかというと、ドラゴンを恐れず、山々に住まい鉱石を発掘する事に誇りを持っている為、集落は必ず山脈に作るのだそうで、それを探しているのだ。


 今回はランドルフィ卿に特別の許可をもらって長期間の旅をしている。

 もちろんリリィも同行してだ。

 どうせ全て報告されるので気にしない。

 リリィの魔法による定期連絡まで了承してある。

 連絡は日本で言う式神のような物で、リリィが報告を書いた羊皮紙を鴉に変化させて届けるというものだ。


 イブロニアを出発して、今日で1週間。

 リリィさえ居なければ、色々簡単に移動する方法もあるのだが、あまり俺の力を見せびらかす気もないし、報告されるのも嫌なので、普通に移動している。

 まあ、これから先、こういった移動もあるだろうから慣れておきたいとの思いもある。



「はーい♪できたわよ~」



 イシュタルの声に皆が集まる。

 今日の夕食は、乾燥パンと干し肉の入った野菜煮込み。

 それでも塩コショウが効き、思った以上に美味しく出来ている。

 流石イシュタル、料理脳では最高だ。

 こんな簡易的な食事でも十分に美味い。

 イシュタルの料理に慣れているのもあるけど、ランドルフィ卿の下では、肩の凝る食事ばかりだったので、俺にとっては嬉い。

 各自、好きに食事を取り、今日の成果を話し合う。



「そろそろ見つかってもいいころなのに~」


「俺も直感ではここら辺だと感じるんだけど。」


「トシヤ様がそう言われるなら、そうなのでしょう。」



 いやそれってどうなのよ?っと思うが、シルビアは真剣に俺を見る。

 あまりにも無条件で認められると気恥ずかしいので、話題を変えようとリリィに声を掛ける。



「リリィ?美味しいか?」


「・・・ん・・・・」


「そっか、よかったね。もっと食べていいんだよ?」


「・・・・・ん・・・」


「OK、じゃあ少し入れてあげよう。」



 こうして、リリィの器に煮込みをよそってあげる。

 この旅の中、少しだけリリィの感情が解る様になってきた。

 短いやり取りの中にも、彼女の反応で、喜怒哀楽の判別が多少含まれている事に気付いたからだ。


 冷たくされていた猫にちょっと気を許されたような気分になり、ついリリィを構ってしまう。

 そして気づけば必ず、イシュタルは不機嫌になり、シルビアは寂しそうにする。



「あ、いやいや、慣れない旅だし、ほら?見知らぬ中で寂しいかと思ってだよ・・・」


「わかってるわよ!・・」


「はい・・わかっております・・」



 ここ数日、何度目かの言い訳を2人に向かって言い、機嫌を直してもらうようにする。

 2人は納得したようなしてないような表情で、俺の両隣に座り、体を密着させて気分を変えようとする。

 流石にこの旅の中、リリィがいる手前、夜はお預けになっているので、2人とも浮かない気分なのだ。


 リリィはというと、その事が解っているのか、気にしないそぶりを見せる。

 でも、キスを見ただけで蹲り顔を赤らめて、テンパッテいたので出来るだけ性的な事を自重している。

 邸宅での積極性は何処へやら、以外に律儀にリリィの事を考えて自重する2人に違和感を覚えながらも、今日も夜を過ごした。


 営みは無いにせよ、2人に纏わり付かれて起きる朝は変わらない。

 ただ、邸宅時と違って2人は俺が起きると同時に、気配を察して起き出すようになっている。

 出来るじゃない?っと思うも、それは言わない。

 だって怖いんだもの・・・


 身支度を整え、リリィも起こして朝食を済ませる。

 しっかりしているとはいえ、リリィはまだ13歳だ、起きるのは苦手なようなので、起こされる度に恥ずかしそうにしているのが可愛らしかった。


 イシュタルやシルビアも肌はスベスベで瑞々しいし、張り艶も素晴らしいが、生気溢れる13歳の肉体も容赦が無い。

 大人になりきっていないまだ幼さの残る姿は、背徳感を刺激されて非常にヤバイのだ。

 つるぺたでもないけど膨らみ始めのような胸。

 サラサラとした髪はピンクパールのように輝いていて幻想的である。

 さすがフェアリーハーフ、その魅力は伊達じゃない。

 暫し寝起きのリリィを思い出し惚けていたので、頭を振って気を紛らわす。


 いやさ、可愛いいよリリィは、でも俺はロリじゃないよ?

 そっちの目覚めは無いと思い・・・う・・・

 う・・・・ロリじゃないよ!!


 そんな俺の思考を読んでか、イシュタルとシルビアの気配がやばくなる・・・



「トシヤがロリ?ロリなのかしら・・・ロリ?ロリ?・・ロリなの???ック、それなら幼いエルフになるんだったかしら??」



 いやいや聞こえてますよイシュタル・・・



「トシヤ様の守備範囲が・・・まさか幼女も?まさか~・・・どんな趣向も受け入れ・・・」



 シルビアも変な想像はしないで欲しい・・・


 後ろの痛い視線と言葉は無視することにする・・・うん・・そうしよう。

 俺は自分に言い聞かせて、今日もドワーフ探しだと張り切って声を上げた。


 直感に従い探すも、何故か見つからないドワーフ達。

 朝から捜し歩き、日も高くなったので昼食にかかろうとした時、近づく集団に気付く。

 気を引き締め警戒して集団の動向を探ると、5人ほどの武装集団が見えた。


 気配を察知した時から『解析』で既に何者かは理解していたのだが・・・

 近づいてきた集団は、やはりドワーフ達だった。

 集団の中で、特に体格のいいドワーフが一歩前に出て話しかけてくる。



「お前たちだな、最近ここをうろついているのは。」


「・・・・・そうだが。」


「早々に立ち去れ!ここらは俺達ドワーフの山だ。人族は立ち去れ!お前たちに関わる気はない!」



 最初からすげない対応だと思う・・・

 でも俺達も引き下がれない。



「貴方たちに危害や不利益を及ぼしに来た訳じゃない、どうしても頼みたい仕事があって来た。」


「仕事?だと?」


「ああ、ドワーフにしか出来無い、いやドワーフでもどうかっていう加工の依頼がしたいんだ。」


「ふ、ふはははは、ドワーフに出来ない加工は無い!だからといってお前の依頼なぞ受けるか!去れ!」



 イシュタルに目配せをすると、彼女は頷いて了解をしてくれた。

 ドワーフは排他的で、特に人族は毛嫌いをするようで、今回もこうなるだろうとイシュタルにレクチャーを受けていたのだ。


 そんなドワーフにも欠点というか美点というか習性のようなものがあって、自らの加工技術や鍛冶技術で興味を引くものがあれば、毛嫌いとかそういったものが後回しになるらしいのだ。

 俺は、イシュタルのレクチャー通りに話を振ってみる。



「そうか、出来ない物はないのか・・・ならドラゴンの素材を加工依頼しに来たとしたら?」


「ハハハッハハ、ドラゴンだと!、馬鹿かお前たちは。そんなものお前たちごときが持っているわけが無いだろう?あったとしても眉唾物だろう、さあ、いったいった。」



 シッシと手振りされ、帰路を促される。

 が、そんなことは気にして無いように、俺は魔法の巾着に手を突っ込む。

 俺の行動に警戒をするドワーフ達だが、取り出したものを見て愕然としていた。

 そう黒竜の爪を取り出して、ドワーフ達に向かって見せ付けたのである。


 ドワーフの表情に驚きが浮かぶ。

 ドワーフにとって貴重な素材の加工は喉から手が出るほどやりたい事らしい。

 最初の喧騒も鳴りを潜め、ドワーフ達はなにやら相談しだした。

 喧々諤々と言い合っていたが考えが纏まったらしい。

 先のドワーフが問いかけてくる。



「そ・・・それは本物か・・?」


「鑑定スキルはあるんだろう?嘘ではないことが解るはずだ。」


「確かに・・・嘘ではない・・がまさか生きて目にするとは・・・・」


「これを使った武具の作成を依頼したい、話の出来る人物に紹介して欲しい。もちろん報酬は払う。」


「・・・っわかった着いて来い、妙な素振りはするなよ?」



 こうして俺たちはドワーフの集団に着いて山の中を歩く。

 30分ほどして、少し開けた場所に案内され、ここで待つように指示された。

 たぶんまだ集落へは入れてはくれ無いのだろう、ここである程度の交渉をしようというのか?


 ドワーフ達が去ったのを見て、俺達は昼食をとる事にした。

 どうせ結構待つのだろうし、ここを今晩の野営上にするのもいいと思ったからだ。


 昼食を済ませ、暫くして先ほどのドワーフ達に混じって、一際特徴的なドワーフが現れた。

 『解析』結果、ドルフとなっていたので、マジマジと彼を見る。


 身長は他のドワーフト変わらないが、その身は1.5倍ほど大きい、主に筋肉的にだ。

 体は肌色ではなく赤茶けた色で、髭が実に長い。

 髪の色は白く、白髪しらがのようだ。

 堂々とこちらに向かって進み、俺の前で仁王立ちしている。



「お前が依頼主か?」


「ああ、そうだ。」


「品を見せてみろ。」



 言われるまま黒竜の爪を見せる、手に取っても良いかと聞かれたので渡してみる。

 奪おうとしても取り返せる自信があったので問題ない。

 一頻り黒竜の爪を眺め、叩いてなにやら確認した後、彼は爪を返してきた。



「依頼は受けよう、だが此処で待っていてもらう。報酬は余った素材を貰いたい、それがダメなら依頼は受けない。」



 彼はそう言って俺を見詰めている。

 正直この条件では持ち逃げされる可能性が出てしまう、損なのは嫌だ。



「此処で待つのは了承できない、せめて貴方の工房で待機したい。もちろん宿泊代は払う。素材は余った分を差し上げよう。これでどうだ?」


「ふふふ、なら宿泊代は払わなくていい。変わりに妻の手伝いをしてくれればいい」



 そういって後ろのイシュタル達をみてニヤリと笑う。



「わかった交渉成立かな?」


「おう。」



 こうして、俺たちは無事ルビさんの形見を使った武器を作れそうだ。



「俺はドルフのガニッシュだ、着いてきな。」



 ガニッシュを先頭に、ドワーフ集団、俺達と連なって集落へと向かう事になった。

色々忘れているから、思い出すのに必死でしたw

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