第二十二話 イシュタルとシルビア
修羅場を描くのって難しいですね。
暫く二人の邂逅とリリィの絡みになります。
10/11 再更新
俺は無事釈放され、ランドルフィ卿に伴われて部屋を出た。
部屋を出てから、道すがらランドルフィ卿と言葉を交わす。
「ところでランドルフィ卿、貴方のお屋敷へは、どのように伺えばよろしいのでしょうか?宿に荷物もありますし・・・」
「左様か、では宿に一度戻られ身支度をなされ、夕刻までには宿に迎えに上がろう。宿の名前をお聞きしておこう」
こうして、ランドルフィ卿の館へと行く準備があれよあれよと進んでいく。
根回しも済んでいるのか、ジーアスさん達とシルビアには、俺を迎えに来るよう伝言まで伝えてあるらしい・・・用意周到だな。
廊下を歩き終え、中門への出口に差し掛かると、ランドルフィ卿は一旦兵団との打ち合わせの為、行動を別にする。
俺は、ランドルフィ卿に挨拶をし、1人中門を出て行く。
中門を出ると、そこには見知った顔が居並ぶ。
ジーアスさんは、凄く嬉しそうに頷いている。
男泣き我慢する所が、また兄貴っぽくて素敵ですw
ミネルバさんは、シルビアに笑みを向けている。
ったくお姉ちゃ~んだな、おい・・・最高です♪
そして、シルビアは・・・最初少し物怖じした仕草で、俺を見つめて躊躇している。
そうやら、素直になり切れないようだ。
「ただいま、シルビア。」
笑顔でシルビアに告げてみる。
色々考える事もあるが、シルビアの姿を見て、ホッとした。
だから自然に笑顔が出たのだろう。
「お・・・・・お帰り・・・・・・・・・なさ・・・い・・・・・・・・・・・トシヤ様!!」
最初の挙動が嘘のように、堰を切ったように泣きだし、俺に飛び込んでくる。
俺の腕の中で、泣きじゃくり必死に謝罪する。
「ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!」
泣きながら謝り続けるシルビア・・・
謝る理由が『俺を守れなかった事』か『俺の力に驚いている事』か、はたまた『何も出来なかった自分を責めて』なのか・・・
想像はすれど、シルビアの考えは解らない。
でも、何となく言いたい気持ちは察する事が出来た。
だから、優しく抱きしめ返して囁くように言う。
「大丈夫、謝らなくていいよ、大丈夫。俺は無事だから。」
そう言って、優しく頭を撫でる。
頭の上でぺたんと垂れている耳が異様に可愛いい。
こんな時でなければ、思いっきりワサワサ触りまくりたいのだが自重だ自重。
邪な欲望を振り払い、2日ぶりのシルビアを感じる。
2人が感動の再会をし、ジーアスさん達が微笑ましく見守る中、遠くから俺の名前を呼ぶ声がする。
「と~~~し~~~や~~~~~~~~~~~♪」
ん?誰だろう?
声のする方を見ると、笑顔で手を振り、こっちに向かって走ってくる美人が見える。
すんげ~~~揺れてる!!!
胸が揺れまくリング!!
何?あの胸の物体Xは!!!シルビアより少し大きいか?大きいのか?すんげー爆乳じゃんっすか~~♪
胸にばかり気をとられ美人さんの顔を見ていない俺。
美人さんが近付くにつれ容姿もハッキリしてくる。
髪は美しく輝く金色で腰まである長髪、俺好みの緩やかなウェーブ。
そこから髪を掻き分け除く長い耳
エ・ル・フ♪エルフっすよ、エ・ル・フ♪
やっぱ巨乳エルフは最高だ♪
更に、俺に向かって振られる腕も、チラチラ見える太股も、美しく透き通るような白い肌。
胸もメロンと同じ大きさで、こっちに来る今でもタユンタユンと揺れ動く爆乳。
丈の短いスカートから見える足は、長くモデルのような引き締まってスラリトしている。
すんげー!すんげーナイスバディ!!
シルビア以外にも、こんなに美しく感じる女性がいるのか。
俺は世界は広いな~っと感心していた。
それにしても・・・あれれ?
今の回想、どっかで同じ事思わなかったっけ??
前に何処かで同じ感想を持った気がするのだが??
なにやらデジャブーに駆られて、走り来る美人さんを良く見る。
どっかで見た覚えのある顔。
というか、どう見てもイシュタルさんじゃね??
え?でも、イシュタルさんはエルフじゃなく天使だよな?
イシュタルさんとは、悲しいお別れをしたはず、二度と会えるとは思えない。
いやいや、イシュタルさん似のエルフさんか?
違う違うイシュタルさんじゃない。
でも・・・エルフじゃなかったらイシュタルさんにしか・・・えなんで??
どうして?ん?考える程にイシュタルさんにしか見えない・・・
そんな思考を巡らせていると、エルフの美人さんはすでに俺の間近まで来ていた。
間近に来たエルフさんはニンマリと笑みを浮かべる。
咄嗟の事だった、エルフさんは有無を言わさず笑顔のまま斬撃を放ってきた。
何時の間にか、腰に差していたレイピアを抜き、抱き合う俺とシルビアの間を狙って切り掛かったのだ。
エルフさんの斬撃に呼応して、シルビアを離し、俺はレイピアの攻撃を避ける。
エルフさんは俺が避けた事を確認して、実に残念な表情で舌打ちして叫ぶ。
「俊哉!浮気者~~~~~!何で避けるのよ、避けちゃ駄目でしょ!!避けちゃ!!」
避けちゃ駄目ってそんな御無体な・・・
それに・・・?浮・・気者?誰が?俺が?
おぉえ?
攻撃され怒っていた俺は、突拍子もない発言に絶句して怒りを忘れてしまった。
シルビアは俺に非難する眼差しを向けている。
ジーアスさんは顎に手を当て、感心した表情をしている。
ミネルバさんは、ヤレヤレと嘆息して下を向いている。
中門の門兵は突然のことにオロオロしている。
俺は、浮気者と言われた事を考える。
なんで?誰が?考えれば考えるほど思いつかない。
もし、俺のことなら一つだけ心当たりがある。
でも、あったとしても、それは万に一つも有り得ない話なのだが・・・
俺は、間違っていないか確認することにした。
「う・・・浮気者って・・・俺の事ですか?」
「え?気付かないの!!私よ!イシュタルよ!!バカ~~~~~トシヤのバカ~~~~~~エルフになっただけで解らないなんて~~~~!コロス!!」
げぇぇえええええ!
イシュタルさんなのか!
いや、マジでか?
逢えたのは嬉しい、もの凄く嬉しい。
しかし、何でエルフ?天使は何処へ??
気付かなかった訳では無いが・・・
そんな風に思っていると、イシュタルさんは矢継ぎ早に話し出す。
「俊哉に逢いに来たのよ!!送り出す時『逢いに行くって』言ったじゃない!」
「え・・・・」
もしかして、最後に消え入って、聞こえなかった言葉がそれだったのか?
「それなのに!それなのに!それなのに!それなのに!それなのに!それなのに!それなのに!それなのに!それなのに!それなのに!それなのに!それなのに!それなのに!それなのに!」
うっわーヤッベー
この展開はマジ拙い・・・
「なによ!そこの女とイチャイチャイチャイチャイチャイチャしちゃって!殺されたいの?殺して良いの?殺すわよ!」
あ・・・相変わらず怖え~~~~
目逝っちゃってるよ~~~
こうなったら手に負えないんだよな~イシュタルさん。
「フフ・・・そうだわそうよ、そうすれば良いのよ。他の女にウツツを抜かすような俊哉なら、俊哉を殺して私も死ねば良いのよ!」
ええええええ?
飛躍しすぎですしおす・・・・
俺がイシュタルさんの言葉に狼狽していると、横からシルビアが興奮して割り込んできた。
「トシヤ様を殺すなんて!そんな事はさせませんわ!」
「ふーーーん、ふーーーーーん、もしかして貴方がトシヤを誑かした張本人なのね?いいわ、決着を付けましょう!」
「誑かしてなどいません!、私はトシヤ様から乞われて奴隷になったのです!」
あるえ~?俺から買うとは言ったけど、それが乞う事になっちゃってる?
「え・・・・奴隷をお願いしてまで買っちゃったの?なんで?そんなにこの子が良かったの と・し・や?」
「ええ、トシヤ様は私が欲しいと仰いました。もちろん私の全てを喜んでくださってますわ。」
「っく、あなたは黙ってて!俊哉に聞いてるの!うるさい!」
「う・・・五月蝿いなんて、このキレ女!」
「ッチ、黙れメス犬!それより俊哉!密かに忍ばせておいたお金で、まさか即効奴隷を買ったの!?」
「・・・・・・・・・・買いました・・・」
「そ・・・そんな・・・あの時、トシヤに会える望みは無かった。けど・・・もし私が俊哉にこの世界で逢える時が来た時、もし万が一にも一緒に居られることが出来るならと、用意していたお金なのに!!!」
「え?そんなお金だったの?!」
「そうよ!キイイイイイイ!俊哉!どうしちゃったのよ!私に会いたくなかったの?!」
俺の胸倉を掴み、グワングワンと前後に揺さぶるイシュタルさん。
ああ~久しぶりだな~っと現実逃避する俺。
こんなやり取りがとても懐かしく思える。
「辞めて下さい!トシヤ様がこまってます!!離して下さい!」
「あなた俊哉を庇うの?庇うの?貴方敵?やっぱり敵なのね!」
こうして俺への矛先はシルビアへと向いていく。
俺の頭の中には、カプ○ン特有の格ゲーフレーズが響く。
ROUND ONE FIGHT !!
「トシヤ様が困っています、これ以上トシヤ様に言い掛かりをつけるなら容赦しませんよ?」
「言い掛かりですって?本当のことよ、浮気者なのよ俊哉は。2人の間を邪魔するなら、あなたも容赦しませんよ?」
「ふ、どう容赦しないのかしら?そこまで言うならまずは貴方の事をハッキリとさせましょう。貴方はトシヤ様のいったい何なのですか?」
「ええ、ハッキリトしましょと。フフン、決まってるわよ、私は俊哉の彼女よ!」
にょにょーーん?
俺、何時の間にイシュタルさんと付き合ってることになってるんだ?
「そうですか・・・彼女・・・ね。それにしてもトシヤ様の反応を見る限り久し振りに逢った感じがしますが?」
「そうよ、彼女よ・・・事情があって離れ離れになってただけなのよ!」
「事情ですか・・・もしかして実は元カノさんとか?・・・もしそうなら今は関係ないですよね。」
「も!元カノですって!違うわよ!今もラブラブよ!それじゃあ貴方こそ俊哉の何なのよ?奴隷じゃないの?」
「奴隷ですよ?でもそれを超えた特別な関係です!」
・・・・・どうなってるのこの会話?
確かに奴隷を超えてる気もするけど・・・特別な関係ってナンデスカ?シルビアさん。
「ふーーーん、へーーーー、奴隷を超えた特別な関係ね、どんなのか想像できないわ、主と仲がちょっと良いだけじゃないで、主従関係は変らないんじゃないの~?」
「っ!と・・特別なんですー♪主従を越えてます~♪トシヤ様には何時も優しくしてもらってます~♪」
シルビアまで壊れてきたよ?
「特別・・・ね。へー私なんて俊哉と3ヶ月も同棲してたんです~♪」
「ど・・同棲!・・・ど・・・ック・・そ・・そんな・・・長い間・・・気に・・しま・・しません~♪長さは関係なく、毎日ラブラブで抱きしめてもらってます~♪」
「だ・・・・だき・・羨まし・・・違うわ!・・私なんてキスしそうだったり~、俊哉とお風呂も入りかけたわよー♪」
「かけただけ・・・で無いんだ~♪私なんて、もう既にトシヤ様に何回も何回もベットで愛してもらってます~♪」
キっと睨んで俺の方を見るイシュタルさん。
頬を膨らませ、怒りを顕にする姿は物凄く悔しそうだ。
なんか・・・ホントすいません・・・
「・・・・・・・・悔しい・・・口惜しい!!!」
「フフフ、私の方が今は愛されてるんですよ♪」
勝ち誇るように腕組みをするシルビア。
確かにその事を責められると、イシュタルさんには分が悪いよな~
「っく・・・体なんて後でもなんとでもなるわよ!こ・・・心は私と一心同体よ!それに・・・俊哉の秘密は私が共有してるの!俊哉の全てを知っているのは私だけ!ふふ、貴方俊哉の秘密しってるかしら~♪」
「・・・秘密・・・トシヤ様の・・・私が知らない事があるの?・・・トシヤ様・・・」
今度はシルビアが形勢不利になっている。
「そうよ!秘密よ!フフン!貴方なら俊哉の力は見たんでしょ?じゃあその力の秘密を俊哉から当然聞いてるわよね?」
「知らない、秘密は知らないけど・・・それでも!それでも今までトシヤ様を支え、私の心も体も全て使って癒してきたのは私だけです!」
「私こそ俊哉に愛されてるの!絶対!絶対!絶対!絶対!絶対!絶対!絶対!絶対!絶対!絶対!絶対!絶対!絶対!絶対!絶対!」
「違います、私です!トシヤ様の寵愛は私だけのものです!」
2人の応酬は此処に来て膠着を見せる。
睨みあい、目と目の間に火花が散りそうな勢いだ。
暫く睨みあい、お互いに頷き合うと、鋭い視線を2人が俺に向けてくる。
「「トシヤ様・俊哉!!愛してるのはどっち!!」」
いや・・・愛してるって・・・どこからその質問が出た?
イシュタルさんの好意は知ってはいるが付き合いしてなかった。
でも、溺れても良いと思ったほどに俺も好きになったのは事実だが・・・
シルビアも、確かに俺が惹かれたが、正式にお付き合いしたわけだ無く・・・やっちゃったけど・・・
欲望もあった、けどシルビアの事は一目見で惹かれたし、体を重ねる度、好きという感情が大きく膨らんでいった事も自分で解っている・・・
どう答えて良いか迷って、ジーアスさんに『タチケテー』と意を込めて見る。
ジーアスさんはブンブン首を振って『俺に聞くな』と返してくる・・・兄貴・・・助けてくれないのかよ・・・
ミネルバさんにも同じように見ると『修羅場最高!これよこんな展開ご褒美よ♪』と親指をグっと立てて手を突き出してくる・・・どの世界も昼メロ展開は人妻の好物なのか・・・
更に門番を見ると、既にこっちを見ないであらぬ方向に目を向け、如何にも門番してますって顔してる。
逃げやがった。
2人に視線を戻すと、ズイっと顔が2つ近付いてくる。
催促するように、視線にも力が漲っている。
2人とも同じくらい愛してると言ったら・・・拙いだろうな~
2人に殺されちゃうかも。
俺こんな修羅場体験した事無いよ・・・
こんな若造の童貞野郎に、超難易度の高い選択肢がきやっがた。
どうしよう・・・冷や汗がタラリと額に滲む。
俺が2人に詰め寄られて困っていると、中門の方から助け舟が入る。
「フフハハハハハッハハッハ・・・勇者殿は女難の相がおありか?英雄色を好むとは聞くが、どうやら対処はまだまだのようですな。」
ランドルフィ卿の低く以遠のある声に場の空気が変る。
たちかった~ランドルフィさんマジありがとう!
「如何かな?私に免じて、御三方で落ち着いて話しが出きる様、手配させて頂けぬか?今日は宿に帰らずこのまま我館で寛がれるがよかろう。荷物は後ほど我が手の者が受け取りに宿へ伺わせる故。」
俺はランドルフィ卿の助け船に乗り、取り合えずこの場を収集する事にした。
第三者を介して落ち着けば、2人に納得した答えを聞いて貰えると期待して。
ランドルフィ卿は、俺達を連れて行くために馬車の用意を門兵に言いつける。
不満げにしながらも、ヒートアップしていた2人は、少し熱が下がったのだろう、渋々了承のし、ランドルフィ卿の館へ向かう為、三人で馬車に乗り込んだ。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
暗い部屋に魔族が居る。
魔族は、急に驚愕の表情を浮かべたかと思うと、一転して大仰に笑い出す。
「・・・・・ック・・・・ファ・・ハハハハッハ。」
「如何なさいましたか?」
傍に控える人族が、怪訝そうに尋ねる。
「ん~私の半身を倒したあの男を『千里眼』で見ていたのですが・・・痴情の縺れで四苦八苦していたものですから・・・ハハハハッハアア。」
「な・・・・ま・・まさか・・・そんな事をご覧になっていたのですか?」
「フフフファッハ素晴らしい、素敵な事ばかり起きます、楽しいですね~彼は面白すぎますね~」
「今度こそ全力でもう一度、私が直接立ちはだかって見たいですね~」
「そんな・・お戯れを。」
「冗談ですよ。」
「フフフフフ目的は果たせました、もう一押ししてみますか。」
「次からは働いてもらいますよ、ギブリオ。」
「はっ!仰せのままに。」
答えたギブリオは、深く頭を下げ、恭しく部屋を後にするのである。
誤字脱字できる限り見直しました。
ご指摘ありがとう御座いました。




