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星降る屋上アイドル部―屋上で歌うと流れ星が落ちるらしいので、女子高生アイドル部を作ることにした  作者: 明石竜


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第八章 放課後のつづき

 文化祭ライブのあと、学校の中で声をかけられることが少し増えた。

「見たよ、ほしあま部」

「歌、よかった」

「最後の曲、あれオリジナル?」

 廊下ですれ違った一年生が、わたしたちを見ると小さく手を振ってきた。凛ちゃんが即座に振り返して、相手の子たちがきゃっと笑いながら去っていく。前なら、そういう反応は全部、教室の外側の出来事みたいに見ていた気がする。今は少しだけ違った。自分たちのしたことが、ちゃんと誰かに届いたのだと分かると、胸のあたりがくすぐったくなる。

「なんか有名人っぽくない?」

 お昼休み、学食で凛ちゃんが牛乳パックを持ったまま言った。

「気のせいだよ」

「いや絶対前より見られてるって。ね、玲奈さん」

「見られてはいますね。ただし有名人というほどではありません。文化祭で少し印象に残った団体、くらいでは」

 玲奈さんはそう言って、イタリアンスパゲッティをお上品に啜った。

「現実的」 

「大事ですよ、現実は」

 玲奈さんがそう言うと、凛ちゃんが「つよい」と笑った。

 窓の外は、九月の終わりらしい空だった。夏の強さはもう薄れているのに、日差しにはまだ少しだけ名残があって、風が吹くとようやく季節が動き始めたのだと分かる。文化祭が終わってから数日経ったせいか、校内も少しだけ落ち着きを取り戻していた。廊下の飾りつけは半分ほど外されて、教室の後ろに貼ってあったポスターも端が少し浮いている。

「でも、嬉しかったよね」

 わたしが言うと、向かいでましろちゃんが小さく頷いた。

「うん。見に来てくれた子が、曲のこと覚えてくれてた」

「ましろちゃんのハモり綺麗だったもん」

 そう言ったら、ましろちゃんは少しだけ目を丸くして、それから照れたみたいに笑った。

「ひかりちゃんは、すぐそういうこと言う」

「本当のことだから」

「出た」

 凛ちゃんが割り込んでくる。

「ひかりの本当のこと攻撃」

「攻撃じゃないよ」

「でも効くんだよなあ」

 凛ちゃんはそう言って、おかずの卵焼きを一口で食べた。

 透子は窓際の席に座って、黙々とパンを食べていた。いつも通り、あまり喋らない。でも前より、会話の輪から離れている感じはしなくなっていた。凛ちゃんが騒いで、玲奈さんがたしなめて、ましろちゃんが少し遅れて笑う。その流れの中に、透子もちゃんといる。言葉数は少なくても、そこにいるのが自然になっていた。

「ねえ、次どうする?」

 凛ちゃんが言った。

「次?」

「文化祭終わったじゃん。でも終わりじゃないでしょ、ほしあま部」

 その言い方が、なんだか少し嬉しかった。終わりじゃない、と凛ちゃんは当然みたいに言った。

「新曲を進めるのが先ですね」

 玲奈さんが言った。

「あと、一回ちゃんと録音もしてみたいです」

「録音! いいじゃん!」

「動画も欲しいかも」

 ましろちゃんが控えめに言う。

「文化祭のとき、見に来られなかった子もいたし」

「たしかに」

 わたしは頷いた。

「次はもっと、ちゃんと届けられる形がいいかも」

 そう言ったら、透子がこくりと小さく頷いた。

「……うん」

 その一言だけで、なぜかじゅうぶんだった。透子も同じ方を見ている、と分かるだけで、胸の奥が少しあたたかくなる。


放課後、わたしたちは屋上ではなく、中庭のベンチに集まった。傾き始めた日差しが校舎の窓に反射して、まだ少しだけ夏の名残みたいな明るさを残していた。

文化祭のあとの片付けがまだ終わりきっていないらしく、倉庫の前には段ボールがいくつか積まれていた。吹奏楽部の音が遠くから聞こえる。屋上とは違う景色なのに、五人でいると、それだけで少し落ち着いた。

「衣装の小物、見に行かない?」

 凛ちゃんが言った。

「次のライブ用?」

「うん。まだ決まってないけど、見るだけでも楽しいじゃん」

「ライブやる気まんまんだね」

「当たり前でしょ」

 凛ちゃんは胸を張った。

「あたしたち、これからなんだから」

 これから。その言葉が、やけにまっすぐ胸に入った。たぶん、わたしも同じことを思っていた。文化祭は終わった。でも終わったというより、始まったに近かった。屋上で歌って、流れ星が落ちて、五人で曲を作って、誰かに届いた。その先があると思っていた。自然に、疑いもなく。

「じゃあ駅前、少しだけ寄る?」

 わたしがそう言うと、みんなが頷いた。

 立ち上がったとき、凛ちゃんがふいに言った。

「前に一緒に踊ってた子にも見せたかったな」

「中学のときの?」

「うん。ほら、あの子。いつも一緒に――」

 そこで凛ちゃんは、少しだけ言葉を止めた。

「……あれ。名前、なんだっけ」

 軽い声だった。ほんの一瞬のことだった。

 でも、わたしはなぜか、その短い間だけが耳に残った。

 駅前の商店街は、夕方の買い物客でほどよく混んでいた。昼の熱はもう引き始めていて、制服のまま歩いていても、少し前ほど息苦しくない。

 制服のまま五人で歩くと、それだけで少し目立つ。文化祭のあとだからか、すれ違う同じ学校の生徒に「あ」と気づかれることもあった。凛ちゃんはそういうたびに楽しそうに小さく手を振って、玲奈さんは「調子に乗りすぎです」と言いながらも、口元だけ少し笑っていた。

「まずどこ行く?」

 わたしが聞くと、凛ちゃんが即答した。

「雑貨屋!」

「はやい」

「こういうのは迷ったら負けなんだって」

「何に負けるの」

「時間」

 凛ちゃんは真顔で言って、それから自分で吹き出した。ましろちゃんもつられて笑った。

 商店街の角を曲がったところにある小さな雑貨屋は、店先からしてきらきらしていた。ヘアピン、リボン、イヤリング、星型のチャーム。ガラス越しに見えるものがどれも少しだけ舞台用に見えて、凛ちゃんは「こういう店、危険」と言いながら真っ先に入っていった。

「危険なのに行くんだ」

「危険だから行くんでしょ」

 そう返されて、たしかに、と思った。

 店の中では、五人が自然にばらけた。凛ちゃんは明るい色の髪飾りの前で目を輝かせていたし、ましろちゃんは小さな星のブローチをそっと手に取っていた。玲奈さんは最初こそ「見るだけです」と言っていたのに、気づけば細い銀のイヤーカフをじっと見ている。透子は店の奥の棚で、青と白のシンプルなリボンを手にしていた。

「透子、それ似合いそう」

 声をかけると、透子は少しだけ目を上げた。

「そう?」

「うん。派手すぎないし、でも舞台だとちゃんと見えそう」

 透子は手の中のリボンを見た。それから、

「……ひかりは?」

「わたし?」

「何が似合うと思う」

 不意に聞かれて、少しだけ驚いた。

 透子の方からそういうことを聞いてくるのが、なんだか新鮮だった。

 わたしは棚を見回して、薄い水色の細いリボンを一本取った。

「これ」

「青ばっかり」

「だって透子に似合うから」

 透子は何も言わなかった。でも、否定もしなかった。ほんの少しだけ、指先の力がゆるんだ気がした。

 少し離れたところで、凛ちゃんが大きな声を上げた。

「見てこれ! めっちゃ可愛くない?」

 振り向くと、星のついたヘアゴムを両手に持っていた。片方は金色、もう片方は紺色で、たしかに可愛かった。

「衣装に合いそう」

 ましろちゃんが言う。

「でしょ!? あたし、こういうの好きだったんだよね。前も誰かとおそろで——」

 そこまで言って、凛ちゃんはまた少しだけ止まった。

 ほんの一拍だった。でも今度は、さっきよりはっきり分かった。

「……誰だっけ」

 凛ちゃんは自分でそう言って、笑った。

「あれ、今日やばいな。なんか名前が全然出てこない」

「疲れてるんじゃない?」

 わたしはできるだけ軽く言った。

「文化祭もあったし」

「かなあ」

 凛ちゃんは首を傾げたけれど、すぐに「まあいっか」と言って、またヘアゴムを見比べ始めた。その“まあいっか”の軽さが、逆に少しだけ胸に引っかかった。

 玲奈さんが、棚から視線を外さないまま言った。

「名前が出てこないこと自体は、珍しくありませんよ」

「だよね?」

「ええ。ただ」

 そこで玲奈さんは言葉を切った。

「ただ?」

「……なんでもありません」

 玲奈さんはそう言って、小さく首を振った。

 店を出るころには、空はだいぶやわらかい色になっていた。昼の熱をほどいたみたいな薄い光が残っていて、夕方はまだ遠いのに、夏とは違う色になり始めていた。凛ちゃんは結局、紺色の星のヘアゴムを買った。ましろちゃんは小さなブローチを一つ。玲奈さんは最後まで迷った末に何も買わなかったけれど、「次までに考えます」と妙に真面目に言っていた。透子は、わたしが選んだ水色のリボンを、気づいたら会計に持っていっていた。

「買ったんだ」

「……せっかくだから」

 そう言って、透子は袋を見下ろした。

 その横顔を見ていたら、なんだか少しだけ嬉しくなった。

 商店街を抜ける風は、学校の屋上で受ける風とは少し違った。もっと低いところを流れていて、人の声や車の音や、どこかの店の揚げ物の匂いを一緒に運んでくる。そんな中を五人で歩いていると、屋上の五人とはまた別の輪郭が生まれていく気がした。

 楽しかった。本当に、ただ楽しかった。

 なのに、胸の奥には、小さな棘みたいなものが残っていた。

 凛ちゃんが二度、名前を思い出せなかったこと。

 玲奈さんが「ただ」と言いかけてやめたこと。

たまたまかもしれない。そう思いたかった。でも、夕方の光の中で笑うみんなを見ながら、わたしだけが少しだけ、うまく笑いきれなかった。

 雑貨屋を出たあと、凛ちゃんが「甘いもの食べたくない?」と言い出したので、わたしたちは商店街の奥にあるたい焼き屋に寄った。

 店先の鉄板から、甘い匂いが漂っていた。小さな行列ができていて、制服姿の高校生や買い物帰りの親子が順番を待っている。ガラス越しに見えるたい焼きは、きつね色に焼けていて、見ているだけでお腹が空きそうだった。

「わたし、カスタード」

 凛ちゃんが即答した。

「定番じゃないんだ」

「こういうときこそ冒険でしょ」

「冒険の方向が甘い」

「ひかりは?」

「あんこ」

「保守派」

「たい焼きはあんこでしょ」

 そう言ったら、ましろちゃんが小さく頷いた。

「分かる」

「ましろちゃんもあんこ?」

「うん」

「味方がいた」

「玲奈さんは?」

 凛ちゃんが聞くと、玲奈さんは少しだけ考える顔をした。

「……カスタード、でしょうか」

「迷ってる」

「こういう場で選択を急かされるの、少し苦手なんです」

「お嬢様っぽい弱点」

「弱点なんですか、それ」

 玲奈さんがそう返して、ほんの少しだけ笑った。

 透子は最後まで黙っていたけれど、店員さんに聞かれて「……あんこ」と答えた。わたしとましろちゃんと透子があんこで、凛ちゃんと玲奈さんがカスタードになった。

 紙袋を受け取って、店の横の小さなスペースに並んで立つ。焼きたてで、手のひらが少し熱い。ひと口かじると、甘さがじんわり広がった。まだ冷たいと言うほどではないけれど、夕方の空気に少しだけやさしく合う温度だった。

「おいしい」

 ましろちゃんが満面の笑みで言った。

「ね。秋って感じする」

「たい焼きで季節を感じるタイプ?」

 凛ちゃんがからかうように言う。

「感じるよ」

「ひかりは感じそう」

「どういう意味」

「なんかそういうの、ちゃんと拾いそうだから」

 わたしが返事をする前に、透子が隣で小さく言った。

「……分かる」

 それだけで、少しだけ顔が熱くなった。

 たい焼きを食べながら、凛ちゃんがまた次の話を始める。

「次のライブさ、学校の中だけじゃなくてもいいかもね」

「校外ってこと?」

「うん。ちっちゃいイベントとか、商店街のお祭りとか」

「そんな都合よくありますか?」

 玲奈さんが言う。

「なかったら作ればいいじゃん」

「凛ちゃん、その発想すごいよね」

「褒められた」

「半分は呆れてる」

「半分も褒められてるなら勝ち」

 凛ちゃんが胸を張って、ましろちゃんが笑う。こういう流れが、前よりずっと自然になっていた。誰か一人が頑張って空気をつないでいる感じじゃなくて、五人でいることそのものが、もう少しだけ馴染んできている。

 そのとき、店の横を親子連れが通った。小さな女の子が、母親の手を引きながら、「前もここ来たよね」と嬉しそうに言っていた。

 その声に、玲奈さんがふっと顔を上げた。

「どうしたの?」

 わたしが聞くと、玲奈さんは少しだけ目を瞬いた。

「……いえ」

 でも、そのまま少し黙ってから、手の中のたい焼きを見た。

「昔、母とこういうお店に寄ったことがあった気がするんです」

 凛ちゃんが「へえ」と声を上げる。

「たい焼き?」

「たい焼きだったかどうかは、分かりません。ただ、買い物の帰りに甘いものを半分こしたような、そういう感じだけがあって」

 玲奈さんは言葉を選ぶみたいに、ゆっくり続けた。

「でも、場所も、何を食べたかも、顔も、はっきりしないんです」

 わたしは黙った。

 玲奈さんの声はいつも通り穏やかだったけれど、最後のところだけ少し薄かった。

「雰囲気だけ覚えてる感じ?」

 ましろちゃんがやさしく聞くと、玲奈さんは頷いた。

「はい。懐かしい、という感覚だけが先にあって、肝心の記憶が追いつかないんです」

 凛ちゃんが、たい焼きを持ったまま、少しだけ真面目な顔になった。

「それ、変な感じだね」

「変、ですね」

 玲奈さんはそう言って、小さく笑おうとした。でも、その笑い方は少しだけ失敗していた。

 わたしは、雑貨屋で玲奈さんが「ただ」と言いかけてやめたことを思い出した。

 名前が出てこない凛ちゃんとは、少し違う。

 玲奈さんの違和感は、言葉そのものより先に、気持ちだけが残っている感じだった。

「玲奈さん」

 呼ぶと、玲奈さんがこちらを見る。

「それ、大丈夫じゃない気がする」

 思ったより、まっすぐな声が出た。

 玲奈さんは少しだけ目を見開いて、それから視線を落とした。

「……そうかもしれません」

 その答え方が、かえって胸に残った。夕方の商店街は、さっきより少しだけ人が増えていた。笑い声も、自転車のベルも、店先の呼び込みも、全部いつも通りのはずなのに、その一瞬だけ、わたしたちの周りの空気が少し穏やかになった気がした。

 少しだけ落ちた空気を戻したのは、やっぱり凛ちゃんだった。

「よし、じゃあ今日は記憶力を取り戻すために、みんなでしりとりしながら帰ろう」

「どうしてそうなるの」

 わたしが思わず言うと、凛ちゃんは胸を張った。

「頭を使うと脳がしゃきっとするって、なんかで見た」

「情報源がふわふわすぎます」

 玲奈さんが即座に返す。

「でも暗くなるよりいいでしょ?」

 凛ちゃんはそう言って、わざとらしく明るい声を出した。

「はい、ひかりから。“た”!」

「急だなあ」

「急がないと始まらない」

「じゃあ、たい焼き」

「いきなり食べたもの」

「今いちばん身近だから」

 ましろちゃんが小さく笑った。

「じゃあ、き……きらきら」

「ざっくりしてる」

「でも分かる」

 透子がぼそっと言って、凛ちゃんが「透子、それ参加してるってことだよね?」と食いつく。透子は少しだけ視線を逸らして、「……してる」と言った。

 そのやり取りに、玲奈さんもようやく少しだけ口元を緩めた。

「では、ら……来週」

「急に現実」

「予定は大事です」

「しりとりでも現実的なんだ」

 凛ちゃんが笑って、ましろちゃんもつられて笑う。さっきまで少しだけ止まっていた時間が、また動き出すみたいだった。

 商店街を抜けて駅前の広場まで来るころには、空はかなり夕方に傾いていた。夏の終わりを引きずるみたいな明るさの中に、少しだけやわらかい金色が混じって、建物の窓に反射していた。人の流れは絶えないのに、その上だけが静かだった。

「楽しかったね」

 ましろちゃんが言った。

「うん」

 わたしは答えた。本当に、楽しかった。

 文化祭のあとも、こうして五人で笑っていられること。

 学校の外でも、屋上じゃない場所でも、ちゃんと一緒にいられること。

 それが嬉しかった。嬉しいはずだった。

 でも、胸の奥には、さっきから同じ場所に小さな重みが残っていた。

 凛ちゃんが名前を思い出せなかったこと。

 玲奈さんの中で、懐かしいという気持ちだけが先に残っていたこと。

 どちらも、その場では笑って流せるくらいの、ほんの小さな違和感だった。たぶん、誰だって一度くらいはある。疲れていたらなおさらだ。

 そう思おうとしても、うまくいかなかった。

 流れ星に願い事をしたら、願いが叶う。その代わりに、大切な思い出が少しずつ消えていく。ひとりで考えるには、まだ形にならない言葉だった。

 でももう、見なかったことにはできない気がした。

「ひかり?」

 凛ちゃんが振り返る。

「どうしたの?」

「……なんでもない」

 わたしは笑ってみせた。

「しりとりの次の言葉、考えてただけ」

「ほんとに?」

「ほんと」

「じゃあ“う”ね」

「急だなあ」

「急がないと止まるから」

 凛ちゃんはそう言って、また前を向いた。

 急がないと止まるから。

 何気ないその言葉が、なぜか少しだけ胸に残った。

 わたしたちは笑いながら駅前を歩いた。誰かが何かを言って、誰かが返して、また笑い声が重なる。いつも通りの放課後の続きみたいな時間だった。

 なのにわたしだけが、夕方の空の向こうに、まだ見えない何かがある気がしていた。


駅でみんなと別れたあと、ひとりになってから、わたしはふと屋上のことを思い出した。昼の熱が少しずつほどけていく夕方の風と、フェンスの向こうに広がる街と、歌のあとに落ちる光。あのときからずっと、わたしは流れ星を綺麗だと思って見ていた。でも、もうそれだけじゃ駄目な気がした。願いが叶うことと思い出が薄れていくことが、本当に同じ場所につながっているなら、次に星が落ちたときは、ちゃんと見ようと思った。目を逸らさずに、何が起きているのかを。


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