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7話 森の主?

白いウルフの後を追って、

だいぶ森の奥の方まできた。


それまでなぜか他の魔獣は現れなかった。


しばらくすると、ウルフは茂みの中に入っていった。

追いかけて茂みの中に入ると、

白いウルフの3倍はありそうな大きなウルフがいた。

苦しそうに横になっていて、かなり衰弱している。


「ま、まさか森の主のフェンリルか?」

隣でおじさんが震えながら見上げている。


森の主?フェンリル?

フェンリルってよく架空の生き物として出てくる強い魔獣のことかな?


「森の主ってなんですか?」

「ああ、この森には守り神がいると言われていて、それを森の主と村の連中が言っているのだよ」

村の人たちというと、この近くにあるリンデン村のことかな。


小さいウルフは子供だったのかな?

ってことはこの子もフェンリルってこと!?


子フェンリルは心配そうに大きなフェンリルを見ている。


「とりあえず、見てみましょうか」

「大丈夫か?」

「まあ、こんなに苦しそうですし、放っておけませんよね。きっと襲ってきたりはしないはず……」


私は大きなフェンリルのそばにきた。

「少し触るね」

お腹の辺りを触ると、黒ずんでいてかなり腫れ上がっているようだ。

これはなに?


「これって呪いとかじゃないですよね?」

隣で見ている男性に聞いてみる。

「そうさなぁ、呪いというより病気かのぉ?」


んー、こんなに腫れてて、

黒ずんでいるとなると、腫瘍とかかな?


「とりあえずさっきみたいに治してみますね」

「無理するなよ、かなり魔力を消費してるだろう」

まあ、いつもよりは消費はしてるけど、まだ7割くらいは残ってる気がする。


お腹をそっと触り、目を瞑る。

大きな腫瘍をイメージして、それを綺麗に切り取り、

消去!


お腹に淡い光が入っていく。


うわー、がっつり魔力がなくなっていく。

これ以上はまずいいうところで手を引いた。


どうにか腫瘍は取れたかな?

体力の回復までは無理だったな。


「ふー……どうにか根元は取り除けたかな」

「お母さんフェンリルかな?気分はどう?」

フェンリルがゆっくりと目を開いた。


「娘よ、何をした?」

「喋った!?」

「人間の言葉くらい話せるわ」

フェンリルはゆっくり起き上がった。


「あなたのお腹にある悪いものを取り除いてみたの」

「バカな、あれはもう私を蝕んでいてあとは朽ちるだけだと思っていたのに取り除いただと?」

「私、光魔法がけっこー得意みたいで」

「数百年生きている私にすらできなかったことをいとも簡単に成し遂げるとは、人間もなかなかやるな、感謝する」

「いやー、もう魔力全然ないけどね」

さすがに疲れたので地面に座った。


「お嬢ちゃん、大丈夫か?」

男性が慌てて支えてくれた。

「ちょっと疲れただけなんで、少し休めば大丈夫です」


子フェンリルも心配そうに寄り添ってきた。

「あなたも心配してくれるの?」

よく見ると、白くてふわふわでかわいい!


「娘よ、名はなんと言う?」

「セレナよ」

「ふむ、セレナ。命を救ってくれたそなたに何かお礼をせねばのう」


「あなたって森の主なのよね?」

「そうだな、村の連中はそう呼んでいるようじゃ」

「それなら、いままでこの森を守っていてくれたのでしょ?それならここに住む民としてあなたを助けるのは当たり前だし気にしなくていいわ」


「そうは言ってもな……」

チラッと私にくっついて座っている子フェンリルを見た。


「息子よ、その娘が気に入ったのか?」

「うん!セレナの魔力すごくいい匂いがして気持ちがいいの!」

魔力に匂いなんてあるの?

って君も喋るんかい!

なら、最初から話せば早かっただろうに!


「なるほどな、そうじゃセレナよ、息子を連れていくがいい。これでもなかなか強いから護衛になるであろう。」

「ええ!?いやいや、それはダメだよ!」

「そろそろ、外の世界を見せようとおもっとったのじゃ、ちょうどよい」

なんだろ、こっちの言い分は聞く気なし的な雰囲気。


「いやー、でもこんな大きい子連れてったらみんなびっくりしちゃうし……」

お母さんフェンリルよりは小さいけど、アッシュウルフの2倍以上はありそうな?

ちなみにアッシュウルフは大型犬くらいのサイズだ。


「僕、少しなら小さくなれるよ!見てて!」

そういうと、子フェンリルは光を放ち、ひとまわり小さい大型犬くらいのサイズになった。


「これでどう??これなら白い犬でいけるんじゃないかな?」

「自ら犬発言……そうだね、これならどうにかなるの……かな?」


子フェンリルはやったーと言いながら私に飛び込んできて、そして私の額に自分の額をつけた。

その瞬間、額に何か模様らしいものが出て、光の輪が2人を囲った。


「え、なになになに!?」

「お嬢ちゃん、これは魔獣と人間が契約するときに現れる術だ」

「は?契約?勝手に!?」


「これで一緒に行けるね!そうだ、僕まだ名前がないからセレナがつけてよ!」

フェンリル、マイペース過ぎる!


「状況に追いつけない……名前?うーん……」

真っ白でふわふわの毛並み。

前世で見た雪を思い出すなー、雪……。

スノー……。


「スノウなんてどう?あなたの毛並み、真っ白でふわふわで雪みたいに綺麗だから」

「スノウ!いいね!今日から僕はスノウだよ!」

ほっぺたを舐めてくる犬、もといフェンリル。


「やれやれ。フェンリルのくせに猫を被りおって」

「ん?なんか言ったかしら?」


お母さんフェンリルが呆れたような顔をして、スノウを見ている。


「いや、契約も済んだしもう大丈夫じゃな。我は体力と魔力を回復するために森の奥に行こうかと思う。息子をよろしくな。」

お母さんフェンリルは息子をひと舐めしてから、森の奥のほうをみた。


「そうじゃ、最近、ここ周辺で魔獣を使役させようとするよからぬ者がちらほら現れているようじゃから気をつけよ。ではまたな、セレナよ」

そういうと、すごい速さで母フェンリルは森の奥に消えていった。あれで体力落ちてるのか……。


「あー、、、お嬢ちゃん、それどうするんだ?」

「いやー、勝手に契約されちゃったし、戻って家族に相談したいと思います」

「それしかなさそうじゃな」


なんでこんなことに、、、

そう思いながら立ち上がると途端立ちくらみに襲われる。


「お嬢ちゃん大丈夫か?まだ魔力が回復してないのだろう、家まで送って行こう」

慌てて、おじさんが支えてくれた。


「僕に乗って行ったらいいよ、大きくなれば乗れるでしょ!」

さっきと違い、光ったりせず、いつのまにかおおきくなった。


「ありがとう。お言葉に甘えようかな」

今日は本当にいろいろありすぎた……。

早く帰って寝たいけど、この子の相談するまでは無理だなー……。


お父様になんで言おう。

私はフェンリルに乗りながらボーッと考えた。

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