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3話 騎士団に現れる妖精

数日後、

体調も万全になり、お姉様はまた早朝から騎士団の訓練に混ざるようになった。

私のほうも胃に優しい食事から通常に戻り、普通の生活に戻った。


ちなみに、髪色に関しては、

湖に落ちたショックと光魔法が急に発動したことが原因なのでは?

という結論になった。

そもそも、こんな事例ないのでよくわからないと言ったところだ。


まあ、前世を思い出したことも関係なくはなさそうだけど、

そんなこと話せないし、とりあえず保留にした。


だいたい毛先なので切ってしまったらピンクなくなるだろうし。

そしたら、ただのホワイトブロンドだ。

お母様も淡い金髪だし、まあ、近しい色だし良しとした。


♢♢♢


コンコン

「セレナです」

お父様から呼び出しがあり、執務室の扉を叩いた


「セレナ、入っていいぞ」

「お父様、お呼びですか?」

「ああ、そこに座れ」

お父様がソファを指したのでお父様の前に座った。


「お前のこれからのことで話しておこうかと思ってな」

「これからのことですか?」

「ああ、数日前に光魔法が使えることがわかっただろう?セレナが今後どうしたいのか聞こうと思ってな」

「そうですね……。」

私は悩んだ。とくにこれといってやりたいこともないのだ。


「光魔法が使えるなら、カランドール王立魔導学院に通い魔法を学ぶか、教会に入って治癒士になるというのもあるし、どこかに嫁にいくってのもあるな」

「魔導学院に通ったら教会に光魔法のことバレますよね?」

私はちらっとお父様のほうを見た。


「まあ、100%バレるであろうな。全力でスカウトはくると思うぞ。魔力量とその治癒能力の高さがバレれば、是が非でも引き入れたがるだろうな、聖女対応も大いにありうるな」

「聖女は大袈裟だと思いますけど、私教会に入るとかぜっっっっっっったい嫌です!」

「まあ、俺も教会なんざに娘を入れたくはないな」

「教会なんて入ったら好き勝手寝れないし美味しいものだって食べれないじゃないですか!」

「入りたくない理由がそこなのか」

お父様が呆れた顔をしている。


「衣食住大事ですよ!」


「わかったわかった。じゃあ、どうするんだ?」

「お姉様と一緒に騎士団の訓練に参加して鍛えます!そして、アイゼン騎士学校に入ります!」

うちの家系は5歳をすぎると、とりあえずみんな剣を持たされるのだ。兄は剣の才能がなかったので早々にやめたが、

私はどうだろうなー……。


でも、魔導学院に入ってもイビられる未来しか見えないし。

学校に入らないという選択肢はないし、将来のためにも鍛えとくに越したことないよね。


「光魔法のほうはどうするんだ?」

「サイナス先生に基礎だけ教えてもらいます。あとは騎士団で怪我をした騎士に実験台……じゃなくて、練習台?になってもらうのはどうですか?」

「実験台も練習台も一緒だろうが。まあ、リヴィアの治療で使えることはわかってるから、あとは一度に使う魔力量の調整も大事だろう。いくら魔力が多いからといって無駄遣いするのはよくないからな」

「ありがとうございます!」


「ただ、無闇に使うなよ。王都に行ったら特にな。どこで誰が見てるかわからん」

「気をつけます……」

「騎士団のほうにも他言無用だと言っておく」

「お手数おかけします。お父様」

「いや、騎士団としても助かるからな、むしろありがたい」

「私、頑張ります!」


ふと、お父様がじっとこっちを見てきた。

「しかし、セレナ急に喋り方が大人っぽくなったのではないか?」

「え!」

まずい、前世思い出したせいで30代の私が混ざってしまってるかも!


「最近、サイナス先生に文字を教えてもらって、いろいろ本を読むようになったせいかも!」

「あー、なるほどな。まあ、いいことだから、これからもその調子でがんばりなさい」

あ、焦ったー。気をつけないとだめかな。でもいまさらかも?


♢♢♢


「最近、怪我するやつめっきり減ったよな」

「ああ、秋になって魔物が活発化してきたのに、重症のやつがひとりもいないなんて」

「今までそんなことなかったよな」

「やっぱりこれは妖精さんのおかげだな」

「そうだな、安心して全力出せるしありがたいよな」

「まあ、無茶はよくないけど、頑張りたくなるよな」

そんな会話が騎士団内のあちこちでされている。


私は父と話し合った翌日から騎士団にいき、

訓練と治癒魔法の練習をすることになった。

騎士たちは練習でもかなり激しく稽古していて、怪我とかしょっちゅうしてることに驚いた。


最初は魔力を使いすぎて、古傷まで治してしまって、周りから驚愕の眼差しを向けられていた。

まあ、怪我を治した騎士からは泣きながらお礼も言われたけど……。


そんなかんじで、練習がてらちょくちょく治していたら、

いつの間にか「妖精さん」と呼ばれるようになった。


「あ、今日も妖精さんきてるね」

「ほんとだ、俺この間がっつり手を切っちゃったんだけど、一瞬で治してくれてびっくりしたわ」

「さすが、妖精さんだな」

妖精ってなんだ?この世界って妖精もいるのかな?


気になったので、今は姉と稽古中なんだけど、姉に聞いてみた。

「お姉様、妖精さんってなんですか?」

「え?あなたのことでしょ」

「え?」

「え?気づいてなかったの?」

「う、うん」

お姉様が素振りをしながらこっちを見てきた。


「最初の頃、あなた魔力の手加減できなくて、古傷まで治しちゃってたでしょ?」

「面目ない……」

「いや、騎士たちは感謝してるからいいと思うんだけど、そのせいで『セレナ様は聖女だ』とか言い出すアホがでてきてね」

「聖女!」

騎士たちはバカなの?脳筋なの?

最初にお父様が他言無用って言ったのに聖女とか言ったらまずいことになるのわかるじゃん!


「これはまずいと思ってお父様が、セレナではなく妖精が治してることにしろって命令したのよ」

「それは申し訳ない?けど、妖精って……」

「あなた、小さくて可愛いし、髪はホワイトブロンドでウェーブかかってて、瞳の色はアクアマリンで、まさに見た目だけは妖精さんってかんじよ?」

「えぇ……」


そう、前世の記憶が戻ってきてから改めて自分の姿を確認したのだけど、

私の容姿はかなり可愛い。

髪は元々はお父様似のピンクゴールドだったけど、今はお母様に似て淡いゴールドでウェーブかかってて、

瞳の色はお父様ゆずりのアクアマリンの瞳。

どこのお人形さん?ってかんじ。


ただ、この世界、美男美女がめちゃくちゃ多いようで、

私は平均的っぽい。


リヴィアお姉様の容姿も、

お父様譲りのピンクゴールドの髪にウェーブがかっていて、

瞳の色はお母様似で薄茶。

いつもポニーテールしてるけど、

めちゃくちゃかわいい。


カイエルお兄様は、

お母様似の淡いゴールドなんだけどストレートヘアでいつも後ろで縛ってる。

瞳はラベンダーグレーなんだけど、父方母方のどこの遺伝なんだろうな。


「セレナ、集中できてないぞ!」

「す、すみません!」

お父様こと騎士団長に注意された。

稽古中は、お父様ではなく騎士団長と呼ばなくてはいけないのだ。


稽古してわかったのは、

私はけっこう運動神経が良いということだ。

前世はまったく運動できなかったけど、

今世の体はかなり優秀らしい。

グランフェルの血筋がしっかり入っているようで本当によかった!

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