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2話 これが所謂転生特典!?

「うん、きれいに治っておりますな。腕の震えもなくなったようです」


昔からうちの主治医をしてるカスパル先生が姉の診察をしながら、

不思議そうな顔で腕を見ている。


「よ、よかったー!」

「セレナ様のほうも6日間も寝てた割に体力もさほど落ちてないようですし、問題ないかと思います。ただ本日は胃に優しいものを召し上がってください」

カスパル先生が私も診てくれて、問題無しとのことだった。


「しかし、なぜ治ったのか不明ですな、治癒魔法は怪我をしたその日にもかけましたが、その時は痺れや握力の低下は治らなかったのに」

「先生、どうやらセレナには光魔法の適性があるようなのです」

「いや、しかし治癒魔法は以前も他のものがかけましたし」

「先ほど、魔導士のサイナス先生を呼びましたので、もうすぐ来るはずです。魔法のことですし何かわかるかもしれません」


カスパル先生とお父様とお母様で何やらごちゃごちゃ話してるようだ。


「リヴィアお姉様、もう痛いところありませんか?」

「セレナが治してくれたからもうどこも痛くないよ!ありがとう!」

「よかった〜、またこれで剣を握れるね!」

「うん!」

姉が涙目で抱きしめてくれた。私の方もうれしくて涙が出た。


しばらくすると、コンコンとドアをノックする音が聞こえた。

「サイナスです。お呼びとのことで参りました」


「ああ、サイナス先生、入ってください」

「失礼いたします。おや、皆さんお揃いで」

「急に呼んですまない。ちょっと確認したいことがありまして」


お父様がサイナス先生に椅子に座るようすすめた。


「なんでしょうか?」

「この間、セレナの魔力測定をしてもらったと思うのだが、その時に魔力はある適性魔法は何も現れなかったよな?」

「そうですね、魔力量は人より多いのに何も現れず、いろいろ調べてみましたが何も出ませんでしたね」

「そうだよな……」


この世界では、5歳になると適性魔法と魔力量を調べる義務がある。

私もドキドキしながら調べたものだ。

姉は父譲りの火魔法の適性があり、兄にいたっては風、土という2つも適性があるのだ。

貴族なら、ほとんどの人が何かしらの魔法適性がある。

それなのに、私はなんにもでなかったのだ。

あの時はしばらく泣いたな……。


「いや、実はな先ほど、セレナがリヴィアの腕を魔法で治したのだよ。たぶんあれは光魔法の一種だったと思う」

「え、リヴィアーナ様の腕は、教会の治癒士でも完全には治せなかったとお聞きしましたが」

「そうなんだよ、それがセレナがリヴィアの腕を触ったら淡い光が溢れて、そのあと動くように」

「淡い光……それはたしかに光魔法の可能性がありますね。もう一度測定しなおして見ましょうか。ちょっと測定器を取って参ります」


♢♢♢


「お待たせしました!」

先生は走ってきたのか、髪が乱れている。


「先生、そんな慌てなくても大丈夫だよ?」

「いえ、セレナ様!私も気になりますので!」


サイナス先生は、主に冬には10歳になるお兄様と春に8歳になったお姉様の家庭教師をやっているが、

私も文字の読み書きや簡単な計算など教えてくれている。


この屋敷の離れには先生の部屋があり、お兄様の家庭教師になってからずっと住んでいる。

授業がないときは、ひたすら魔法研究をしていて魔道具の開発などもしており、うちの騎士団はその恩恵を受けている。


さらに部屋とは別に研究室もあったりする。

つまり、めちゃめちゃ魔法オタクなのである。

最近はお兄様がそこに入り浸っているという噂も……。


魔法測定器は、昔の地球儀のような形で、半透明のボール状の周りを円が交差するようについている。

その真ん中に指を入れると測定できる仕組みになっている。

改めて見ると不思議な道具だなと思う。

まさにファンタジー。


指を入れるとすぐに文字が浮かびあがった。


セレナティア・グランフェル

魔力量:82

適性魔法:光


「空欄だったはずの適性魔法が出てる!!」

何も魔法使えないって言われてたからめっちゃ嬉しい!


「おお!」

「やっぱり!」

お姉様とお兄様がうれしそうに反応してくれた。


私も内心ウキウキしてたけど、なにやら周りはそうではないようで、

大人たちが渋い顔をしてる。


「みんな、どうしたの?光魔法の適性が出たけどなんかまずいの?」

「ん?いや、そんなことはないのだが……」

お父様が何か言い淀んでいる。


「サイナス先生、セレナに適性魔法ができたのは喜ばしいことではないのですか?」

お兄様が先生に聞いてくれた。


「いや、適性魔法ができたのはとても良いことなのですが、光魔法はなかなかレアな魔法でして通常ならうれしいことなのですが、セレナ様の場合、魔力量が王族に近いくらいあるので……」

「この魔力量で光魔法が使えるとなると高確率で教会の連中が欲しがるじゃのう」


サイナス先生とカスパル先生が悩ましそうに話している。


「場合によっては、聖女扱いだな」

お父様がため息をつきながら言った。


「え、セレナが聖女?このわんぱく娘が?」

「さすがに無理でしょ」

お姉様とお兄様が笑いながら言っている。

いや、お淑やかではないと自覚はしてるけど、周りに言われるとなんか腹立つな。


「わんぱくとかは関係ないのですよ、現に教会の治療士が治せなかったリヴィアーナ様の腕をセレナ様は治してしまったのですよ。その要因はたぶん魔力量です。光魔法の使い手でここまで魔力量の多い人はめずらしいのです」


先生、たぶん魔力量だけじゃなく、

私が前世の知識あるせいだと思うんだよね。

この世界の人は、体の構造について知らない人が多い。


前世の記憶と共に光魔法が使えるようになるなんて、

もしかして、これが所謂転生特典というやつなのでは!?


早くも詰んでた未来に光が……。


「はい!先生質問です!」

「はい、セレナ様、なんでしょうか?」

「光魔法の適性がでたということは、他の人と同じく生活魔法も使えるようになったということでしょうか?」

「ああ、たしかに。今までは魔力は多くても放出が一切できない状態でしたが、光魔法が使えるようになったということは放出ができてるということなので、可能性はありますね」


や、やったー!一番悲しかったのは生活魔法が使えないことだったんだよね。

他の人はちょっと汚れたらクリーンの魔法でキレイになるし、暗かったらライトの魔法が使えるし、

せっかく魔法のある世界に生まれたのに、そんな楽しそうな魔法も使えないなんて悲しすぎる!


「せっかくなので、初級のライトができるか見てみましょうか」

「そんなすぐできるものですか?」

「セレナ様はすでにリヴィアーナ様の腕を治した経験があるので、魔力の流れはなんとなく掴んでいるのではないですか?」

「あの体の真ん中から手のひらに移動して出ていったもののことですか?」

「そうです!一回でそこまで魔力の流れがわかったのはとても才能がありますね!」


「では、一度見ててくださいね。指先にろうそくくらいの光が出るようにイメージして『ライト』と唱えてください」


私は目を瞑って、体の真ん中にある魔力を指先に移動させ、

目を開けて指を見つめ豆電球をイメージして唱えた。

『ライト』


シ――――ン


『ライト』


「光りませんね」

「ええー、ちゃんとイメージして魔力の移動も感じながらやりましたよ!」

「んー、おかしいですね。ちょっとセレナ様、手を握っていいでしょうか?」

「はい」

手を前に差し出して、先生の手を握った。


「もう一度、さっきやったようにやってみてくれますか?」


私はもう一度イメージして唱えた。

『ライト』


「そうですね、たしかにしっかり魔力は動いてますね。それなのに発現はしない。まだちゃんと調べていないので定かではないですが、セレナ様の場合、光魔法が強すぎて、他の魔法、つまり生活魔法ですら使えない可能性があります」

「そ、そんな〜……せっかく魔法が使えるようになったのに……」


「ま、まあ、今までは一切使えなかったんだから、それがめずらしい光魔法が使えるようになったんだよ!凹まないで!」

「そうだよ、これからは私が怪我したらセレナに治してもらえちゃうんだよ!頼りにしてるよ!」

お兄様とお姉様が全力で慰めてくれる。

「うう……」


「まあ、とりあえず、もう少し調べてみないとわからんだろう、セレナそんな落ち込むな」

「そうですよ、リヴィアの腕を治せるなんて、とてもすごいことよ!」

お父様とお母様も励ましてくれた


「わかりました……そうですよね、何もできなかったのに一つだけでも使えるようになったのだから、

前向きに捉えたいと思います」


うう……なんて中途半端な転生特典なんだ!

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