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1話 早くも詰んだ?

……く、苦しい、息ができない……


ここは水の中?

ふと手を伸ばすと小さい手……なんで?

いや、私は今5歳なんだから小さくて当たり前なのに、なんで違和感が?

 

私は今年30歳でグラフィックデザイナーをやっていて、大きな案件がやっと終わって夜中に帰宅して、

疲れたからお風呂に入って、まさかお風呂に入ったまま寝てしまってそのまま……。

せっかく待望の休みだったのに!アホすぎる私……。


それで、セレナティア・グランフェルに生まれ変わったんだ。


なのに、なんでまた溺れてるの!?

早くも人生詰みつつあるじゃん……。

そろそろ呼吸もヤバくなってきた……意識が……。


♢♢♢

 

ふと目が覚めた。

知らない天井……ではない、私の部屋だ。ちゃんとわかってる。

今までの記憶もしっかりある。

そう思い、ベッドから起き上がると目の前で、セレナ付きのメイド、リーナが目を見開いている。


「お、お嬢様!」といって、号泣し出した。

「ちょ、リーナどうしたの?」

「どうしたじゃないですよ!」


どうやら6日間も寝続けてたらしい。

湖に落ちた時はリヴィアーナお姉様が助けてくださったらしい。


「そうだったの……ねぇ、お姉様にお礼を言いに行きたいんだけど、どこにいるかな?」

「お嬢様、その前にお医者様に診てもらい食事を取ることが先です!6日間も寝続けてたんですよ!」


私的には前世の記憶も寝てる間にうまく定着してくれたみたいで、なんかスッキリしてるから問題ないとわかるけど、端から見たら6日間も起きないのはかなり不安だっただろうな。

たぶん、6日間も寝てたのは前世の記憶と今世の記憶で脳がごっちゃになり整理に時間がかかったのだろう。


「ご家族には私からお伝えしておきますので、もうしばらくベッドから出ないでくださいね」

 念を押すようにリーナは出ていった。


私はベッドのヘッドボードに寄りかかり、自分の小さな手を見ながら、

この世界に生まれてからのことを思い出していた。

ここはグランフェル辺境伯家、私はセレナティア・グランフェル、現在私は5歳である。

そして魔法が使えない。


このカランドール王国では、5歳の誕生日になると各家で魔力を調べる習わしがある。

どんな魔法の適正があるか、魔力量はどのくらいなのか。


私も初夏に誕生日があり、つい最近誕生日を迎え調べてもらった。

そしたらなんと魔力量は人より多いのになぜか適性魔法が表示されず……。

せっかく魔法がある世界に生まれてきたのに魔法が使えないなんて、悲しすぎる。

貴族はだいたいの人が少なからず魔力を持っていて魔法が使える。

けど、私の場合は、魔力量は人よりかなり多い方なのになぜか魔法が一切使えないのだ。

この調子だと将来嫁ぎ先もないだろうなー……今世も独身のままか。

稀に成長と共に開花する場合もあるらしくそれに期待したと思う。


そして、ふと長くてウェーブのかかってる髪の毛が視界に映った。


「え?」


その長い髪を掴み、じっくり見ると、

髪色が違っている。

たしか、私の髪の毛は、ダリオンお父様譲りのピンクゴールドだったはず。

なのに、今は金髪より薄いホワイトブロンドになっている。

しかし、毛先だけはなぜかピンクゴールドのままだ。


「何これ?」


髪の毛をみつけていたら、扉がいきなり開いた。

「セレナ、やっと目覚めたのか!なかなか起きないから心配してたんだぞ!」

ダリオンお父様が安堵した表情でやってきた。その後ろにはアリシアお母様とカイエルお兄様がいる。


「セレナ、体調はどう?」

「セレナ、やっと起きたんだね、心配したよ!」

「お父様、お母様、カイエルお兄様、それよりこの髪色……」


私は毛先を持ち上げて家族に見せた。


「ああ、そのことか……」

「湖から救ったときにはもうその髪色になっていたのよ」

父と母がなんとも言えない顔をしている。


「まだ、ちゃんと原因がわかっていないんだ。これからちゃんと調べよう?」

お兄様が優しく頭を撫でてくれた。


お姉様とお揃いのピンクゴールド気に入ってたのに……。

そういえば、お姉さまは?


「リヴィアお姉様は?訓練中ですか?」

「あー、リヴィアは……」

お父様が何か言いづらそうな雰囲気を出しており、お母様もお兄様も表情が暗い。

そこにバタバタと足跡が聞こえてきた。


「セレナが目覚めたって聞いたんだけど!」

腕を三角巾でつっている姉がやってきた。

「よかったー、やっと目覚めたのね、全然目が覚めないんだもん。心配したわよ!」

「リヴィアお姉様、その腕どうしたの?……まさか私を助けた時に?」

「あー、えーっと……」

「リヴィア、隠していたところで他の誰かから漏れてしまう話だ、しっかり話したほうがいい」

お父様が席を立って、リヴィアお姉様を座らせた。


「そうよね、えーっとね、セレナが湖に落ちちゃったとき私焦って飛び込んだのよ。そしたら、大きな枝があって、そこに擦っちゃったのよね」

「私が落ちたばっかりに、ごめんなさい……もしかして骨折でもしたんじゃ……」

「いや、主治医に診てもらったんだけど、骨折はしてないから大丈夫!ただ、なぜか剣を持つときに力がうまくはいらなくて原因がまだわからないのよね。なので一応吊ってるだけよ。大袈裟よね」

姉はニコニコしながら話を続ける。


「もし、剣が握れなくなっても魔法は使えるし、将来的には強い旦那を捕まえて、旦那に働かせて私は領地運営するんだから!」


笑顔で言ってるけど、お姉様は剣が大好きだった。

毎朝、騎士団に混じって訓練してることも知ってる。


私のせいで、リヴィアお姉様が剣を握れなくなってしまうかもしれないなんて……。

お姉様はお父様と同じく炎の剣の才能があった。


グランフェル家は魔獣が頻出するエルナード領を代々守っており「王の盾」と呼ばれてる一家である。

領主は代々武に長けている者が受け継いでいて、父の次は姉が引き継ぐであろうと言われている。

カイエルお兄様は剣より本が好きなタイプで魔法を覚えてからはずっと本の虫である。

ちなみに彼の適性は風と土だった。


「私のせいで……」


私はそっとお姉様の腕を触った。

骨折もしてないのに剣がうまく持てないということはきっと神経を損傷してしまったのかもしれない……。


お姉様の腕がよくなりますように……。

目を瞑りさすりながら願った。


すると手のひらがほわんと温かくなり、体から何かが抜けていくかんじがした。


びっくりして目を開くと――

姉の腕が淡い光に包まれ輝いていた。


「え、なになになに!?」


パニックである。

やがて光が収まり、場がシーンとした。

姉がおもむろに三角巾を外し腕の曲げ伸ばしをしたり、手を握ったりしてる。


「あれ、痺れが消えて手に力が入る……」

「リーナ、急いで主治医のカスパル先生と、家庭教師のサイナス先生を呼んでちょうだい!」

「カスパル先生は先ほど知らせを出したのでもう来るかと思います。サイナス先生を呼んできます」


アリシアお母様が慌ててリーナに指示を出し、リーナが飛び出していった。

やたら夢でいろんな物語を見続けるので、

いよいよ書き始めてみました。


GWの間は毎日投稿する予定です!

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