26話 カタリーナ再襲来①
カタリーナ叔母様に手紙を出してから10日ほど経った。
「セレナ、来たわよ!」
バンッと扉を開けて叔母様がやって来た。
もしかして、手紙が来てすぐ出て来たのかな。
ここから王都まで4日はかかるのにこの速さ……。
「叔母様、来るのが早すぎてびっくりしました」
「こんなビジネスチャンス逃すわけにはいかないからね!」
叔母様は目をキラキラさせながらセンスをグッと握った。
さすが叔母様、ブレないわ……。
「今日は採寸もする予定だから店から数人針子も連れて来たわ」
「遠いところありがとうございます。よろしくお願いいたします」
私がお礼を言うと針子のみなさんも礼を取ってくれた。
「さて、第二王子殿下はそこにいらっしゃるのかしら?」
「呼んできますので、それまで応接室にどうぞ」
私は、メイドのニーナにエリアスを呼ぶように伝えた。
「セレナ、あのメイドの制服の襟の部分とても可愛かったけど、メイド服変えたのかしら?いつもうちに頼んでいたわよね?」
応接室のソファに座るやいなや叔母様から質問がきた。
さすが、叔母様めざといわ。
「あれは服は変えていなくて、襟だけ上から付けたのです」
「襟だけ?」
♢♢♢
最近、刺繍の練習をしているけど、
練習だけじゃ勿体ないんだよなー。
何か使い道はないだろうか……。
ハンカチはもう何個も作ってしまったし、クッションにも刺繍したし。
「セレナ様、お茶が入りました。少し休んではいかがですか?」
「リーナ、ありがとう」
そういえば、メイドの服ってずっと一緒だよね。
夏と冬で生地の厚さが変わるくらいで。
変わり映えがしなくてつまらないというか、いや、仕事着だからそんなもんだよね。
「あ、そうだ。リーナ、その着ているブラウス一枚貸してくれない?」
「このメイド服のですか?」
「うん、ちょっと試したいことがあって」
「少々お待ちください、持ってまいります」
昔といっても前世になるけど、付け襟ってあったよね。
ブラウスとかニットに襟だけつけられるやつ。
それに刺繍とかしたらめっちゃ可愛いのでは?
襟部分だけ作って、ボタンで止められるようにすればいけるのでは?
いろいろと考えていたら、リーナがブラウスを持って来てくれた。
「ありがと!」
「これで一体何をするのですか?」
「んー、できてからのお楽しみ!しばらく借りていてもいい?」
「はい、大丈夫です」
それから数日、襟部分を作り、花と植物の柄をあしらって完成させた。
仕事着だからあまり目立ってもあれかと思い、糸は白にした。
襟部分が完成したら、シャツのほうにボタンを付けてっと。
うん、可愛くできた!
「できたー、リーナちょっと来てー」
私の部屋でお茶の準備をしていたリーナを呼んで、
ブラウスを見せた。
「じゃーん、これどう?」
「まあ!とてもかわいいです!これはこの間お貸ししたブラウスに刺繍をしたのですか?」
「ふふふ、ここ見て?」
私は襟を留めているボタン部分を見せた。
「ここで襟部分とブラウスを留めているの。だから取り外したらいつもの襟になるよ」
「時と場合によって取り外しができるのですね、素敵です!」
「これはリーナにあげるわ」
「ええ、いいのですか?」
「うん、いつもお世話になっているからね」
「セレナ様〜、ありがとうございます!」
リーナはブラウスを抱えて、すごく喜んでくれた。
ちなみに、お母様には仕事着を改造してもいいか確認済み。
♢♢♢
「と、いう感じで、作ってみました」
私は作った経緯を叔母様に話した。
「失礼いたします。第二王子殿下ですが稽古中でして着替えたらいらっしゃるとのことでした」
「わかったわ、ありがとう」
ちょうどよく、リーナが戻って来た。
「リーナ、ちょっと来て」
「はい、いかがなさいましたか?」
「ちょっとその付け襟を外してもらってもいい?」
わかりましたとリーナはその場で襟を外して渡してくれた。
「簡単に外せるのね」
「そうなのです、ブラウスのほうにボタンを付けて取り外しができるようにしました」
私は付け襟を叔母様に見せながら説明した。
「なるほど。これは簡単に雰囲気が変わっていいわね」
「ですよね、私には技術がないですが、全部レースとかにしても素敵なんじゃないかなと思っています」
「それも素敵そうね。ただ、これだと貴族向きではないかしら」
「そうですね、どちらかというと平民から下級貴族くらいですかね」
中級貴族以上だと、襟だけ変えなくてもドレス自体を新調すればいいからね。
「ただ、普段着くらいならありじゃないかと思っています。襟部分を総パールや襟の縁部分だけに宝石をつければ、中級貴族以上でもいけるのではないかと。ネックレス代わりにもなりますし」
「なるほどね!ネックレス代わりかね。それなら今までにない雰囲気でいけるかもしれないわね」
総パールの襟とか、お母様に似合いそうだし、
縁部分だけシンプルで小さめの宝石を並べて縫い合わせたら、お姉様が普段着ているシンプルなドレスにも似合いそうだな。
「セレナ、このアイデア買い取ってもいいかしら?」
「いいですよ!お母様やお姉様用にも作って欲しいです」
「わかったわ。あとでデザインを描いてちょうだい。もちろんそのデザイン費も払うわ」
「ありがとうございます!」
それから、あれやこれやと打ち合わせをしていたら、
いつの間にかエリアスが来た。




