表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
詰んでる令嬢と色を知らない王子  作者: モモノ空
第一部 エルナード領編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
25/31

25話 色の勉強

「そうだ、エリアス、ここで色の勉強をしない?」

「ここで?」

「そう、ここなら普段目にするものがたくさんあるし、勉強に適した場所だと思うんだよね」


お礼というにはあれだけど、前から色の勉強をしようと言ってきたことを思い出した。


ちょうど果物屋があったので、私は一種類ずつ果物を買った。


「とりあえず、そこのベンチに座ろう」


私は噴水の周りにあるベンチに座って、

エリアスに隣に座るように言った。


「果物でどうやって勉強するんだ?」

「じゃあ、私がクイズを出すから答えて」

「わかった」


私は袋の中からレモンを出した。


「これは何色?」

「これは朝食で出された時に教えてもらったやつだな。黄色だ」

「正解!こんな感じでやっていくのはどう?」

「いいな!」


それから私はいろいろな果物を見せて質問した。

ぶどうは紫色。

ブルーベリーは青紫色。

りんごは赤色。


「さて、こっちのりんごは何色でしょうか」

「これもりんごなのか?さっきは赤かったが……緑だな」

「正解!ただこれは『青リンゴ』といいます」

「緑なのにか?」


エリアスは手に赤と青のりんごを持って眺めている。


「そうなんだよね。東大陸にあるガルナート王国だと、あの葉が生い茂っている木を見て青々としているって言ったりするらしいよ」


私は近くの木を指してエリアスに教えた。


ガルナート王国は、王都から東に移動し、船に乗らないといけない場所にあるのだけど、

なんとそこには、醤油や味噌など日本に近い食文化があったりする。

以前、醤油がほしくなり調べたことがあるのだ。

こっちでも市場でたまに輸入して販売しているものがあったりするんだけど、

その時は買い漁っていた。

いつか絶対行ってみたい国である。


「ちなみに、青々としているっていうのは、『いきいきと生い茂っていて鮮やかな緑色』みたいな意味だよ」

「緑なのに青……色とはなかなか複雑なのだな」


この言い回し、前世の日本でもあったけど、今世でも似たような言い回しをするんだよね。

そういえば、果物や野菜も同じだし。たまにこっち特有のものもあるけど。


「最近、食事や勉強、散歩でも新しい色を見つけることができてすごく楽しい。ありがとうセレナ」


エリアスは最近、存在自体のキラキラ度が増した気がする。

なんだろうな、活力がみなぎっているみたいな?

でも、服はまだグレーしか着ていないんだよね……。


「あっ、そうだ!」

「どうした?」


私は服を見て思った。


「エリアス、こっちに長くいることにしたのだし、服を新調しない?」

「たしかに、最近前よりきつい感じがするんだよな。食べ過ぎか」

「今までが食べなさすぎたんだよ!今も同じ年代の子よりは少食じゃない」


前より食事量は断然増えてはいるけど、それでも少ないと思う。

これから鍛えていくなら食事も大事だよね。


「せっかく色が見えるようになったのだから、もう着るものはグレーじゃなくてもいいでしょう?」

「気づいていたのか」

「そりゃー、毎日グレー、濃いグレー、薄いグレーのルーティーンだもん。気づくよ……」


毎日見ていたら、一応バリエーションがあることはわかった。


「今度、叔母様に来てもらって採寸し直して新調しようよ!」

「叔母様?」

「うん、私の叔母様、カタリーナ・レステリオって言うのだけど、王都でブティック・ローゼリアっていう服飾店を運営していて、パーティー用のドレスとかも作っているからエリアスが着ても問題ない品質のものが作れると思うわ」


叔母様、忙しいとは思うのだけど、殿下の服を作りたいって言ったら、

飛んでくると思うのよね。


「ブティック・ローゼリアというと、最近王都で一番人気になりつつある店ではないですか?」


横に控えていたロウェルさんが話に入ってきた。


「そんなに人気なのか?」

「ええ、なんでもデザインが斬新らしく、最近の令嬢はこぞってローゼリアで注文しているらしいですよ」

「斬新なデザイン……」


二人の目線がこちらに向いた。


「へへへ、最近のドレスのデザインは私がしているものもあるの」


なんとなく、照れ笑いしてしまった。


「この間、湖で見せてもらったデザイン画もローゼリアからの依頼だったのか」

「そうそう。カタリーナ叔母様からの依頼でね」

「セレナはそんな人気デザイナーだったのか」

「エリアス様、せっかくだからセレナ様に衣装のデザインをお願いしたらどうですか?」


ロウェルさんが提案をしてきた。


「それはいいな!セレナ、代金はちゃんと支払うからお願いできないだろうか?」

「ええ、大丈夫だけど……。子供の私がデザインしたものでいいの?」

「何言っているのだ、もう立派にデザイナーとして活躍しているではないか」

「でも、あれはローゼリアのデザイナーがやっている体で名前は伏せているから」

「伏せていても、事実は変わらんだろう」

「まあ、そうなんだけど……」


エリアスの衣装かー……。

エリアスなら何色でも似合いそうだけど、瞳の色である紺色や水色を使ったスーツとか素敵かもな。

襟部分に植物の刺繍とか入れてみてもいいかも。

考えたら楽しくなってきた。


「うん、デザインを考えていたら楽しくなってきた!お姉様と私の髪飾りを買ってくれたお礼にデザインするね!」

「いや、髪飾りは治療代の代わりだから、お礼はいらん。というかされても困る」

「そっかー……」


そう言われれば、そうだよね。


「セレナ、デザインしたときはちゃんと対価をもらいましょう。そうじゃないと今後お願いしづらくなっちゃうでしょ」

「たしかに……。そうだね、ちゃんとデザイン費をもらうよ!」


そういえば、前世でデザイナーをしていたときはしっかりデザイン費をもらって働いていたのに、

生まれ変わってからその感覚が抜けちゃっていたな。

まだ、7歳の子供だしやっぱりそっちに考え方が引っ張られちゃうのかもな。


「では、デザイナーとしてお引き受けします!」

「ああ、よろしく頼む」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ