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詰んでる令嬢と色を知らない王子  作者: モモノ空
第一部 エルナード領編

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23/31

23話 新しい目標に向かって

ーエリアス視点


最近、朝起きてすることは窓を開けて空を見ることだ。

あの日、セレナに目を治してもらって見たセレナの瞳の色。


色とはこんなに美しいものなのかと思ってしまった。

空を見るとそれを思い出して幸せな気分になる。


目が治り、やっと自分の世界も色づいたように感じた。

生まれ変わった気分だ。

セレナには感謝してもしきれない。


セレナは2歳も下で、魔法が使えずとも将来に向けて懸命に頑張っている。

そんなセレナを見ていると、自分も何か目標がほしくなった。


「ロウェル、セドリック、私もいや俺も体を鍛えてみようと思う!」

「え、俺!?急にどうしたんですか?」

ロウェルが驚いた顔で見ている。


「セレナを見ていると貧弱な自分が嫌になってきてな……手始めに一人称を変えてみた」

「いや、でも王族なのに……」

「兄上も家族との間だと俺と言っているではないか」

「そうですけど……」


ロウェルが悩ましそうな顔をしているが、俺はもう決めたのだ。


「んー、公式の場ではちゃんとしてくださいよ?」

「それはわかっている」

俺は軽く頷いた。


「で、今までは簡単な剣術の練習しかしていませんでしたが、本格的に鍛えることにしたのですか?」

セドリックが聞いてきたので頷いた。


「それでしたら、まずは基礎体力を上げるところからですね」

「エリアス様は今まで引きこもっていたので、同年代よりもかなり体力がないでしょうね」


それは十分わかっている。

朝、セレナが騎士団に混じってランニングをしている姿を見て、今の自分じゃ最後まで絶対もたないと思った。


「まずは、ダリオン様にお願いして騎士団に混じってランニングと素振りから始めたらどうでしょうか?」


ちょうど考えていたことをセドリックが提案してきてくれた。


「そうだな、まずはそこで置いていかれないくらいの体力をつけないとな」


絶対ついていけないと思うし、キツそうだが……。

セレナの隣に並ぶためにはやってみせる。


「セレナ様と並ぶのはかなり大変でしょうね」

「なっ……!」


なぜ、心の中で考えていたことがバレたのだ。

ロウェルがニヤニヤしている。


「たしかに昨日のバルド様との訓練は7歳の女の子がやるような内容ではなかったしな」

「セレナ様は規格外過ぎますよね」


セドリックとロウェルが言うように昨日は本当にびっくりした。

セレナが普段どんな特訓をしているのか気になり、ついて行かせてもらったが、まさかあんな訓練だとは……。


「あのくらいの内容は、通常何歳くらいでやるものなのだ?」

「そうですねー……。騎士学校の2年あたりからする訓練になるかと。それですら魔獣に襲われたときに後ろから不意打ちなんてしませんけどね」


そんなセレナに俺は追いつけるのだろうか……。


「エリアス様が考えそうなことはわかりますよ。きっと吐くくらい頑張ってもセレナ様に追いつけるかどうかでしょうね」

「……死ぬ気で頑張るつもりだ。2人とも協力よろしく頼む」

「「承知しました」」

2人が胸に手をやって礼をした。


ここにいられるのは最長で2年半くらいだろうか。

どこまでできるか……。


「あと、これから魔導学院に入学するまでいるとしたら、家庭教師を呼んだほうがいいと思うのだがどう思う?」

「そうですね、エリアス様は貴族のマナーや魔法の基礎的なところはもう勉強済みかと思いますが、さらに学んでおいたほうがいいかもしれませんね」

「身体強化も必要になってくるかと」


身体強化か……。


「魔法に関しては、この屋敷に住んでいるサイナス魔導士に指導してもらうのはいかがでしょうか?」

「セレナの家庭教師か。俺まで指導してもらう時間はあるのだろうか」

「去年までセレナ様の兄であるカイエル様を指導していたらしいので、今は余裕があるのではないでしょうか?」

「そういえば、セレナの兄は魔導学院でもとても優秀と聞くな」

「そんな方を指導してた先生なので優秀な方なのだと思いますよ」

「わかった、お願いできるか聞いてみてくれるか?」

「騎士団の件と合わせて聞いてきます」

「よろしく頼む」


これで、今後の予定は決まったな。

そう思っていたら、ロウェルが指摘をしてきた。


「エリアス様、いい加減ダンスのレッスンも受けてもらわないと」

「ダンスか……。今まではパーティーに出ることもなかったから必要なかったが」

「もうすぐ10歳になりますし、そうも言っていられないですよ」

「そうだよなー……」


正直、ダンスなんてやりたくない。

どこぞの知らない令嬢とダンスなんて……。


「では、セレナ様にダンスの練習相手になっていただいたらやる気がでますか?」


たしかにセレナとダンスか……それならすごく楽しそうだ。

ついつい想像していたら、ロウェルがニヤニヤ見てきてムカつく。


「わ、悪いか!」

「いえいえ、良いと思いますよ。身長的にもちょうど良いですしね」

「じゃあ、そっちも頼む……」

「あ、練習相手になってくれるようお願いするのはエリアス様からしてくださいね」

「……援護は頼む」


ロウェルは笑いながら承知してくれた。


これから2年でどこまで自分を成長させられるかによって、今後の人生が変わってくるはずだ。


まだ、漠然とはしているがセレナに背を預けてもらえるくらいの力はつけたいと思う自分がいる。

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