2022/12/17
4223.
「兄よ!」
「妹よ!」
「・・・せーのっ」
「「小松菜!」」
4224.
「なんだい2人とも。高校生にもなって意味もなく叫ぶんじゃないよ、みっともない」
「母さんがここしばらく毎日のように小松菜ばっかり使うからだろ? みっともない」
「安い食材を使うことのどこがみっともないんだい」
「ちょっとはプライド持ってくれよ・・・」
4225.
「美々香、今のはいただけないな」
「何だよ父さん。珍しく土曜に家にいる時ぐらい静かにしてくれないか?」
「珍しく家にいるから喋りたいんだろうが」
「歳は取りたくないもんだね、全く」
4226.
「で、さっきの私の何が“いただけなかった”んだよ」
「それは俺が代わりに答えよう。親父も疲れてるからな、家にいる時ぐらい美々香の相手をせず休んでもらおうじゃないか」
「喋りたいと言ったんだが」
「知るか。俺が話す」
4227.
「まぁこの際兄でもいい。私の何が“いただけなかった”のか答えてもらおうじゃないか」
「お前はさっき小松菜を買う母さんに対して“プライドを持て”と言ったな。それは小松菜に対する侮辱なのではないか? 小松菜はお前と違って生きてるんだぞ」
「おい私が生き物じゃないみたいな言い方すんじゃねーよ」
「え、お前生き物だったのか?」
4228.
「随分な言い草だなァ? おい兄よ。こうなったらどっちが本物の生き物なのかハッキリと決着を着けようじゃないか」
「いいだろう。手短に一発勝負な。息を止め続けて先に限界迎えた方が負け。そいつは生き物じゃない」
「乗ったぜ。見せてやるよ。無限に息を止め続けて私が本物の生き物だってことを証明してやる」
「何を訳の分からないこと言ってるんだい。2人とも生き物ってことでいいから晩ご飯の準備手伝いな」