2022/10/09
3955.
「友よ!」
「・・・・・・」
「・・・せーのっ」
「わたくし、美々香さんと友人のつもりはないのですけれど」
3956.
「おいおいサバ令嬢、冷たいこと言うなよ。同じクラスでかつ同じ部活だろ?」
「それだけですわよね? 美々香さんは将来企業で勤めた時に同僚を友人扱いするのですか?」
「当たり前だろ? でなきゃカネ借りれねーからな」
「社会に出てまで何を借りるつもりになってるんですのよ・・・」
3957.
「なんかこう、感覚の違いってやつを感じるよな。同じ場所に授業を受けに来てるんだから仲良くしようとか思うはずなんだが、サバ令嬢にとっては単に同じ場所に居合わせただけってことなんだな」
「一応、将来我が社で活躍する見込みのある生徒がいないか目を光らせておりますけれどね」
「そういう目でクラスメイトを見るのはやめろ」
「美々香さんだって、将来企業で勤めた時には同僚を“使える”かどうかで見るでしょう?」
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「なるほど。それが学校と会社の違いってことか。しかしバイトの先輩を見る目が変わりそうにないな。私の分まで働いてくれるかどうかよりも、バイト終わりにメシおごってくれるかどうかの方が気になる」
「食事をご馳走してもらうのも、若者の特権ですわよね。鬱陶しいと思うこともあるかも知れませんけれど、ご馳走してもらえるうちが華ですわよ。そのうち自分がご馳走しなければならない立場になるのですから」
「な、に・・・っ!? つ、つまり私も、後輩が来たら牛丼おごらなきゃいけなくなるのか!?」
「なんで牛丼しかご馳走しない前提なんですのよ。そもそも牛丼屋さんのアルバイトなんだからまかないが出るでしょう」
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「い、いやだ、奢りたくない! 私は奢られる専門でいたい! そうでなきゃ働く意味がない! 後輩なんていらない!」
「ですがそうなるとずっと自分が下っぱですわよ? 雑務、雑務、雑務、先輩のマッサージ、お酒の場でのお酌、エトセトラ・・・」
「それだけで給料もらえるんなら安いもんだぜ。旦那探しもはかどるしな」
「なんて向上心がない方なんですの・・・」
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「そういや私も兄もバイト先はサバハーモニーの下に入ったな。私らのバイト仲間はどんな評価になってんだ? どうせちゃっかり見てるんだろ?」
「そうですけれどご自身の評価は気にならないんですの?」
「いや私らなんて雑兵1と2だろ。どうでもいい」
「その、ご自身を見る目だけは本当に素晴らしいですわよね。どんぴしゃりです」
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「それで、美々香さんの同僚は大学生の吉野さんでしたわよね。彼女は中々です。いずれはあの店舗の店長も任せられるでしょう」
「マジかよ。センパイまじパネェな。逃げられないように囲い込んどけよ?」
「もちろんですわよ。彼女の男性の好みはリサーチ済み。独身男性の従業員の中から彼女を好みとするような人材でマッチングを行い、2人で仲を深めながら店舗経営できるようがっちりとした体制を組むつもりです」
「お前らってそういうことに関しては本当にぬかりないよな」
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「それじゃあ兄の方はどうだ? あの有働ってやつ」
「彼女は根性がありますわね。あまり応用が利かないタイプですが、決められた作業を確実に、かつ速やかに遂行できるタイプです。どこかしらで、当家内で活躍できる場所があるでしょう。手放すには少々惜しいですわ」
「じゃああいつにも男を充てがってやれよ。同年代の男がうちの兄だけだぞ」
「今はまだその時ではありません。お給金と自宅からの距離だけで彼女は続けてくれます。下手に殿方を充てがってしまうと、収入をそちらに任せて彼女が退いてしまう可能性がありますから」
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「ていうかそんな都合よく独り身の男がいるのか?」
「問題ありません。普通に能力だけを見て採用していても、男女どちらとも独り身の方が常に一定数おります。あとは引き合わせるだけです。特に男性は、家庭を持たせないと異動を言い渡した際に余所の会社に移ってしまいますからね」
「女は結婚した瞬間に辞めたりしちまわないのか?」
「そうでもないですわよ。異動させると渋る方もおりますが、いわゆる寿退社は当家ではそうそうありません」
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「そういやサバハーモニーの平均年収を忘れてたぜ・・・自分も年収1200万で、捕まえられる旦那ももちろん同じ・・・女も安定した数が入社して来るってこったな」
「定期的に社内でコンパを行っていることは、ありとあらゆるルートで情報をリークさせておりますから、食い付きがいいですわよ。男女ともに」
「年に何回も社内合コンをやる従業員10万人の会社か・・・そら男も寄って来る」
「会場となる大きな事業所にはバンクェットホールはもちろん、その場で成立したカップルのみが使用できる豪華な宿舎もありますから、成婚率は非常に高いですわよ」




