↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
262/336

2022/09/24

3862.


「あー、だりー・・・」


「ちょっとダルいとか言わないでくれる満月君? こっちにも移るんですけど」


「移るのはそっちにもダルいと思う心があるからだ。自分の弱さを人のせいにするな」


「ほんと何なの?」



3863.


「家が近いってだけでうどん屋でバイト始めたのに、大人の事情でサバカレーうどん専門店になって、来る日も来る日も死んだサバと見つめ合う日々。こっちまで死んだ魚の目になりそうなんだけど」


「もうなってるだろ・・・」


「サバカレーになる前から死んだ魚みたいだった満月君に言われたくないけどね」


「おいそれは目ぇ以外も死んだ魚みたいだって言ってるのか?」



3864.


「だってそうじゃん。自分がザ・冴えないオブザイヤー受賞するレベルで冴えないってこと分かってるよね?」


「だったらそっちもこんな冴えない店やめちまえばいいだろ。いかにもオシャレなカフェ好きそうな顔して何サバと見つめ合ってんだよ」


「だって家近いしサバカレーなって時給上がったし」


「人の妹みたいなこと言いやがって・・・」



3865.


「え、満月君妹いるの? かわいそ」


「だろ? ほんともう勘弁して欲しいぜ」


「あたしが可哀想って言ったのは妹さんの方なんだけど? そんなのも分からないのが兄貴なんてマジ終了オブザイヤーじゃん」


「それは実物を見てないから言えることだ」



3866.


「どうだか。もしそれがほんとなら兄妹そろって終わってることになるけど?」


「それは否定しない」


「うわ・・・なんか、こう・・・そうやって堂々と言われると引くよね」


「じゃあ初めから人のこと終わってるとか言うなよ」



3867.


「そういうお前は兄弟とかいないのか有働?」


「え、なに個人情報聞き出そうとしてんのキモ」


「兄弟ぐらいいいだろ・・・俺だって妹の話したんだぞ」


「それはそっちが勝手に言ったんじゃん」



3868.


「まぁ別にいいけどね兄弟ぐらい。弟がいるけど満月君みたいのじゃなくて良かったわぁ。マジ良かったオブザイヤー受賞じゃん?」


「こっちだって有働みたいなのが姉か妹にいたら今ごろ太平洋でサバになってるわ」


「ごめん意味がわからない」


「わかれよ。サバカレーうどん専門店の店員なら」



3869.


「有働。お前は何もわかっちゃいない。バイト先が世界サバ・フィル・ハーモニーに乗っ取られるということの重大さを」


「いやなんもないでしょ。所詮バイトよあたしら?」


「甘い。俺たちが履歴書に書いたことや働きぶりはもちろん、プライベートの行動ですら興信所に調べさせて品定めするような連中だぞ。気を付けろ」


「満月君て陰謀論者? キモ」



3870.


「そう思いたければ思えばいい。影響があるとすれば、将来サバハーモニーに就職できるか否かぐらいだしな」


「だったら尚更カンケーないじゃん。誰がこんなちょっとおかしい会社なんか」


「だがあんまり敵に回すようなことをすると消されるからな? 気を付けろ?」


「それはガチ有り得そうで怖いんだけど」



3871.


「まぁ文句言わず働けよ有働。何気にうどん屋は天職だろ? 下の名前もコムギなんだから」


「それ気にしてるんだからやめてくれる!? しかも恋を紡ぐって書いてコムギよ? おかげで“一緒に恋を紡ごうぜぇ~”とか言うネットリした奴しか寄って来ないんだけど」


「うわキモ。なにキモオヤジが上司のOLみたいな経験してんだよ。まだ早ぇだろ」


「将来そうなるみたいな言い方もやめてくれる?」



3872.


「あーもうサイアク。こんな名前を付けた親を呪うわ」


「これはあれだな。就職する前に結婚して初めから指輪キラッさせるしかないな」


「それをしようにもキモ男しか寄って来ないんだけどどうすればいいオブザイヤーなの?」


「とりあえずその口癖をやめろ」



3873.


「てかお前それ気にしてんなら何でうどん屋に来たんだよ」


「近かったからって言ったじゃん」


「その程度ならもう気にしなくていいだろ。実際コムギって言うほどのキラキラでもないだろ。字も食べ物の小麦じゃないし」


「なってみ? 他人からすれば“まぁ有り得なくはない名前”でも本人は結構ダメージあるから」



3874.


「そればかりは、当事者にしかわからん苦労があるな。ただ、ありきたり過ぎて同姓同名が多いのもなぁ・・・」


「いいよね、苗字が珍しい人は」


「ところがどっこい。苗字のせいで涼太なんた涼しげな名前付けられちまったぜ。妹に至っては美々香だ」


「あ、それはちょっと恥ずかしいかもね」



3875.


「そのうち冷やかしに来るだろうから見せてやるよ。あいつの名前負けっぷりは凄いぞ?」


「うん地味に“こいつの妹ってどんなのなんだろう”って気になってるよ」


「とりあえず、頭の理解が追い付かないような発言が多いから気をしっかり保つように」


「とりあえず、満月君の妹なんだなってことはわかったよ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。