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2022/07/16

3320.


「ぬぉぉぉぉ、おぉぉぉぉぉぉ・・・・・・」


「いやお前まだ葛藤してんのかよ。さっさとそのプリンセスのことなんて諦めろよ」


「ふざけるな! こんな天使の気持ちを反故にしろだと!? 見てみろ! “別の意味でドキドキしていますけど”、とか、“わたくしのことも知ってほしい”とか言ってくるんだぞ!? どうやってフれって言うんだよ!」


「もう重症だなこいつ・・・」



3321.


「ヒロインのことなど知るか。どうせどこにでもいる量産タイプだ。幸いにもこのゲームは誰を選ぶかプレイヤーが決めることができる!」


「15歳を選べる時点で作った奴らも相当だな・・・」


「心配するな! ハグ以上はない!」


「あっても困るんだが」



3322.


「うぉぉぉぉぉ・・・うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」


「ダメだこりゃ。私にはどうにもできん、みずきを呼ぼう」


「おう、呼べ。今の俺を見せれば幻滅して余計なことはもう考えなくなるだろう」


「自覚有るんならマジでそのプリンセスこと忘れろよ」



3323.


「忘れることができれば、どんなにいいことか・・・。だがそれはできない。人間は、己の心には抗えないんだぁぁぁぁ!!」


「だ、そうだが、どうするみずき?」


「熱が冷めるまで待つしかないわね。お兄さんの緊急事態だと言われて来てみれば、まさかこんなことになってたなんて」


「それもこれもさっさとみずきが兄を射止めないからだぞ」



3324.


「とにかくこのままじゃ私も困るから任せて。・・・お兄さん、そのゲームはうちの兄さんも持ってて、続編もあるんですけど、その子、17歳になりますよ」


「17歳だと!? うぉぉぉぉぉ!! これで合法的に付き合えるぞぉぉぉぉぉぉ!!」


「ゲームキャラとはどんな手を使っても付き合えないんですけど・・・」


「いずれにせよロリコン問題は解決されそうだな。ありがとうゲームメーカー」



3325.


「逆にみずきヤバくね? この子に17歳になられたか勝ち目ないだろ?」


「いや私には実体があるから」


「それはもっと魅惑的ボディを手に入れてから言えよ」


「大丈夫。ゲームキャラに心奪われるような人はそのうち人肌が恋しくなるから」



3326.


「でもお兄さん、その子続編では胸元のちょっと開いた服を着る痴女になりますよ?」


「何だと・・・!? つまり、成長するということか! ぬぅぅぉぉぉおおおおおおおおおおおおおお!!」


「益々みずき勝ち目なくなったじゃん」


「このゲーム作った人を滅ぼしたくなってきたわ」



3327.


「くっ、こうしちゃおれん! 17歳になった姿を拝むべく続編を買いに出掛ける! 後に続け!」


「いや私らが後に続く理由はないんだが」


「ちなみにそのお金はどこででるんですか? バイト生活の身で」


「な・・・し、しまったぁぁぁぁぁぁぁ!!!」



3328.


「美々香! 一生の頼みだ! 金を貸してくれ!」


「ふざけんなよ貸せる金あったら私ら2人してバイトしてないだろ」


「そもそもお兄さん、美々香に貸しっぱなしのお金があるんじゃないですか?」


「おいみずき余計なこと言うんじゃねえ!」



3329.


「まぁいずれにせよゲームを買う余裕なんてない。諦めろ」


「そうでもないですよお兄さん。なんせ、うちにあるんですから。そうですね・・・もし、私の言うことを何でも1つ聞いてくれるというなら、貸さないこともないですよ?」


「なん、だと・・・!!」


「揺れる兄! 果たして、ゲームキャラの成長した姿を拝むために友人の義弟になることができるのか・・・!?」



3330.


「く、くっ・・・なんというアメとムチ・・・!」


「すげぇな。目の前にいる女との結婚を堂々と“ムチ”って言い放ったぞ」


「構わないわ。私は結果さえ手に入れることができれば」


「これで一切ダメージ受けないお前もすげぇよ・・・」



3331.


「話は聞かせてもらった」


「!? その声は・・・みずき兄!」


「何をしに来たの兄さん」


「自分の友人がゲームキャラにハマって悶えている。これを見に来ない手はないだろ?」



3332.


「どうした涼太、こいつが欲しいんだろう?」


「な・・・あ・・・・・・!!」


「なに、すぐに貸してやるさ。ただし、俺の言うことを何でも1つ聞くと約束するならな」


「ちょっと兄さん! それ私がするつもりだったやつ!」



3333.


「いやお前“するつもりだった”も何もこれ俺が買ったやつだぞ。なに人のもの勝手に貸そうとしてるんだよ」


「いいじゃない別に。これさえあれば兄さんは友達を義理の弟にできるのよ!?」


「いやこんなやつ目下だろうと親族には要らん」


「記念すべき3333話がこんな話になっちまったな・・・」



3334.


「お前の親切心は素直に認めよう崇・・・だが、俺に何をさせるつもりだ?」


「心配するな、俺は妹のように無茶な注文はしない。3回まわってワンと叫べ! もしできたらこいつを貸してやろう!」


「いや十分に無茶な注文でしょ兄さん・・・」


「プライドのないコイツでもさすがにそれはしないと思うぜ?」



3335.


くるっ、くるっ、くるっ。


「ワン!!!」


「こいつ、やりやがった・・・! 何の迷いもなく・・・!!」


「自分の友達ながら、ゲームキャラのためにそこまでするのかとドン引きしているところだ」



3336.


「おいみずき、どうすんだよ。もうこんなヤツやめといた方がいいんじゃないのか?」


「・・・つまり、“私と結婚したくなければ3回まわってワンと叫べ”というのも通用しないのね・・・強敵だわ」


「お前も十分に強敵だよ今の見てまだコイツに見切りつけないのかよ」


「とにかくこれは貸さねばならんな。みずきはせいぜい、あのプリンセスキャラを参考に自分磨きをすることだ」



3337.


「うぉぉぉぉぉぉぉ!! ついに17歳になったこの子を拝めるぞぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」


「ま、何はともあれ15歳相手に愛を叫ぶロリコンから脱却できたワケだ。グッジョブだぜみずき兄」


「ところが問題は解消されないぞ美々香ちゃん。なぜなら、ゲームキャラとは違ってこっちは歳を取るからだ。早くなんとかしないと10年後には“17歳相手に愛を叫ぶ27歳ロリコン野郎”のできあがりだ」


「・・・・・・。うぅぉぉぉぉぉ! 兄ぃぃぃぃぃぃ!! いい加減目をさぁませぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

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