2022/06/05
3163.
「友よ!」
「・・・あら佐藤さん、久しぶりね」
「ミズりんノリ悪いよ!」
「いやそれやるの限られた人しかいないから」
3164.
「ミズりんはまだミミにぃのこと狙ってんの!?」
「え、何お兄さんのことそんな気安く呼んでるの?」
「メンドくさいよミズりん!」
「そうなのよ。本当に・・・私の兄がお兄さんと仲良いせいでホントめんどくさいことになってるんだから」
3165.
「ドンマイ! でも恋は障害が多いほど楽しいって言うから!」
「私にはそんなもの必要ないわ。どう考えたってゴールインした後の方が楽しいんだから」
「立場だけ義理のお姉ちゃんになってもそんなイビれるものでもナイと思うんだケド・・・」
「それでもならなきゃいけない立場が、この世にはあるのよ」
3166.
「そういう佐藤さんは? 彼氏とかいないの?」
「聞いてよミズりん! ううん、よく聞いてくれたよミズりん!」
「そこ言い直さなくてもいいから」
「とにかく聞いてよミズりん!」
3167.
「何かあったの?」
「アタシって5組の鈴木君のこと好きだったじゃん?」
「いや初めて聞いたけど」
「でも鈴木君こう言ったんだよ!? “あまりに多すぎる苗字の人とは付き合えない”」
3168.
「ヒドくない!? 自分も世界第2位の苗字のクセに!」
「世界第2位の苗字は中国にいるんじゃないかしら」
「とにかくだよ!? アタシ決めたもん! 世界トップファイブの苗字の人とは付き合わない!」
「だからそれ多分“佐藤”とも“鈴木”とも付き合えるわよ・・・」
3169.
「あらみずきさん、ごめんあそばせ。そちらの方は? 意外ですわね、美々香さん以外にもお友達がいらっしゃったなんて」
「さらっと酷いこと言わないで?」
「あと何気にアタシのこと知らないのもヒドよサバりん・・・同じクラスなのに」
「そうでしたか、申し訳ありません。普段交流のない人はみんな同じに見えてしまいますの」
3170.
「それで、お2人で何の話をされていたのですか? 美々香さんに対する愚痴ですか?」
「「せっかくこの場にいないんだから今その名前を出さないで」」
「今のお返事が既に愚痴に相当しますわよ・・・」
「大変なのよ。あんな奴の友達をずっと務めるのは」
3171.
「確かにどうして美々香さんと友人になられたのか気になりますわね」
「確かに! アタシはタダの契約だけどミズりんは何でミミりんと友達になったの!?」
「それを聞くと契約で友人関係になったというあなた・・・えっと、ガトウ・ショコラさん? の方が気になるのですが」
「佐藤純だよ!!」
3172.
「ホントにヒドいよサバりん! ガトウはともかくショコラなんて初めて言われたよ!?」
「ガトウは言われたことあるの?」
「ないよ!!」
「今その記録が付きましたわね。おめでとうございます」
3173.
「ふ、2人とも、アタシのことなんだと思ってるの!?」
「ピュアシュガー」
「ガトーショコラですわ」
「そんなに甘くないよ!!」
3174.
「当家独自の統計データによりますと、苗字が佐藤の方は平均よりも1.42倍ほど人として甘い傾向があります」
「そんな・・・! 嘘だよ! そんなの信じない!」
「というかどうやってその統計を取得したの?」
「当家社員それぞれの業績を基に計算されたものですわ」
3175.
「ジョン、ベンジャミン。せっかくなのでデータを見せてあげてくださいまし」
「あ! 川田君に弁財時く・・・じゃなくてカワりんにベンりん!」
「無理にその呼び方しなくてもよろしいのではなくて?」
「どうでもいいけど弁財時君の方は本名使っても“べンりん”になるわね」
3176.
「それでは、こちらをどうぞ」
「そ、そんな・・・! ホントにサバハーモニーの佐藤さん業績イマイチ! なんで!? なんでなの!? こうなったらアタシも入社して佐藤の平均値を上げるしかナイよ!」
「待って佐藤さん! もし仮にそれが上手くいったとしてもハーモニーに入った時点であなたの人生がどうなるか分からないわ!」
「みずきさんそれはどういう意味ですの?」